(写真:読売新聞)

写真拡大

 中国在住の北朝鮮のIT技術者が、知人の男名義で日本のスマートフォンアプリの開発を請け負い、報酬を不正送金させていたとされる事件で、この技術者が兵庫県の防災アプリの修正業務を請け負っていたことが、捜査関係者などへの取材でわかった。

 同アプリでは、北朝鮮からのミサイル発射などを速報する「Jアラート」も配信している。同県は利用者の個人情報などの流出は確認されていないとしているが、業務発注のあり方を検討する。

 兵庫県危機管理部によると、北朝鮮の技術者が関わったアプリは同県が提供する「ひょうご防災ネット」。2019年春から運用を始め、26万人ほどが利用している。地震速報や河川の水位などのほか、北朝鮮からのミサイル発射も速報される。

 同県が18日、過去の契約を調査したところ、19年10月、委託業者を介し、東京都内のアプリ開発会社が仲介サイトを通じて、この技術者にプログラムの修正業務を依頼していたことが判明したという。

 捜査関係者によると、技術者は横浜市に住む韓国籍のタクシー運転手の男(57)名義で仲介サイトに登録し、日本企業や自治体のアプリ開発を受注していたとみられる。同県の担当者は「発注先の確認は十分にされていたと思っており、困惑している。避けるのは難しい問題だった」と話した。

 上原哲太郎・立命館大教授(情報セキュリティー)は「仲介サイトを通じて、悪意のある技術者が身分を偽って入り込み、情報を抜き取る危険性もある。重要な情報を扱う自治体の業務では利用されるべきではない」と指摘している。

◇  神奈川県警は18日、技術者への不正送金に関与したとして、タクシー運転手の男を銀行法違反(無許可営業)の疑いで、技術者の親族で東京都北区に住む朝鮮籍の無職の女(75)を同ほう助の疑いで、横浜地検に書類送検した。

 発表によると、男は19年6月14~18日頃、アプリ開発の報酬として受け取った計約191万円のうち、手数料1割を引いて女の口座に送金し、女はその口座にひも付いたデビットカードを技術者へ送り、技術者が中国で人民元を引き出していた疑い。いずれも「技術者に依頼された」と容疑を認めている。