自民党の国防族議員は筆者の取材に対し、日本の次期戦闘機開発に「ロッキード・マーティンがそこまで乗り気でなかった」と指摘し、「(アメリカの)F35以降の次期戦闘機開発のタイミングが(日本と)合わなかったのが最大の理由と思われる」と述べた。
アメリカは現在、次世代制空戦闘機(NGAD)計画のもと、第6世代戦闘機のNGADや自律戦闘が可能な無人航空機「ロイヤル・ウィングマン」(忠実な僚機)などからなる航空優勢確保のプラットフォームを作ろうとしている。アメリカ空軍は2020年9月にはNGAD実証機を既に飛行させたと発表した。日本の次期戦闘機は性能的に第5世代戦闘機にとどまる見込みで、アメリカの開発とは確かにタイミング的にも技術的にも大きなギャップがある。
アメリカは有人戦闘機の開発に疑問?
また、同議員はロッキード・マーティンが日本の次期戦闘機開発に乗り気でない理由として、「アメリカは有人戦闘機の開発に疑問を抱いているのかもしれない」とも述べた。
確かにアメリカをはじめ、世界の多くの国々は第6世代戦闘機の将来戦闘航空システムのために、ロイヤル・ウィングマンといった無人戦闘支援機の開発を急いでいる。
将来の戦闘機は最新の技術を使って常続不断に既存の戦闘機を改良するため、第何々世代という概念がなくなるとアメリカは考えているかもしれない。このため、アメリカ国防総省もロッキード・マーティンも当初から既存機の延長線上にある日本との新たな戦闘機の共同開発に技術的な見返りを期待せず、メリットを感じていなかったとみられる。
開発協力のあり方についても、日本側とロッキード・マーティンの考えには隔たりがあるとされる。例えば、レーダーや電子戦装備品(EW)など次期戦闘機の主要装備品について、アメリカは開発初期段階にはアメリカ製を適用するよう求めた。
これは日本が開発途中や完成後であっても、「改修の自由度」や「次世代の技術も適用できる拡張性」を確保しようとしている方針と相反する。日本はエンジンの開発能力がなく国産から日米共同開発に追い込まれたF2の苦い経験や、アメリカの空対艦ミサイルを搭載するためのF15改修費用の急激な高騰を踏まえ、アメリカの言いなりになることを避けようとしている。日本が独自のニーズに基づき、自らの判断によって、能力向上や装備品搭載を容易に実施できる体制の確立を目指している。