拉致被害者支援団体「救う会」会長で現代コリア研究所所長の佐藤勝巳氏(75)と、東大名誉教授で「日朝国交促進国民協会」事務局長の和田春樹氏(66)が18日、東京都内で「北朝鮮とどう向きあうか」と題する講演会で討論した。両氏は北朝鮮や拉致問題への対応をめぐり、雑誌論文などで激しく対立している。
講演会は、03年7月に拉致被害者家族を招き集会を開いた在日コリアンや日本人らが主催し、月1回程度開いている「『北朝鮮へのまなざし』を考える連続講座」の一環。約150人が参加した。
和田氏が「北朝鮮の現政権に問題があっても、交渉を通じ変化を促すべきだ」と述べると、佐藤氏は「現政権は軍事独裁のテロ政権。話し合いの対象にはならない」と反論した。佐藤氏が「経済制裁によって圧力をかけたうえで対話すれば、拉致問題の解決は難しくない」と主張すると、和田氏は「行き詰まりを打開するために最後通牒(つうちょう)的な要求を出すべきではない」と批判した。
70年代、和田氏は韓国民主化支援、佐藤氏は在日朝鮮人の権利擁護運動を手がけ、ともに朝鮮半島研究誌の編集などにかかわったが、80年代以降は北朝鮮に対する認識をめぐり立場が分かれていた。拉致問題では和田氏が01年、「横田めぐみさんが拉致されたと断定する根拠は存在しない」とする論文を発表。佐藤氏は「拉致疑惑をないものにせんがための意図的なキャンペーン」と批判し、対立していた。
(04/18 20:30)
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