肝心のレビューを晒していこうと思うんですけども(by ヤマダーシー)
山田「そういう訳でね――このくらいで、アイドリングも十分でしょう。空気もあったまってきたのでね、そろそろ肝心のレビューを晒していこうと思うんですけども」
助手『君、腕まくりして、やる気満々やな』
山田「ていうか、前置き長すぎたよね。飽きちゃったよ」
助手『なんつー言い草。お前が勝手に喋り倒していたんだろ』
山田「そこは助手が上手くコントロールせぇよ。本題に辿り着くまでが、長すぎるわ。――とにかくね、やっと本題ですよ――じゃあ、実際のレビューをね、見ていただきましょう」
《※Amazon関連は、たとえレビューであっても他媒体での引用がマズいみたいなので、実際のページを見てみてください。検索画面で『山田露子』で検索すると、著作物が出てきます。今、話題にしているのは、完全版1に書き込まれた、きもいとかくずとか書かれたレビューです。見てすぐに『これ』と分かると思います。完全版2のほうは違うので、ご注意を! ……まぁでもそっちは優しい文章だから、すぐに分かるか》
助手『えー……めちゃディスられてますやーん。マイナー作品に対する熱量ちゃうなぁ。ゲーム・オブ・ス*ーンズの最終章に対するレビューかよ(笑)』
山田「…………」
助手『ほんまに、この人、めちゃ怒ってますやん。ヤマダーシーのマイナー小説をわざわざ読もうと思ったのもすごいけど、ほんまガチやな、この人。ここまでくると、まじでヤマダーシーの世界一のファンちゃう? けなし言葉が逆に『好っきゃねん! 無視できへんねん!』に聞こえてくるわ。――ていうか、何? この人、ヒーローに、身内でも殺されたん?』
山田「…………」
助手『ちょっと、ヤマダーシー? どうした?』
山田「ん?」
助手『いや、君がノリノリで始めたことなのにさ、急にだんまり決め込みだしたから、どうしたのかな、って』
山田「いやー……長い……」
助手『え?』
山田「飽きたよ、もう。集中力切れかけとんのに、らくだのヨダレくらい粘着度のある感想聞かされたら、かなわんで」
助手『言い方! お前、マジで刺されんぞ!』
山田「いや、ほんまよくないなぁ……。こういうとこよ。こういうところが、私、ひとさまから嫌われてしまうんだと思うわぁ。ちゃんとせなあかんね。――こうなったら、七三分けを、八二分けに変えて、誠意見せて、菓子折りでも持ってな。この人のとこに詫びに伺わんとあかんよね」
助手『詫びに伺うて、この人の自宅、知っとるん?』
山田「知らんけども。ちょっと今、調べてもらってる最中だから」
助手『え、誰に頼んだの!? 怖っ……ちょ、ちょっと待って。この人の素性、調べてもろてるん?』
山田「そうよ。ちゃんと謝りたいからさ」
助手『やめろ! 即刻やめるんだ‼』
山田「でももう、懸賞金三億かけてしまっているから、今更、中止はねぇ……」
助手『さ、さ、さ、三億ぅ????』
山田「少ない?」
助手『おい、馬鹿か!』
山田「こういうのは、気持ちだからさ」
助手『ちょっともう、何言ってんの? 怖いんだけど! そもそもね、あなたのオーダー、正しく調査員に伝わってます? もしかしての話やけどぉ、あんたの三億な、別の人を見付けるために使われようとしていると思うで?』
山田「どういうこと?」
助手『その懸賞金、ガーシーにかけられてもうてるで。金額ピッタリ合うから』
山田「な、なんだとぉ……!?」
(五分中断)
山田「……うっ……ひっく……ひっ……!」
助手『しゃくり上げんな、気持ち悪い。こらえろ。皆さん、見てはるで』
山田「ガーシーさん、ほんまごめんやす……」
助手『ガーシーに申し訳なくて、泣いとったんかい! どんだけ好きやねん』
***
山田「ぐっ……ぶひっ……」
助手『泣き過ぎて、ブタ鼻鳴らしとるやん。……なんか、可哀想なってきたわぁ……ヤマダーシー可哀想やから、私がね、あなたの作品のフォローしておいてあげますよ。あのね、君の小説、出版社さんのほうから声かけてもろたんやろ? プロの編集さんが『魅力がある』思てくれた小説やで。ちゃんと大切にしてかな、あかん思うで』
山田「……そうね……ほんまやな……ありがたい話ですよ」
助手『それにな、君のこの小説って、ヒーローが狂気と正気のはざまにいるっていうか、そういう危ういバランスの中にさ、生きていく上でふと現れる影みたいなものを感じて、それでも前を向いていこうっていう、泥臭さを見せる話やん? 言葉に出来ない、揺らぎ、みたいなさ。100%善人じゃないし、確かにヤバいやつやけど、一周回って、どこか懐かしい感じがするというかさ。皆ふとさ――『でも、じゃあ、まともってなんだ? 自分は本当にまともか? 誰かを好きになった時、スマートに、正しいことだけできるか?』って、足元の危うさに気付くっていうかさ。上手く言えんけど』
山田「真面目な話するとね……このレビューだと、ヒーローの心独白がきもいみたいに言われてしまっているけれど、編集さんから、後半のふわっとした感じ、ちゃんと言語化して決着つけてください、って言われたの。――ほんで、自分でも考えたわけ――それで、言われたことに、納得がいったっていうか。この作品のヒーローって、やっぱり、そう――狂気と正気のはざまをさまよっているんですよ。でもこの作品の一番のウリって、そこにあるから。――読者への好感度を考えて、ふわっと流すのはよくないかもな、って。編集さんから言われたから嫌々従った、じゃなくて、確かにそのほうがいいかもなぁと思ったんだよ。――まぁ、もともと、その加筆部分がなかったとしても、キモイて言われてたかもしれんけどね」
助手『そもそもね。この問題は、コントに対して、『不謹慎!』て言うようなもんですよ。――だってこれ、変な人が出てくる話なんやから。ほら――『どうしても正しい格好に変身できないヒーローのコント』があるでしょう? あれを見てね、『一回注意されたら、できるはず! 普通じゃない! キモい!』って怒っているようなもんやん? それ言い出したら、なんでもけなせるよなぁ。もうとにかく感性が合わないっていうか、ヤマダーシーの小説が、この人、まじで嫌いなんやろな』
山田「やっぱり一度、直接会って、ちゃんと謝らなあかんな。三億の懸賞金、正しい道に使うわぁ」
助手『おい、けなしレビュアーをどうしても探そうとすんの、やめろ! あと三億もいらん! たぶん三万くらいで探せるわ!』