組織の成長と衰退
組織は約30年周期で成長と衰退を繰り返すと言われています。
- 立ち上げ期:ノウハウは無いが、関係者のやる気は高く勢いがある時期。
- 発展期:失敗は多いが、少しずつノウハウが蓄積されていく時期。
- 成熟期:ノウハウが確立し、安定した組織運営ができる時期。
- 衰退期:エラーや失敗が増えて組織が弱体化する時期。
発展期の成功体験はノウハウとして組織に残ります。ノウハウ(know-how)とは、「どのようにやるか」つまりものごとの手順や方法の知識を意味します。
ではなぜ、正しいやり方、良いノウハウを残しているのに組織は衰退するのでしょうか。
組織の衰退原因
組織が衰退するのは人員の入れ替わりが原因です。立ち上げ期から働いていた人はおよそ30年も経つと現場から離れて、仕事は新しい人へと引き継がれます。この時、現場を離れた人の経験や知恵が次世代に充分伝わっていないことが理由なのです。
ノウハウとは「どのようにやるか」です、それはつまり成功体験の束ですが、この中には「何をしたら失敗したか」といった失敗経験や「なぜそれをやるのか」と言った情報が入っていないため、次世代にそのような情報が伝達されないまま抜け落ちてしまいます。ノウハウがどのように熟成されて作られてきたかを知らないと、重要なプロセスが失われる可能性があります。
規則やマニュアルは作ったその瞬間から陳腐化していきます。なぜそんな規則があるのか、なぜこういう手順なのかというバックグラウンドを日常的に教育しないと、伝言ゲームのように必要な情報が抜け落ちていくのです。
その結果、ルールや手順は軽視されて、必要なプロセスまでもが改善という名のもと省略されてしまいます。
OJTの危険
また、特に危険なのがOJT(On the Job Traning)です。OJTの指導側に適切な原理教育をしないと、後輩にマニュアル以上のことを教育することができません。
「これはこういうルールだから」
「昔からこうやってるから」
「今まではこれで上手くいっているから」
ノウハウを教えることはできるので最低限仕事はできるようになります。しかし、それ以上は成長できません。
ノウホワイ(know-why)とは
ノウホワイ(know-why)とは、「なぜそれをやるのか」という原理原則を知ることです。つまり、ノウハウのバックグラウンドを理解して、なぜ、どうしてそれをやるのかを理解することです。
ノウホワイを知っていれば、ノウハウを活用し、応用することができるようになります。つまりノウハウ以上の仕事ができるようになるのです。
アルバイトのように画一性が求められる場合であればマニュアルに従っていればよいのですが、高度な仕事をこなす必要がある専門職の人はその程度のレベルでは困ってしまいます。ノウハウレベルはできて当たり前、それ以上が求められるのです。
ノウホワイをどう教育するか
ノウホワイ教育に必要なのはOFF-JT(OFF the Job Traning)です。現場で手を動かして教えるOJTでは背景教育をする余裕が無いため、しっかりと時間を取って座学で教育する必要があります。OJTでは適宜OFF-JTを挟みましょう。ノウホワイを教えて原理を理解させた後にノウハウを教える、この繰り返しが必要です。