ひろゆきは「ラトビア人」になろうとしていた
小山:ひろゆきさんは2015年からフランスにお住まいですが、フランスは生活費も高く、税制面で有利な国というわけでもありません。なぜフランスを選ばれたのでしょうか?
ひろゆき:そこは僕の彼女に聞いていただければ(笑)。僕から彼女に「住むならどの国がいい?」とたずねて、カナダ、フランス、ブラジル、ポルトガル、マレーシアのなかで選んでもらった答えがフランスだったんです。でも、この国って肉と野菜とワインがめちゃくちゃ安いので、毎日自炊していればそんなにお金はかかりませんよ。で、僕、その前はラトビア住人だったんです。
小山:ラトビアですか!?
ひろゆき:はい。日本でも有名になったエストニアの南にある旧ソ連の小さな国です。ラトビアってヨーロッパのなかでも永住権が取りやすい国で、まとまったお金を現地の銀行に入れて5年暮らしたら定住ビザが取れるという話だったんです。それで4年くらい暮らしたんですけど、ビザ取得にはラトビア語の試験があることを知って、「そこまで苦労してビザいらないかな」と思ってフランスに移った背景があります。フランス語って母語人口以外に第二言語になっている国が多いので使い道がありますけど、ラトビア語を覚えてもね(笑)。
小山: ということは、そもそも永住権や長期滞在ビザを念頭に置かれた海外移住だったわけですね?
ひろゆき:そうですね。いまはずっと観光ビザを更新しながらフランスに住んでいるんですけど、このまま住み続けたら長期滞在資格が取れるんです。それが取れるとEU内で自由に住む場所を変えられるようになるんですよ。ちなみに僕、アメリカの10年ビザも持っていますし、マレーシアのMM2H(長期滞在ビザ)も持っています。
小山: ビザコレクターですか(笑)。
ひろゆき:僕のなかでは「いられる国」を増やしたいという感覚なんです。選択肢は多いほうがいいですからね。
小山: たしかに。自由とは選択肢が多い状態のことですからね。
ひろゆきが推すお金の資格は「簿記」と「USCPA」
小山:ちなみにひろゆきさんはさまざまな動画で、キャリアや進路で迷う若者たちに簿記の取得を勧められています。それが今回、私の本の推薦をいただくきっかけとなったわけですが。
ひろゆき:簿記2級ですね。結局、簿記2級までなら高卒の人でも本気で勉強すれば誰でも受かると思うんですよ。たしか簿記2級って工業簿記もありましたよね?
小山: あります。原価計算ですね。
ひろゆき:そうですよね。だから会社のお金まわりのことについてかなり詳しくなれるし、就職や転職でも有利に働きますからね。
小山: 食いっぱくれない資格ナンバーワンみたいな感じですか?
ひろゆき:いやいや。食いっぱくれない資格だったらデータアナリストでもいいんですけど、みんながなれるわけじゃないですよね。「何がしたいのかわからない」とか、「就職できる自信がない」みたいな人に対して「それなら簿記勉強してみれば」と勧めることが多いんです。難易度がそれほど高くもなく、高校卒業くらいの学力があれば難しくないと思うので。
結局、資本主義経済が世界で完全勝利を収めて今度も変わらないことは、社会主義国のロシアも中国も資本主義経済を導入していることからも明らかなわけで、やっぱりお金にまつわる知識ってあって損はしないんですよ。
小山: まったく同感です。公認会計士についてはどう思われていますか?
ひろゆき:日本の公認会計士資格ですよね? 小山さんは公認会計士を目指す若い人を応援する立場にいらっしゃるので、こういうことを言っていいのかわからないんですけど、費用対効果で考えるとUSCPA(アメリカの公認会計士)の勉強をしたほうがいいんじゃないかと個人的には思っています。
だって日本の公認会計士資格ってめちゃくちゃ勉強しないと取れないじゃないですか。どれくらい勉強するんでしたっけ?
小山:目安は3500時間と言われています。多い人だと5000時間くらい。ちなみに簿記2級が300時間くらいです。
ひろゆき:ですよね。でもそれだけ勉強して合格したところで、なかなか就職できない世代っていませんか?
小山: 僕の時代がまさにそうでした。逆にいまは完全に人手不足で、仕事にあぶれる人はいませんけどね。
会計士が大手監査法人から独立するワケ
ひろゆき:でも結局そうやって時代によって浮き沈みが激しいイメージがあるんですよ。しかも日本の会計士さんって超真面目で超優秀なのに、収入的に突き抜ける人って少ない気がするんです。医者や弁護士と違って。
小山:たしかに大手監査法人に入っても、パートナー(※経営層)クラスにならないとめっちゃ稼ぐのは難しいですね。といっても、平均して2000~3000万円くらいかなぁ。年収1000万円くらいの「小金持ち」には結構すぐになれるんですけど。だから収入が頭打ちになるのが嫌な人は僕みたいに独立しちゃうんですけどね。
ひろゆき:そうですよね。あと、いま世界の動向をみていても、会計の仕事自体が縮小していく流れにありますよね。たとえばエストニアなんて行政を電子化して税制も簡素化したことで、税理士や会計士の仕事が激減しましたよね。それにグーグルって、租税回避のためアイルランドに欧州拠点を置いているわけじゃないですか。それにAIの台頭も当然ありますね。
そういったことを考えると「日本で公認会計士になったら食いっぱくれません!」って言い切れる人っていないと思うんですよ。小山さんは言い切れますか?
小山:僕はいつも「この先10年は安泰です」と言います(笑)。
ひろゆき: まあ、それくらいしか言えないですよね。その点、USCPAを取れば、会計士の仕事だけじゃなくて、世界のどこにいっても一般企業で「財務」の仕事ができるんですよ。アメリカだけではなく。それが大きいと思うんです。
日本の公認会計士さんも日本企業で財務の仕事はできるでしょうけど、しょせん日本でしか潰しがききませんよね。USCPAなら世界的な信用があります。将来の選択肢を増やしたいならUSCPAかなと思いますね。もちろん英語は必須ですけど。
国力が下がって、能力が高い人ほど日本を脱出する?
小山:いや、おっしゃる通りです。しかもUSCPAの方が日本の公認会計士試験より簡単なんですよ。実は私もいまUSCPAの勉強をしている真っ最中です。
ひろゆき:海外展開を見据えて、ですか。
小山:そうですね。僕も経営者としていろんな事業をやらせてもらっていますけど、成長性であったり、事業の広がりなどを考えると、どうしても経済成長している国に興味がいくんですね。なので僕も海外に拠点を移すことを真剣に検討していて、英会話も猛特訓中です。
ひろゆき:いいじゃないですか。でもそうなるんですよね。日本って毎年人口が減っているわけですけど、やっぱり人口と国力って比例しますからね。日本を脱出するかしないかは別として、いざというときの備えくらいはしておいたほうがいいと思いますよ。
だいたい僕も最高月収があったのって、15年くらい前ですから。2ちゃんねるの掲示板から生まれた小説『電車男』が売れたときに5000~6000万円くらいあったかな。それが最高値ですよ。
小山: いまから日本はもっと厳しくなるんですかね。OECD(経済協力開発機構)のデータによると、平均賃金も韓国に抜かれましたね。
ひろゆき:そうですよね。日本に住んでいるお金持ちの知り合いたちを見ていても、半分くらいは子どもをインターナショナルスクールに行かせていますよ。本人たちはいまのところ移住する気はないみたいですけど、次の世代はいつでも海外に飛び出せる準備を進めていると。「いよいよ日本脱出が加速していくのかぁ」と思いながら状況を眺めています。
小山: ちなみにひろゆきさんは資産のポートフォリオでも、通貨の分散は意識されていますか?
ひろゆき:意識していますね。とはいえ僕の投資って基本ほったらかしなので厳格には管理していませんけど、仮に僕が日本に住んでいたとしても外貨投資は絶対にしていますね。いまは円とドルとユーロがだいたい3分の1ずつになる感じで分散はさせています。
小山: 投資の鉄則「ひとつのカゴに卵を盛るな」ですね。まさに今日の海外移住の話やUSCPAの話に通じますね。
ひろゆき:そういうことですね。
(構成=郷和貴)

















































