おしまいのくだりで、日本について言及しているのも興味深い。日本では、「ロシアによるウクライナ侵攻は遠いヨーロッパの惨事」と見る向きが多い。だが、中国の老獪な外交官は、「ロシアが日本という『パンドラの箱』を開けてしまった」と見切っているのだ。
確かに、ジョー・バイデン米大統領が来週22日に来日し、24日には日本でQUAD(日米豪印)の首脳会合が開かれる予定だ。中国は、QUADやAUKUS(米英豪)は、近い将来、アメリカが「アジア版NATO」を構築し、中国包囲網を築くための一過程と捉えている。そうした動きが、今回のロシアのウクライナ侵攻によって加速化していくと見ているのだ。
実際、日本では今月11日、中国を実質上のターゲットとした経済安全保障推進法が成立した。また「防衛費GDP2%論」から「反撃能力(敵基地攻撃能力)容認論」まで俎上に上っており、岸田文雄政権が進める「防衛3文書」の改定では、こうした要素が組み入れられていくものと思われる。
ロシアによるウクライナ侵攻が東アジアにもたらす「地殻変動」は、巨大なマグニチュードになるように思えてならない。
【今週の番組】
「石川和男の危機のカナリア」
BSテレ東 毎週土曜日朝7時~7時半
4月からテレビ各局が一斉に番組を改編して、はや1ヵ月が過ぎたが、私にとって一番面白い新番組が、「カナリア」だ。土曜日の朝、衛星放送の他局は一斉にテレビショッピングというのに、テレ東だけは緊迫した討論番組をおっ始めた。しかも「カナリア」でテーマにするのは、エネルギー問題だけ。先週は「レアメタルから見た世界」を3人のプロが開陳。世界市場での受注合戦で、日本企業が韓国企業に負けた裏話を石川氏が暴露した時は、眠気眼が吹っ飛んでしまった。
ウクライナ危機がエネルギー危機に直結する中、われわれが知りたい「ホンネの情報」が詰まった番組だ。
【今週の食堂】
Cafe AMADEUS STORY
大阪市北区中之島3-6-32
2年余りのコロナ禍で、東西カフェの名店がバタバタと斃れていったが、大正14年建築のダイビル(いまは新築)の場所に立つこの名店は、改装して生き残った。お薦めの時間帯はランチ時。しかも、周囲の上方御婦人達がバイエルン王室御用達ダルマイヤーの紅茶を啜っている中で、チェコビールを呷る爽快感! 絶品のドイツ料理と合うんですな、これが。