「欠席者はいないな、では今から中間テストを実施する」
この学校最初の試験である中間テスト、本来ならAクラスとして誇るべきな成績を取れるかなどの理由で緊張している生徒も多く存在すると思う。実際、俺も緊張している。ああ、理由は別だ、普段なら気軽に話しかけてくれる隣の席のお姫様があれ以来俺と目を合わせてくれない。恋とはそこまで人を変えてしまうものなのか、そんなことを考えていたら先生からプリントが回って来る。1時間目は社会、5教科のテストの中では割と簡単な部類に入る。ここで躓くようだと他の科目は厳しいだろうな、まあこのクラスだとそんな心配するだけ無駄だな。
「全員に渡ったな、始め」
俺は全ての問題に目を通す、うわぁめっちゃ簡単。本当に過去問いらないな、有栖と葛城がどんな勉強会したのかは分からないけど、流石に大丈夫だな。
2時間目、3時間目と国語と理科のテストが続く。1、2問中々難しい問題が並んでいるが4点程度間違えたところで平均点には影響は少ないし大丈夫だろう。俺はこのテストという時間が非常に嫌いだ、何でこんなに長いんだ?数学や理科といった理系問題なら計算が必要になるから分かるが、社会とかこんなに時間いらないだろ。俺は今までの3教科のテストでは30分近く時間が余る。暇だ、窓から見える建物の模様の数でも数えてよう。
そして何やかんやで4時間目の数学。レベル的には小テストよりも難しい問題が並んでいる。クラス内にも少しずつ頭を抱える生徒も増えてきたが少し考えれば分かる問題もある。頑張ってくれみんな、俺は心の中でそう思いながら建物の窓の数を数えていた。
そして最後のテストは英語、俺はアメリカのホワイトルームで育った。言ってしまえば帰国子女みたいなものだ、とてつもなく簡単で先程のテストよりも時間が余る。俺は1人、流れる雲を見ながら黄昏ていた。
「終了だ、皆よく頑張ったな」
テスト終了の合図とともにクラス内の緊張が一気に解ける、中には打ち上げをしたいとか言ってる生徒もちらほら見える。皆が浮かれているそんな中、葛城が俺の机に近づいて来た。
「お疲れ様だ、テストはどうだった?」
「ん?まあまあだな、そっちは?」
「ああ、俺は大丈夫だ。少し神谷のことが気になってな」
「気になる?俺、何かしたか?」
「勉強会に来てなかっただろ?その時に俺と坂柳で過去問を配ったんだ」
「ええ!?マジ?」
嘘やん、見事に俺だけ仲間外れですか。それに過去問は必要ないな!とか清隆に言ったばかりなんですけど...
「む、その様子だと坂柳から聞かされていないようだな。坂柳どういうことだ?」
おい、今有栖は何言っても反応してくれないぞ。
「試したんです、れいくんのことを」
あれ?普通に話すじゃないか、もしかしてあれか?俺に対して照れてるのか?可愛い奴め。
「試しただと?確かに神谷の実力は底知れないが、今回のテストは今後の学校生活に強く影響するだろう?そんなリスクを背負う必要はないだろう」
気付いたらクラスの2大巨頭である2人が言い争いをしている。あっという間に注目の的だ、喧嘩をするなら他所でやって欲しいんだけど。
「リスク?何がリスクなんですか?貴方はれいくんの何を知っているのですか?少なくとも私は今回したことはノーリスクだと思っています」
「確かに神谷が頭が切れる優秀な奴ということは百も承知だが高校生のレベルを超えた問題も出題されていただろう?」
「はぁ、やはり貴方はれいくんのことを何も知らないんですね、する必要のない心配はいらないでしょう?」
有栖が葛城に対して謎のマウントを取る。
「では、神谷はあの問題をヒントもなしに解くことが出来ると?」
「はい、私はれいくんを信じているので」
「落ち着け2人とも、テストに関しては大丈夫だから安心してくれ」
取り敢えずこの場を収めるために俺から一言だけ言っておく。
「そうだな、すまない」
「いえ、こちらこそ取り乱しました」
今争っても仕方ない、黙ってテストの結果を待とう。
そしてその当日。
「今からテストの結果を発表する」
そう言って先生は筒の中から大きな紙を取り出す。やっぱりこの学校はテストの詳細をまとめて告知する形式なんだな。生徒の名前と点数の一覧が載せられた大きな白い紙が黒板へと貼り出される。一通り目を通して分かったことは5教科のテストの点数の最低ラインが数学の68点だった。Aクラスとはいえ誰しもが勉強を得意とする訳ではない、それでも68点が最低点というのは実に素晴らしいことだと思う。そしてテスト当日に軽く言い争いになった俺の点数についてだが...
国語 100
数学 100
理科 100
英語 100
社会 100
まあ分かってはいたけどな。今回のテストは難しい問題も多々あった、だがこれは普通の高校生目線で難しいだ。俺は、いや俺たちは普通じゃない。ホワイトルームにいる時点で覚えるべき点は全て覚えている。
「本当に余計なお世話だったみたいだな」
葛城か、そういえば葛城も全教科満点だったな。流石だな、過去問があったとはいえ満点を取るのは中々難しい筈だし、やっぱりスペックの高い人間だな。普通ならこの時点でクラスのリーダー確定なんだけど...
「れいくん、今回は引き分けですね」
俺の隣のお姫様、葛城のライバルこと、坂柳有栖。当たり前のように全教科満点だ。あ、もう普通に話せるようになったぞ。最初は恥ずかしがってたんたけど、やっぱり慣れって怖いな。
「まあ、そうなるな、2人ともおめでとう」
「おっと、1つ言っておくのを忘れていた」
俺が素直に2人のことを褒めてたら、先生が何やら言い忘れがあったようだ。多分あのことだろうな。
「今回のテストも含め赤点を取った生徒は問答無用で退学だ、それともうみんなも他のクラスから聞いているかも知れないが、今回のテストと次回の期末テストで誰1人赤点を取らなかったらお前ら全員夏休みにバカンスに連れて行ってやる。豪華客船のクルージングだ」
やっぱり退学だったんだな。普通ならテスト前に言っておくべきことだけど、俺たちのことを信じてくれていたんだろう。あいつとは違って結構いい先生だな。俺はどちらかという1つめの話が本当であると確認出来たのが1番の収穫だけど、皆は違うようだ。今クラス内はバカンスやクルージングなどの言葉に反応して浮かれまくっている。頑張って勉強した甲斐があったな、俺はしてないけど。それに俺も初めてのバカンスということもあり喜びたいところだが、俺は空気が読めるからな、敢えて喜ばないでおこう。ん?皆が浮かれているのに1人だけ無反応なのは空気が読めてないって?まあクラス全体で見たらそうなるな、でも俺はAクラスでもあるが、隣の姫さまこと有栖の正式な彼氏でもある。俺が喜ばない意味が分かってくれたかな?
「れいくんは嬉しくないんですか?」
俺の可愛い彼女さんが声をかけてくれる。
「まあな、次のテストも控えてるし、この学校がこんなに親切だとは思えない。それに...」
「それに?」
惚けるなよ、有栖が1番分かってるだろうが。
「お前、行けないだろ?バカンス」
「...それを知って敢えて喜ばなかったんですか?」
「そうなるな、皆からしたら良い話になるけど有栖は違うだろ?」
「れいくんは優しいですね」
「そうか?普通気付くだろ」
「れいくんは私とクラスでは、私の方が大事ですか?」
「そうだな、天秤にかけるまでもない」
俺は圧倒的強者が好きなんだ、現段階で同学年の中で気に入っているのは有栖と龍園だけだ。あ、清隆は別な。悪いが今の平田と一之瀬に関しては興味すらないな。過去の2人は気になるけどな...
今回と次回の話は恐らくこんな感じの薄い内容になるので許してください。
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