新庄徳洲会病院 院長
笹壁 弘嗣
新庄・最上地区は、冬は雪深く、夏は緑に囲まれた田園地帯です。新庄徳洲会病院は、1998年12月に病床数270のケアミックス型病院として開設され、県立新庄病院をはじめとする周囲の病院や診療所と連携しながら、地域医療の一翼を担っています。
私は、2004年9月に赴任し、翌年1月に院長に就任しました。以後一貫して目指しているのは、3つの面でよい病院にするということです。まず何といっても患者さんにとってよい病院です。これは一言で言うと、患者中心の医療を行うということです。そのためには、高い専門性を持った多職種の職員が患者さんを取り囲み、横のつながりを持ちながら専門を発揮しなければなりません。次に地域住民にとってよい病院です。直接医療を受ける立場でなくても、講演などを通じて啓蒙活動を行い、医療に対する不安を解消できればと思います。そのようにして信頼を得られることで、次世代を担う人材を地域から集めることも可能になります。そして最後に働く職員にとってもよい病院です。「患者のため」だけを強調するあまり職員が疲弊するのでは本末転倒です。朝起きたときに、「よし、仕事に行くぞ!」という気持ちになれる職場でなければなりません。その上で「生命だけは平等だ」という理念の下に、一人一人が目標を持って、自己を向上させる場としていきたいのです。
当院は開設時から地域の維持透析の中心的病院です。急性期医療は医師不足のため限られたことしかできませんが、医者が少なくても医者以外の医療者が活躍することで展開できる分野に力を入れています。そのため、慢性期のケアに労力を要する患者のために障害者病棟を2006年に、急性期から慢性期の橋渡しのために回復期リハビリ病棟を2011年に開設しました。
また、急性期病院では顧みられず、診療所では手に負えない、難治性の褥瘡患者も広く受け入れるために、心ある看護部職員が困難を乗り越えて専門資格を取得し、今では地域全体から信頼される病院になりました。今後は避けることのできない「多死社会」と向き合うために、在宅医療と死を支える医療に力を入れていきます。
問題山積の日本の医療、元気のない地方都市、その中でチャレンジするのが私たちの病院です。