【5月17日 時事通信社】ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所でロシア軍への抵抗を続けていたウクライナ精鋭部隊「アゾフ大隊」などは16日、製鉄所からの撤退を開始した。ウクライナ軍最高司令部の決定に従った措置で、要衝マリウポリの陥落を意味する。ロシア国防省は17日、260人超が投降したと発表した。

 ロシア軍はマリウポリ掌握により、制圧を目指す東部ドンバス地方から、2014年に一方的に併合した南部クリミア半島に至るウクライナのアゾフ海沿岸部を完全に押さえたことになる。ロシアにとって大きな「戦果」だが、ウクライナ側も北東部などで反攻を強めており、戦局全体に及ぼす影響は不透明だ。

 また、ロシア紙コメルサントなどによると、ロシアのルデンコ外務次官は17日、ウクライナとの停戦交渉について「現在、いかなる形でも行われていない」と述べた。ウクライナのポドリャク大統領府顧問も交渉中断を認めた。停戦交渉は3月29日にイスタンブールで対面での協議が開かれた後、オンライン形式で続いていた。

 ウクライナ軍などによれば、マリウポリからは17日未明までに製鉄所の負傷兵50人以上が東方のノボアゾフスクにある病院へ運ばれた。このほか210人以上が北方のオレニウカに向かった。移動先はいずれも親ロシア派支配地域で、今後、ウクライナ側が拘束するロシア兵との「捕虜交換」が行われる見通しだ。(c)時事通信社