「仕事は退職に」「1年4か月症状が続いている」 患者が語る理解されない“コロナ後遺症”の厳しすぎる現実

「仕事は退職に」「1年4か月症状が続いている」 患者が語る理解されない“コロナ後遺症”の厳しすぎる現実

コロナ後遺症 1年超続く人も

2022年は3年ぶりに行動制限のないゴールデンウィークとなり、最近ではマスク着用緩和の議論も活発になってきています。新型コロナウイルスへの危機感が徐々に薄れてきている一方で、JNNの調べによりますと日本全国の新型コロナの新規感染者数は870万人を超えました。(5月25日時点)それに伴い、今後爆発的に増えるのではないかと懸念されているのが“コロナ後遺症”です。今回、“コロナ後遺症”と闘う2人の患者さんに話を聞くことができました。

 

■診察開始1時間以上前から患者殺到 午前3時まで続くオンライン診療

5月13日、東京都渋谷区のコロナ後遺症の専門外来を設ける「ヒラハタクリニック」を訪れました。

 午前8時半ごろ、この日はあいにくの雨だったにも関わらず、患者さんが次々と入ってきては、受付を済ませ、待合室で待機を始めました。空いている席が少なくなり、予約時間だけを指定し外出する人もいるほど。多くが“コロナ後遺症”の患者たちです。

“コロナ後遺症”とは、別名ロングコビットとも呼ばれ、新型コロナウイルスに感染した後、療養期間が終わっても症状が慢性化したり、あるいは突発的に出てきたりする症状全般のことを指します。さらに症状の種類も様々で、倦怠感や咳、脱毛、ブレインフォグなど200種類以上あると、ヒラハタクリニックの平畑光一院長はいいます。現在、コロナ後遺症に対する特効薬などはなく、ヒラハタクリニックでは、対症療法で一人一人の患者さんと向き合っています。

 こちらの患者さんは、頭を壁につけるような形で、もたれかかり、かなり息苦しそうです。

午前10時、診察が始まりました。1時間以上も前から患者たちは診察が始まるのを待っていたのです。対面での診察が終わった後も、来院ができないほど症状が重い患者さんに向けて、翌日の午前3時ごろまでオンライン診療が続きます。ヒラハタクリニックでは、これが日常だといいます。

 今回、ヒラハタクリニックに“コロナ後遺症”で通院している患者さん2人に話を聞くことができました。

  

■「一生このままなのかな」1年4か月“コロナ後遺症”と闘う女性 「気の持ちようだ」心無い言葉が患者をさらに苦しめる

ヒラハタクリニックに通院している50代の女性。新型コロナの療養期間を終えてから、約1年4か月経った今でも、“コロナ後遺症”に悩まされているといいます。

ーーどんな“コロナ後遺症”の症状がありますか?

とにかく倦怠感がひどかったです。倦怠感というと「ちょっと疲れてだるい」とか「病み上がりで体力がない」とかそういうのをイメージされると思うんですけど、全然違って、全身を革のベルトでぐるぐる巻きにされて、さらにギュウギュウに締め付けられているような感覚。全身自由がきかなくて動けず、苦しい。さらに、今気になっているのは、“頭の中の炎症感”。脳みそが爆発しちゃうんじゃないかみたいな嫌な炎症感が、それはもう1年4ヶ月経った今でもずっと続いています。

ーー日常生活で一番つらいことは?

何をするにも辛いんですけど、そういう意味では、この状態がいつまで続くのか、いつ治るのか、それとも治らないのか。いつか治療法が出るのか、それとも出ないのか。自分で自分を養えるだけの収入を頑張って働いて得ることもできなければ、レジャー、趣味で遊びに行くこともできず、

一生具合悪いまま、一生このままなのかなって。全く先の見通しのわからないまま、生活していかなきゃいけないっていうのは1番つらいところ。



ーー“コロナ後遺症”に対する周りの反応はいかがでしたか?

現在、夫と2人暮らしで、夫も同時期にコロナウイルスに感染しました。夫は感染時の症状も軽く、すぐに元気になって、今も何も問題がないです。でも、私はいつまで経ってもグズグズ具合が悪くて。だからある時、夫に「なんで私よくならないんだろう?」って言ったら、

「気の持ちようだよ」

って言われちゃって、「じゃあその気の持ち方を教えてよ。私の気の持ち方が何か間違っているんだったら、その正しい持ち方教えてよ、真似するから」って言って、大喧嘩したことがあります。そこで夫もすごく反省してくれて、理解してくれて、今では協力してくれています。

ーー今、思うことはありますか?

常々思うのは国の政策ですかね。

コロナの10日間の療養期間が終われば、回復だねと見放されて、その後、どれだけ生活に支障が出るほどの症状が続いても、特にフォローもありません。

お医者さんも、この病気を理解してくださる方もまだ少数で、ほとんどのお医者さんは、やっぱり検査しても何も悪い数値が出ないから、どこも悪いところはない。結局、「心因性のものだ」「心療内科に行け」とか、そういう風になるんです。国や厚労省がそもそも取り組む気が薄いから、こんな風に放置されちゃうんだってひしひし思っていて、普通の一般人より、国や医療機関の“コロナ後遺症”に対する無理解の方が、問題かなという気がしています。

  

■会社の無理解で退職に…「軽い気持ちでコロナと向き合っていた自分に後悔」

続いて、インタビューに答えてくれたのは20代の女性。2022年の1月下旬に、コロナに感染し、その後、百日咳やマイコプラズマ肺炎、気管支炎などの後遺症の合併症を患いました。電話が一分も出来ないため、家族にもまだ、症状について説明ができていないと言います。

ーー生活の何が一番大変ですか?

何しててもつらいんですけど、お風呂に入ることができなくて、トイレがギリギリです。立つことが一番きついというか、息苦しくて、フラフラするんです。お風呂ってまず服を脱いで、さらに髪や体を洗う。時間的な面でも体力的な面でも、あとリスク的な面でもやっぱり倒れたりしやすい場所であるということを考えた時に、とても優先事項には入らず、後回しになっちゃいます。

ーー“コロナ後遺症”を自覚したのはいつですか?

療養期間があけるタイミングなのに、息ができなくて、どうしたのかなと思って。療養10日目で保健所に電話したんですけど、

保健所からは「もう対応できない」

って言われてしまって、やはり、

その時は保健所の方を頼りにして電話をかけたので、結構ショックでした。



ーー“コロナ後遺症”の周囲の理解はいかがですか?

仕事は、ちょうどつい4月に、退職になってしまいました。どうしても理解が…難しくて、これ以上は(復帰を)待つことができないって。

“コロナ後遺症”の診断書を見せてはいたんですけど、やっぱり見た目では後遺症の症状が分からなくて、さらにその時期がオミクロン株は大したことないみたいな風潮も流れていました。(職場でも)「どうせそんな大したことないよ」「病院が大げさなんだよ」って言われました。コロナに感染した原因は職場のクラスターだったんですけど、後遺症になったのは私だけなんです。最初に発症した人たちはみんな復帰していて、それも本当に何か、仕方ないんですけど、なんとも言えない気持ちです。

 ーー今、感じることはありますか?

私自身もまさか20代で重症化して、本当に命の危険を感じることがあると思っていなかったので、軽く見ていたら本当に痛い目にあうので、気を付けてくださいとしか言えない。本当に、後悔してますね、すごく…。軽い気持ちでコロナと向き合っていた自分に、今でも後悔しています。




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  • 3

    出た。
    ワクチン接種推進テコ入れ記事。
    コロナに限らず、感染による後遺症は少なからず見聞きする。
    苦しんでおられる方々はお気の毒だが
    それを軽減、完治に向けた研究推進や制度でフォローする。
    効果、安全性があやふやなものを打たせるためでなく、
    そういうことのために税金を使って欲しい。

  • 2

    後遺症は大変だとは思うけど、何でもかんでも国のフォローがってのは違うと思う。自分を養っていけないなら生活保護があるし、そもそも後遺症を治す薬自体ができるかどうかは未知のもの。医者も万能ではない。確立した病気や治療法、後遺症以外のものは正直なかなか理解されない。とは言っても人はわがままだから、自分自身がなったら同じことを言うのかも。

  • 1

    要するにオミクロン株の日本人に対する毒性は、過去の全ての変異株を上回るということを示している。
    専門家がそう言って警告した通りのことがこうして起こっているのに「経済を回せ」なる滑稽なフレーズをなんとかの一つ覚えでヒステリックに連呼する自称識者、自称学者たちはいったい何をしたいのか?
    オミクロン株が低毒性という明らかなウソを根拠に対策を何もかもやめろの一辺倒のそういう人たちは、日本の人口全体を分母にすればオミクロン株が過去最高の死亡率の変異株であるという至極簡明な事実の指摘に、どう反論するのだろうか。
    東京都の毎日の死亡者数が前日の重症者数を上回り続けているという現在の珍妙な事態は、肺炎だけを重症の判定基準にするという全身の血管炎症という新型コロナの病態を故意に無視した「軽傷に見せかける」政策のウソを、端的に証明している。

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