「この曲は、たまたま志村が鼻歌で歌っていたのをいかりやが聴いて、とりあえず出してみたという偶然的なものだったが、これが大ウケ。9月にはシングルで発売され好セールスを挙げる。東村山市長から『市の知名度を上げた』ということで感謝状も贈られている。このブレークにより、ドリフターズの一員として、コメディアン・志村けんが世間に認知され、第2期ドリフの快進撃の幕開けとなる」(白夜書房「笑芸人」VOL.1から)
つまり、彼のブレークのきっかけは音楽ネタだったのだ。音楽誌「BURRN!」(シンコーミュージック) 初代編集長・酒井康が著名人の音楽遍歴を掘り下げる対談集『虹色の音詞』(同)に志村は登場している。
「ラジオで坂本九さんや森山加代子さんを聴いてたけど 、あれが外国の曲とわかったときはショックだったねぇ(笑)。で、原曲を聴くと“ああ、なんていいんだろう”なんて思ったりして……(笑)」
こうして、志村の趣味は日本の音楽から洋楽へ移行していく。
「最初はビートルズが好きで、その後はもっとヘヴィなハードロックに入っていったんですよ。ディープ・パープル、レッド・ツェッペリン……」
音楽マニアの間では有名だが、特に志村は、あるハードロックバンドをお気に入りとしていた。ユーライア・ヒープだ。
「聴きましたねえ。Look at Yourselfが気に入っていて……ユーライア・ヒープって、必ず(アルバムに)1曲は綺麗な曲が入ってますよね? July Morningとか……2、3年は気に入って、そればかり聴いていました」