【5月25日 時事通信社】ロシアのプーチン政権が、志願兵の年齢制限撤廃に向けた手続きを進めている。現行法では18~40歳のロシア人と18~30歳の外国人が志願兵として契約できるが、上下両院は25日、年齢の上限をなくす改正法案を賛成多数で可決した。ウクライナ侵攻で予想以上に苦戦して人的損失が拡大し、兵員不足に陥っていることが背景にありそうだ。

 法案を提出した議員らは「高精度兵器の使用や武器や軍備品の運用には、高度な専門家が必要」と主張。熟練の域に達するのは「40~45歳」だとして、年齢制限撤廃の必要性を訴えた。制限をなくすことで、工兵や医療、通信分野などの専門的人材を集めることができるとも説明した。法案はプーチン大統領の署名を経て成立する。

 ロシア国防省は自軍の戦死者数に関し、3月下旬に「1351人」と発表して以降は更新していないが、多数の犠牲が出ているとの見方が強い。英国防省は今月23日付の戦況報告で、ロシア軍がウクライナ侵攻開始から3カ月間に、旧ソ連軍がアフガニスタン侵攻(1979~89年)で失った兵士数に匹敵する犠牲を出したとみられると指摘した。泥沼化したアフガン侵攻で、旧ソ連軍の戦死者は約1万5000人とされる。

 英国防省は、ロシア軍の「お粗末で低レベルな戦術と、限られた空中援護」などが高い死傷率につながっており、ウクライナ東部ドンバス地方の攻防戦で犠牲は増え続けていると分析。過去の例を見てもロシア国民は戦死者の数に敏感で、ウクライナで犠牲が増え続ければ、「国民の戦争への不満と、それを表明する気持ちが高まるかもしれない」と予測している。(c)時事通信社