第三に、軍事的、経済的実力などの面でのウクライナに対する(ロシアの)優位性は、すでにウクライナの決然とした頑強な抵抗反撃と、西側国家のウクライナへの巨大で持続的かつ有効的な援助によって、抹消されてしまった。そしてロシアと、アメリカなどNATO(北大西洋条約機構)国家との武器技術装備、軍事理念、作戦モデルなどの分野での実力差が、双方の優劣の勢いの違いをさらに突出させている。
第四に、現代戦争はすべて、必然的に総合戦である。軍事・経済・政治・外交・世論・宣伝・諜報・情報など各分野を包括したものだ。ロシアは戦場で苦境に立たされているだけでなく、これらその他の分野でもすべて打ち負けている。このことが、ロシアの最終的な敗北を決定づけている。もはや時間の問題である。
第五に、今回の戦争をいつどんな形で終結させるかという決定権は、すでにロシアの手中から離れてしまっている。主要な既得の成果を得た条件下で、一刻も早く戦争を終結させようというロシアの意図、希望は、もはや無に帰したのだ。そうした意味で、ロシアはすでに戦略的なリードと主導権を失ってしまったと言える。
2.今回の戦争では次の段階で、(ウクライナの)対抗するパワーと強度がおそらく一歩上がる。
(戦争が)この先、拡大し、エスカレートしていく可能性を排除しない。その原因は、双方の目標が大きく相反し、向き合うべき方向と走っている方向が逆のためだ。
ロシア側のボトムラインは、クリミア半島の帰属を確保しつつ、ウクライナ東部を占領することだ。一方のウクライナ側は、主権と領土保全の問題で、ロシアに譲歩するつもりはない。そのため、ロシアとの戦争によってウクライナ東部とクリミア半島を取り返そうと決めている。
アメリカ、NATO及びEU(欧州連合)は、プーチンを敗北させるという決意を明白にしている。サリバン米大統領安保担当補佐官は最近、ロシアとウクライナの戦争でアメリカが達成すべき目標を3つ掲げた。第一に、ウクライナを独立した自由な国家にとどめること。第二に、ロシアの力を削ぎ、孤立させること。第三に、西側諸国が団結し、確固たる関係を築くことだ。
これらの目標を実現するため、アメリカとNATO、EU加盟国は、ウクライナへの支援を公然と増やすだけでなく、アメリカは(5月9日に)第2次世界大戦後、初めてウクライナ支援のための「武器貸与法案」を通過させた。アメリカはすでに、41ヵ国国防相会議で、ウクライナに対する援助を国際化、制度化させた。
さらに重要なことは、アメリカ、イギリスなどの国が直接、戦争に参画する程度が深まり、範囲も拡大しつつあることだ。これらすべてが、今回の戦争でロシアを敗戦に追い込み、懲罰を与えて終わらせるということを示している。