ここで紹介する小判3枚は、極印の共通性から明らかに同じ場所で作られたものであるが、江戸座、京座、駿河座どれにも分類できなかった小判である。
「新」「藤」など江戸座の小判師が打たれたものもあるが、五三の桐の枠の形(江戸座より扇の曲率が大きい)、ゴザ目の打ち方(江戸座よりタガネが細く細密に打たれているものが多い)、「光次」の書体(江戸座は離光次系統だが、そこから外れている)から明らかに江戸座には分類できない。この製造地独自の小判師が打たれたものが多い。おそらく江戸座近傍で製造されたのであろう。
これらに共通しているのは、花2型(一見花1-1型のように見えるものもあるが、大きな袋が平べったくないので花1型ではない。)でかつ独自のシークレットマークが打ってあるものが多いということである。
3座では製造が間に合わなかったので、臨時的な製造場所を新設したと思われる。
臨時的な製造所であったので、対応額一分金、対応慶長一分判金は製造されなかったと思われる。
慶長小判前期製造地不明(江戸座近傍)タイプCはおもて面の「光次」書体が慶長小判前期京座Dタイプで、裏面花押が花2型であるので、慶長小判前期京座D-1タイプと同時期つまり1607年に製造されたと思われる。
・裏面花押の下にシークレットマークのポッチがある。
・慶長小判前期臨座タイプBと同じ裏面花押。よって連続して作られた。
※ちょんまげの右端が跳ねている普通の花2型タイプのものもある。
・裏面花押の下にシークレットマークのポッチがある。
・慶長小判前期臨座タイプAと同じ裏面花押。よって連続して作られた。
※ちょんまげの右端が跳ねている普通の花2型タイプのものもある。
・裏面花押の大きな袋の中にシークレットマークのポッチがある。
・タイプCと同じ「一両」極印を打たれたタイプBが存在する(以下※参照)。よってタイプBとタイプCは連続している。