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エクセルによるコールセンターのスタッフ・プランニング

By Joannès Vermorel, May 2008

このページでは、目標とするサービスレベルに到達させるため、数多くのスタッフをどのように最適に配置するかを説明します。このガイドはコールセンターやコンタクト・センターに適しています。この理論はマイクロソフト・エクセルを利用します。この理論をカスタム・アプリケーションで再現したいと考えるソフトウェア開発者には、詳細が入手可能です。

ダウンロード: erlang-by-lokad.xls (マイクロソフト エクセルシート)

エクセルシートを開くと、このドキュメントはマクロを含んでいますという警告メッセージが出ます。これらのマクロはErlang-C formulaと対応しています(以下の説明をご覧ください)。計算を再生するため、マクロをアクティベートする必要があります。


かかってくるコールのモデル化

かかってくるコールは、いくつかの種類にモデル化されます。
  • コールの平均継続時間ttは下記の表のB7
  • スタッフの人数mmは下記の表のB8
  • コール着信率 λ 。着信率は1秒間にかかってくるコールの数。 λ は、下記の表のB9

上記の3つの変数といくつかの統計的仮定に基づいて以下の率を計算することができます。
  • スタッフの平均占有率
  • コールがウェイティングになる確率
  • コールがある一定時間以上ウェイティングになる確率

もっとも重要な統計的仮定は、かかってくるコールが ポワソン過程のように機能することです。コール・イベントがほとんど独立しているものである場合、それほど込み入った詳細を扱わなくても、この過程は妥当なものと言えます。

反例: テレビでクイズ番組などの視聴者からのコールを受けるコールセンターを考える場合、ポワソン過程はうまく機能しません。なぜならすべてのコールはクイズの問題などに対して一斉にかかってくるからです。

Erlangを使った指標の計算

さて、前項で紹介した仮定に基づいて、いくつかのキーとなる指数を計算し、コールセンターの活動に反映させます。

Call center calculations in Excel


周期は分析する時間ウィンドウの長さを表します。上記に表されている900秒(15分)は、コールセンターで頻繁に使われる集約単位です。

トラフィック密度は、かかってくるすべてのコールに対して必要なコールセンタースタッフの最低人数を表します。トラフィック密度よりスタッフの人数が少ない場合、コールは応対されないという事態に陥ります。トラフィック密度はuで表され、平均コール継続時間tをかけてコール着信率 λ を計算します。上記の表では、トラフィック密度はB10に表されています。

スタッフの平均占有率(または使用率)は、スタッフの任務時間(電話待機時間を含む)に対し、スタッフが実際に電話で応対している時間を比率で表したものです。スタッフの占有率は、単純にトラフィック密度uをスタッフ人数mで割ったもので表されます。上記の表ではスタッフ占有率はB11に表されています。

待機の確率(電話をかける側の立場から見て)は、スタッフのコール対応可否の確率を表しています。 この値は、Erlang-C数式で得られます。Erlang-C数式の内容につきましてはこのガイドでは触れませんが、Wikipediaで詳細をご覧になれます。ErlangC機能は、スタッフ人数mとトラフィック密度u、この二つの独立変数が関わります。

平均応答速度(ASA)コールの待ち時間を表します。ASAはErlang-C 数式で計算されます。上記サンプルの表ではASAはビジュアル・ベーシックの中のASAのマクロ機能を使ってB13に表されます。このASA機能は、スタッフ人数m、トラフィック密度u、平均コール持続時間t、この三つの独立変数が関わります。

待機時間が予想以下の確率は自明の通りです。待機の確率と同様に実際の数式はこのガイドでは説明いたしません。 上記サンプルの表では、確率はB15に計算されており、希望待機時間(目標時間)はttで表され表のB14にあります。この計算は、ErlangCsrv機能では、スタッフ人数m、トラフィック密度u、平均コール持続時間t、 目標時間tt、この四つの独立変数が関わります。 

エクセルを使った実用的スタッフ配置

前項で、コールセンター業務を分析する有用な指数をどのように計算するかをみてきました。しかし、上記のエクセル表は明瞭ですが、コールセンターの実用向きではありません。

この項では、下記のスクリーン・ショットのようにもっとコンパクトな形を提案します。

Staffing table in Excel


サンプル表では一番左上がE2です(セルは空です)。この表で計算されているのは前項で紹介したものを応用しただけのものです。

特徴をいくつか挙げると
  • 一定平均コールの継続時間をtと仮定し、一定目標時間をttと仮定する。
  • エクセルのセルを固定する。例えばA1とはせずに、$A$1とする。(カット・アンド・ペーストする際に便利なため)
  • スタッフ数は目標のサービス・レベルに合わせて自在に変更可能。
  • セルのフォーマットは小数点以下の値を調整。

実際には、もっとも難しいタスクはコール量を正確に予測するということです。これらの予測はこちらからLokad Call Center Calculatorクリックひとつで計算されます。