「拳で顔面を殴打」東京五輪公式記録映画・河瀬直美監督が事務所スタッフに暴力
映画監督の河瀬直美氏(52)が、自身が代表を務める映像制作会社「組画」のスタッフに暴行し、スタッフが同社を退職していたことが「週刊文春」の取材でわかった。
【画像】河瀬直美氏、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞の瞬間
日本を代表する映画監督となった河瀬直美氏 ©文藝春秋
「“防御”として自らの足で抵抗した」と組画の公式サイトで説明
河瀬監督は2007年、「殯の森」でカンヌ国際映画祭において最高賞に次ぐグランプリに輝いた。東京五輪公式記録映画の総監督も務め、2部作で構成される1本目の「東京2020 SIDE:A」はカンヌ国際映画祭のクラシック部門に選出された。さらに2025年開催予定の大阪・関西万博のプロデューサーに就任するなど、日本を代表する映画監督のひとりである。
小誌は今年4月28日発売号で、2019年5月に映画「朝が来る」の撮影現場での河瀬監督の暴行を報じている。カメラを回していた河瀬監督は、撮影助手に触れられたことに激怒し、助手を蹴り上げた。その後、撮影監督がチームごと降板した。
河瀬監督はこの件について、「週刊文春」の取材に「3年前に既に、当事者間、および河瀬組内において解決をしていることでございます」と回答。小誌報道後は「防御として、アシスタントの足元に自らの足で抵抗しました」と組画の公式サイトで説明した。
男性職員Aさんの顔面を殴りつけ…
新たにわかった河瀬監督の暴行は、2015年10月下旬、組画の事務所内で起きた。
複数の事務所関係者の証言によると、経緯は次の通りだ。
河瀬監督は奈良市内の雑居ビル2Fにある組画のオフィスで、男性職員Aさんの到着を待っていた。Aさんが部屋に足を踏み入れた瞬間、河瀬監督は彼に向かって真っすぐ歩いてゆく。そして固く拳を握り、いきなり顔面を殴りつけたのだ。
Aさんはその場に崩れ落ちたが、なおも河瀬監督は暴行をやめようとしない。Aさんはなだめながら逃げ回るが、河瀬監督はオフィスの中を執拗に追いかけ続けた。
「居合わせた数人の職員は恐怖のあまり、別のフロアに逃げ出しました。しばらくして戻ると、抵抗せずに一方的に殴られたAさんの顔は腫れ上がっていたそうです」(事務所関係者)
Aさんは荷物をまとめオフィスを去ると、そのまま退職した。
Aさんに話を聞くと、「河瀬さんに殴られたのは事実です」と認めたが、「過去のことで、公に語るような内容ではありません」と口を閉ざした。
新たな“暴行事件”への河瀬監督の対応は
河瀬監督に事務所を通し、暴行の事実関係について質問したが、締め切りまでに回答はなかった。
今年3月には、映画業界内で性加害などのハラスメントが告発されていることを受け、是枝裕和ら映画監督有志6人が声明を発表。そこではこう述べられている。
「映画監督は個々の能力や性格に関わらず、他者を演出するという性質上、そこには潜在的な暴力性を孕み、強い権力を背景にした加害を容易に可能にする立場にあることを強く自覚しなくてはなりません」
「暴力性を常に意識し、俳優やスタッフに対し最大限の配慮をし、抑制しなくてはならず、その地位を濫用し、他者を不当にコントロールすべきではありません」
会社の代表という優越的な地位にある河瀬監督が、スタッフに対して暴力行為を働いた今回の事件。日本を代表する映画監督としてどのような説明をするのか、注目される。
5月25日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および5月26日(木)発売の「週刊文春」では、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作の主演俳優が3時間にわたり語った河瀬監督との“絶縁告白”、スタッフに対する暴言、河瀬監督の映画制作手法に深く関係する複数のヒロインに対する“イジメ演出”などについて詳報する。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年6月2日号)