Twitterアカウントの情報から、タイムライン上の情報にどれだけ情報や話題の偏りがあるか分析する──こんなツールのβ版が9月27日に公開され、話題を集めている。サービス名は「エコーチェンバー可視化システム」。Twitterでは自身の分析結果を投稿する人が相次いでおり、同日には一時アクセスできない事態も発生した(28日朝時点で復旧済み)。
Twitterアカウントを登録することで利用できる無料のWebサービスとして、東京大学大学院の鳥海不二夫教授(工学系研究科システム創成学専攻)が公開。ユーザーは自身のタイムラインや、フォローしているユーザーの「エコーチェンバー現象」(閉じたコミュニティーでのやりとりにより、特定の意見が先鋭化すること)の度合を確認できる。
エコーチェンバー現象の度合は、鳥海教授などで構成されるチームが2020年に発行した、SNSから取得したデータを基に、コロナ禍における人々の感情の変化を分析する研究論文で採用した手法を活用。ユーザーがリツイートしたツイートや、誰をフォローしているかといった情報を基に算出しているという。
エコーチェンバー現象の度合に加え、タイムラインにいるユーザーや、フォロワーが話題にしている事柄をワードクラウドとして表示する機能や、各ユーザーの党派性を「リベラル」「保守」「不明」で分類する機能を搭載。タイムラインにおけるリツイートやリプライの割合も確認できる。
鳥海教授はこのツールを開発した背景について「(社会の)分断を生み出す要因の一つがエコーチェンバー現象にあるといわれている。(中略)しかし、自分自身がどの程度偏った情報に触れているのかというのは認識しづらい。(中略)そこで、Twitter限定だがどのくらい自分が見ている世界が偏っているのかを可視化するシステムを作ってみた」と自身のnoteで説明している。
一方でユーザーに対しては「(SNSを)特定の意図をもって使っているのであれば、偏っていることが悪いことではないと思う。(中略)エコーチェンバーの中にいるから問題なのではなく、エコーチェンバーの中にいるという事を自覚することが大切だと思うので、タイムラインの偏り具合を認識するくらいのつもりで使ってもらえれば」と記している。
【修正履歴:2021年9月29日午後1時20分 記事中のコメントが鳥海教授自身のnoteからの引用である旨を明記しました。】
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