近年、マネーリテラシーを高めるためにファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得を目指す方が増加しています。
しかし、難易度や学習方法が分からず躊躇している方も多いのではないでしょうか。
今回は、ファイナンシャルプランナーの資格の中でもAFP資格の難易度や取得方法について、AFP有資格者の監修のもと、解説していきます。
目次
AFPの難易度・合格率はどの程度か?
AFP取得の難易度や合格率を知るためには、結論として、FP2級とAFP認定研修それぞれの難易度・合格率を見る必要があります。
というのも、AFP資格の取得にはFP2級合格とAFP認定研修修了が必須だからです。以下で詳しく見ていきましょう。
AFP資格取得には2つの条件が必須となる
AFP資格を取得するルート自体はいくつかありますが、いずれにしても必要な条件が以下の通り2つあります。
①2級FP技能検定に合格すること
②AFP認定研修を修了すること
なお、AFP資格を取得するルートについては以下の通りです。
- 基本のルート:「AFP認定研修修了→FP2級合格」
- 2年以上のFP実務経験あり:「FP2級合格→AFP認定研修修了」または「AFP認定研修修了+研修中にFP2級合格」
- FP3級合格済み:「FP2級合格→AFP認定研修修了」または「AFP認定研修修了+研修中にFP2級合格」
参考:AFP認定者になるには
このようにAFP資格取得のルート(手順)自体はいくつかありますが、その中身を見れば分かる通り、いずれにしてもAFP資格を取得するには「2級FP技能検定に合格すること」と「AFP認定研修を修了すること」が必要になってきます。
そのため、AFP取得の難易度や合格率を知るためにはFP2級とAFP認定研修それぞれの難易度・合格率を見る必要があるのです。
以下の項目にて、FP2級とAFP認定研修それぞれの難易度と合格率を詳しく解説していきます。
FP2級の合格率・難易度について
AFP資格を取得するためにはFP2級に合格していることが必要です。
FP2級を取得するには学科試験と実技試験の両方に合格する必要があり、試験実施機関は「日本FP協会」と「きんざい(金融財政事情研究会)」の2つです。
学科試験はこの両機関同一内容ですが、実技試験は出題範囲が異なります。難易度は同程度ですから、試験会場や得意科目などでどちらの機関を受験するかを選択してもいいでしょう。
FP協会ときんざいそれぞれにおける年度ごとの学科・実技試験合格率は下記の通りです。
日本FP協会での合格率
試験年月 | 学科 | 実技 |
2022年1月 | 41.51% | 56.33% |
2021年9月 | 50.56% | 60.26% |
2021年5月 | 55.61% | 66.67% |
2021年1月 | 44.02% | 71.01% |
きんざいでの合格率
試験年月 | 学科 | 実技(個人) | 実技(中小) | 実技(生保) | 実技(損保) |
2022年1月 | 19.50% | 39.69% | 57.84% | 50.94% | ― |
2021年9月 | 25.46% | 42.48% | 59.75% | 33.92% | 68.49% |
2021年5月 | 33.82% | 42.81% | ― | 47.18% | ― |
2021年1月 | 23.42% | 36.00% | 64.12% | 54.96% | ― |
※実技(個人):個人資産相談業務、実技(中小):中小事業主資産相談業務、実技(生保):シホ顧客資産相談業務、実技(損保)損保顧客資産相談業務
FP協会ときんざいの学科試験の合格率に少し差がありますが、試験問題は同じですから難易度に差はありません。FP協会は個人申込が多く、きんざいは団体申込が多いため受験に対してのモチベーションが結果に影響していると言われています。
さらに合格率や難易度について詳しく知りたい方は以下のコラムを参考にしてください。
※関連コラム:ファイナンシャルプランナー2級の難易度と合格率を解説!3級と違う3つの要素
AFP認定研修の合格率・難易度は?
AFP資格取得はFP2級合格だけでなく、AFP認定研修の修了が必要です。
AFPの難易度・合格率についての結論ですが、
・合格率は公式統計としては公表されていない
・難易度はそこまで高くない
ということになります。
AFP認定研修とは、ファイナンシャル・プランニングに必要な倫理・コンプライアンスとライフプランや金融、保険、相続、不動産など6つの専門分野にわたる知識を体系的に学習できるように構築された日本FP協会認定の研修講座です。
研修は協会が認定した教育機関にて実施されており、学習時間や単位数は認定教育機関のカリキュラム設定により異なりますが、通信研修が中心ですので自分のペースで学習を進めることが可能です。
なお、どの教育機関も学習の最後に課題に基づいた「提案書」を提出し、この「提案書」で合格点をもらうと無事にAFP認定研修を修了することが出来ます。
提案書は、ファイナンシャルプランナーとして顧客にとって最良と考えられるプランを作成することが求められますが、仮に不合格になっても受講期間内であれば何度でも再提出が可能です。
AFP認定研修は、提案書が何度でも再提出可能なこともありほとんど落ちないのが一般的で、それほど難易度は高くないとされています。FP2級の知識がしっかりと身についている方であれば合格できるでしょう。
実際に研修を受けてみて
筆者の場合、FP2級の勉強をしながら認定研修を受講していました。研修は、6分野それぞれの課題提出後に提案書の作成を行うという流れで、提案書の雛型はFP協会のホームページからダウンロードし、一から作成しました。
挨拶文から考えなければならず、これでいいのかと迷いながら、休日にまとめて2時間ほど時間を作り4日間ほどで提案書を完成させ、一発合格しました。
提案書=難しいというイメージかもしれませんが、提案書よりも6分野それぞれの課題の方が難しかったというのが筆者の感想です。
平日の昼休みと帰宅後1時間を勉強に充て、1分野1ヵ月のペースで課題を提出し、合格認定までに要した期間は半年ほどです。その後、AFP認定研修修了後にFP2級を受験し、合格後の2016年12月にAFP認定を受けています。
まとめ
以上、AFP資格を取得するためのルートから、取得のために必要なFP2級やAFP研修の難易度・合格率までを見てきました。
ここで見てきたように、AFP認定研修の難易度はそれほど高くはないとされています。
そのため、AFP資格を取得するためには、まずは2級FP技能検定の対策をしっかりとすることが重要であると考えられるでしょう。