「広い背中を手に入れたい」「背中の筋肉を鍛えるメニューを知りたい」このようにお考えの方におすすめのメニューと言えるのが懸垂です。
誰しも名前は知っているトレーニングでやったことのある人も多いでしょうが、非常に奥が深く難しい種目でもあります。
ですが、正しいフォームで懸垂を行うことで劇的に背中の筋肉が発達し、広い背中を形成することができます。
今回は懸垂で鍛えられる筋肉や懸垂をするメリット、やり方などを紹介していきます。
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懸垂で鍛えられる筋肉①広背筋

出典:https://bukiya.net/blog/musclename/#i-5
- 肩関節の内転
- 肩関節の伸展
- 肩関節の水平外転
- 肩関節の内旋
懸垂の際に最も動員される筋肉が広背筋です。腕にある上腕骨から骨盤までつながっている筋肉で、上記のように上部と中部に分かれています。
主な作用は腕を上から下に引く動き(肩関節の内転)で、他には腕を前から後ろへ引く動き(肩関節の伸展)といった動作があります。
広背筋の周辺にある小さな筋肉・大円筋も、ほとんど同じ作用なので懸垂で鍛えられます。
日常ではあまり使わない部位ですが、背中の大部分を占める大きな筋肉で鍛えることで逆三角形の身体が形成されます。
懸垂で鍛えられる筋肉②僧帽筋

出典:https://bukiya.net/blog/musclename/#i-5
- 肩甲骨の挙上
- 肩甲骨の内転
- 肩甲骨の下制
僧帽筋は首の付け根から背中の中央まで広がっている筋肉です。広背筋が背中の側面にある一方、僧帽筋は背中の中央部に位置します。
上部・中部・下部に分かれており、それぞれ肩甲骨を上げる・寄せる・下げるという働きをもちます。
大胸筋など他の部位のトレーニングにおいても、肩甲骨の安定が非常に重要となるので鍛えると大いにメリットがあります。
懸垂で鍛えられる筋肉③上腕二頭筋
出典:https://bukiya.net/blog/musclename/#i-6
- 肘関節の屈曲
- 前腕の回外
上腕二頭筋はいわゆる「力こぶ」と呼ばれる筋肉です。力こぶを作ろうとする時のように肘を曲げることで鍛えられます。
懸垂の場合は、特に逆手で行うことで上腕二頭筋の動員が強まります。初心者は広背筋の筋力が弱いことで上腕二頭筋にばかり頼ってしまう傾向があるので注意が必要です。
懸垂をするメリット
懸垂をするメリットとして、以下の3つが挙げられます。
多くの筋肉を同時に鍛えて代謝アップ
懸垂では、広背筋や上腕二頭筋など背中から腕にかけて幅広い筋肉を同時に鍛えられます。
基礎代謝(一日に何もしないで消費されるカロリー)は筋肉量に比例するため、懸垂で多くの筋肉を鍛えることは基礎代謝の向上に非常に効率的です。
基礎代謝が高まると脂肪が燃えやすい身体になり、引き締まった筋肉質な身体へと近づきます。
逆三角形の広い背中を形成
懸垂は逆三角形の形成に不可欠な広背筋を高強度で鍛えられるトレーニングです。トレーニング上級者でも20回程度が限界という人が多いことからも、強度がいかに高いかが分かります。
最初はなかなかできないものですが、正しいフォームで10回程度こなせるようになる頃には逆三角形の身体になっているでしょう。
逆三角形の身体になると、相対的にウエストが細く見えるので、女性でくびれを綺麗にしたいという方にもおすすめです。
懸垂の正しいやり方
懸垂で鍛えられる筋肉とメリットが理解したところで、正しいやり方をご説明します。
- 手幅を肩幅より広めに握りぶら下がる
- 肩甲骨を下方回旋させてバーを身体に引きつける
- 顔がバーの高さまで来たら元の位置に戻す
①手幅を肩幅より広めに握りぶら下がる
まずはバーを握りぶら下がります。この時、手幅は肩幅の1.5倍程度で握ることで、広背筋と僧帽筋を最も効率的に鍛えられます。
また、握る際は親指側に力が入ると腕の筋肉にばかり刺激が入ってしまうため、小指側で強く握りましょう。
余裕があればバーから親指を離して、他の指しか使えないようにするのもおすすめです。
②肩甲骨を下方回旋させてバーを身体に引きつける
肩甲骨の下方回旋を意識しながら、バーを身体に引きつけるように身体を持ち上げます。
肩甲骨の下方回旋とは肩甲骨を寄せて下げた状態のことで、こうすることで腕の力を最小限に抑えて広背筋に刺激が入ります。
また、挙上の際は肩関節の外旋(腕を外側にひねる動作)と胸を張る意識をしましょう。
③顔がバーの高さまで来たら元の位置に戻す
胸をバーに十分に近づいたら、ゆっくりと元の位置に戻していきます。戻す際はゆっくりと広背筋が十分に伸びるまで下ろしていくことが必要です。
自重の負荷に耐えるために広背筋を動員することで、広背筋に強いストレッチの刺激が加わります。この際、筋肥大しやすい速筋線維が使われやすくなるため、筋肥大を狙うためにゆっくり下ろすことは欠かせません。
また、十分に伸び切らずに折り返してしまうと強烈な刺激を逃してしまうため、肘が伸び切るくらいに十分に広背筋を伸ばしていきましょう。
懸垂をやる時に意識するポイント
懸垂をやる際は以下のポイントに意識すると良いでしょう。
グリップを使い分ける
懸垂は手幅や握り方によって、鍛えられる筋肉が変わるので意識的に使いこなす必要があります。一般的なグリップは順手で手幅を肩幅の1.5倍程度に設定することで広背筋をメインに効かせます。
一方、手幅を狭く握ると肘がより曲がりやすくなることで上腕二頭筋の動員が強まります。他にも、握り方を変えることで以下のようにメインの筋肉が変わります。
- 順手→広背筋上部
- 逆手→広背筋下部、上腕二頭筋
- パラレル(手のひらが向かい合う握り)→広背筋上部・下部
ネガティブ動作も意識
懸垂で上から下がる局面をネガティブ動作と呼びます。初心者の場合はほぼ全てのトレーニングにおいて、スタート→フィニッシュばかり意識が向き、フィニッシュ→スタートの部分を意識していません。
しかし、このネガティブ局面の方が大きな力を発揮すると言われており、筋肥大・筋力アップの両面において効果的なのです。
懸垂で上まで持ち上がったら、3秒程度かけてゆっくり下りるようにして行うことで広背筋が強烈にストレッチされる刺激が入るので是非意識してみましょう。
反動を使わず真っ直ぐ上げる
よくある間違いとして、身体をブンブン振り回して上げたり、顎だけ上がったりするフォームがあります。
これでは回数は稼げるため一見筋トレとしては見栄え良く思えますが、そもそも対象筋となる広背筋に効かせたい刺激のほとんどが胸や腕に逃げてしまいます。
反動を使わず、ゆっくりと胸をバーに近づけるように行い、広背筋への刺激を逃さないようにしましょう。
懸垂をできない人向けのメニュー①ラットプルダウン
懸垂は自重で行うトレーニングのため、体重が重い・筋力が足りないという人が行うにはなかなか至難の技です。
そんな方におすすめなのが、ラットプルダウンです。懸垂をマシンで行うようなもので、重量も自分に合わせて設定できるので懸垂の入門前におすすめです。
また、太ももをパッドに挟んで固定するため、下半身が安定し非常に取り組みやすい種目でもあります。
懸垂と同様に肩甲骨の下方回旋を意識して、広背筋を十分に収縮させましょう。
- パッドの下に太ももを入れて肩幅より広くグリップを握る
- 胸を張ったままバーを胸に引きつける
- 胸に引きつけたら、元の位置に戻す
懸垂をできない人向けのメニュー②斜め懸垂(インバーテッドロウ)
斜め懸垂はバーに対して身体を斜めにして行う懸垂です。通常の懸垂と違って脚が台や地面についたまま行うため、負荷は低めで初心者におすすめのトレーニングです。
動作は腕立て伏せを上下逆さまで行うイメージで、身体は真っ直ぐの状態で肩甲骨を寄せるように身体を持ち上げます。
- 仰向けになり両脚を台もしくは地面につけたまま順手でバーを握る
- 身体が床に対して45度になるように胸をバーに近づけるように身体を持ち上げる
- 十分に胸がバーに近づいたら元の位置に戻す
懸垂をできない人向けのメニュー③ネガティブチンニング
ネガティブチンニングは、懸垂の下ろす局面のみに絞って行うトレーニングです。
足元に椅子やベンチなどを置いて、下から蹴ってジャンプして上まで持ち上げ、3秒程度かけてゆっくり下ろします。
ストンと落ちないように広背筋で耐えるようにすることで、広背筋が伸びながら強烈な刺激が入ります。
懸垂はできなくても、高負荷で広背筋を鍛えたいという人におすすめです。
- 肩幅より広めに手幅を設定してバーを握り台の上に立つ
- ジャンプして一気に胸をバーに近づけるように身体を持ち上げる
- 上まで到達したら3秒程度かけてゆっくり戻していく
- 下まで降りたら、再度台を蹴って2−3を繰り返す
懸垂におすすめの器具
懸垂をするために必要なグッズや、懸垂がやりやすくなるグッズを紹介していきます。
パワーグリップ
懸垂の難点は、高負荷のあまり対象となる広背筋や僧帽筋の疲労より先に握力の限界が来やすいことです。これを解消できるアイテムがパワーグリップです。
パワーグリップを手首に巻いて懸垂を行うことで握力の持久性が増し、広背筋や僧帽筋を十分に追い込めるようになります。
パワーグリップは懸垂だけでなく、その他の背中のトレーニングでも使える代物で長持ちするので早めに買っておいて損はしません。
リストストラップ
リストストラップは、パワーグリップと同様に握力を補助する働きがあります。バーを2−3周程度グルグルに巻きつけて握るので、耐久性はパワーグリップよりも優れています。
しかし、その反面巻きつける手間がかかるのが難点です。とりわけデッドリフトを行う場合にはリストストラップがベストですが、その他の種目においてはパワーグリップで十分と言えるでしょう。
ただし、パワーグリップよりも安価な傾向があるため安く済ませたい人はリストストラップの方がおすすめです。
ぶらさがり健康器
ジムではなく自宅でトレーニングする人はそもそも懸垂するとなっても、自宅に設備がないですよね。「自宅で懸垂をしたい」という方はぶらさがり健康器が必要となります。
上記のBangTong&Liのぶらさがり健康器は懸垂の他にも大胸筋を鍛えられるディップスや、腹筋を鍛えられるハンギングレッグレイズを行うことが可能です。
これ一台であらゆるトレーニングができるので、自宅トレーニーにおすすめです。
懸垂で逆三角形の美しい身体を目指そう
今回は懸垂で鍛えられる筋肉や懸垂をするメリット、やり方などを紹介してきました。懸垂は広背筋や僧帽筋などを高負荷で鍛えられる種目で、広い逆三角形の背中を形成するために不可欠な種目と言えます。
ただし、トレーニング初心者にとっては非常に難しい種目でもあるので今回紹介したラットプルダウンや斜め懸垂などを行って基礎を固めた上で挑戦してみるのがおすすめです。