私立秀岳館高校(熊本県八代市)サッカー部で、30代コーチによる部員への暴行が発覚してから約1カ月。今も事態は収束していない。
火に油を注いだのが、同部を率いていた段原一詞前監督(49)の対応だった。
暴行被害を受けた部員らは顔出しの謝罪動画をネットに公開したが、氏は日テレ系「スッキリ」で「謝罪動画は部員が自発的に撮った」と説明。
「だが、のちに動画撮影は段原氏の指示だったことが判明した。部内会議でも『一番の被害者は俺』と述べるなど、生徒に責任を押し付ける姿勢に大きな批判が集まりました」(地元記者)
同校の中川靜也校長(91)は小誌先週号の取材に「(段原氏は)保身のために生徒を動かした」と、サッカー部から更迭。5月13日には新監督が就任した。
「ただ、TBSが『段原氏からも暴行を受けていた』というサッカー部OBの証言を報じるなど、問題は収まっていません」(同前)
段原氏はサッカーの名門、東海大五高(現・東海大福岡高)で活躍後、陸上自衛隊を経て指導者の道に進んだ。日大通信課程で教員免許を取得し、01年に秀岳館の監督に就任。
多くのJリーガーを輩出する段原氏の指導を受けたいと全国から生徒が集まり、部員は200名を超えた。中川校長も「彼のサッカーのネットワークは学校経営的にも大きかった。英語科の教員で、校長補佐の役職にあった。弁が立ち、教頭なども色々言えなかった」と小誌に語っていた。
指導者として地位を築いたが、地元サッカー協会の元幹部はこう語る。
「八代にきて間もない頃、段原氏が熊本県民体育祭の六人制サッカーの代表に選手として選ばれた。しかし大会前の紅白戦で攻撃的なプレーをしてキーパーに深刻なケガをさせたのです。練習試合でなぜそこまでと……。子供たちの前で目上の人を怒鳴りつけることもありました」
さらに、指導者らしからぬ一面が明らかに。
「16年頃、段原さんと2週間に1回程度、宇土市(熊本県)のラブホテルで会っていました。毎回1万〜2万円を頂き、身体の関係を持っていました」
そう告白するのは、九州在住のA子さんだ。
二人が出会ったのは出会い系サイトだったという。
「私は20代で、金銭的な余裕もなく、要求に応じました。段原さんは『カズさんと呼んで』と」
食事などはなく、ホテルで会うだけの関係だった。使うホテルは、3時間休憩で5000円程度の価格。
「福岡ナンバーの黒い外車に乗っていた。最初は買春のために福岡から来ているのかなと。ジャージ姿の時もあり、『軽くランニングしてきた』と言っていた」
紳士的な態度の段原氏だったが、A子さんに、
「あなたとはこういうことがなかったら一切関わり合うことのない立場だから」
と言うこともあったという。頻繁な誘いを煩わしく感じたA子さんは3カ月程で関係を絶ったが、
「その後も段原さんから『忘れられないよ〜』みたいなメールがきました。今春にも着信があり、知らないふりして『誰ですか?』とかけ直すと、『間違い電話だよ。でも元気そうでよかった』と」(A子さん)
段原氏に電話や質問状で事実関係の確認を求めたが、締切までに回答はなかった。秀岳館は「(買春疑惑は)学校業務外のことで、お答えできない」とした。
サッカー部からは外れたが、段原氏は未だ秀岳館教員という“教育者”である。
source : 週刊文春 2022年5月26日号