たまに、シリアスな注意書きの看板に、にぎやかでたのしげな雰囲気のポップ体がつかわれたりして、おもしろ写真としてネットで話題になったりする。
そんな「HG創英角ポップ体」をつくったひとはどんなひとなんだろう?
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なつかしいタイプのウェブサイト
ぼくが、20年前、HTMLをしこしこ書いてつくったホームページはたしかこんな感じだった。
しかし、Windowsというか、Officeにかならずはいっているあの有名なフォントをつくった会社のホームページだといわれると、そのギャップに唸らざるをえない。
新横浜のリコーインダストリアルソリューションズに取材にいく
どうやら、HG創英角ポップ体は、創英企画がつくって、リコーインダストリアルソリューションズが販売しているということらしい。
取材に伺ったぼくと、編集部の古賀さんを迎えてくださったのは、創英企画の梅原さん。リコーインダストリアルソリューションズの阿部さんと豆腐谷さん。
「スター千一夜」のタイトルロゴならみたことある。あれかー。
しかも、テレビ番組のロゴデザインをしていたというのも驚きである。これは、創英ポップ体1に感じる、したしみやすさや、なつかしさのみなもとではないか。
POPは「point of purchase」のPOP
あくまでポップ体のPOPは、商取引の現場でつかう、カタい用語が語源だった。
ぜんぶ手書きでかいた
そこで、いままでになかった、ポップ体の新しい書体をつくることになった。梅原さんは人づてにデザイナーの水本さんを紹介してもらい、ポップ体の制作を依頼した。それが1990年ごろのはなしだ。
水本さんは、文字デザインのプロではあるものの、活字専門のデザイナーではなかったが、今までになかった文字をデザインするうえで、逆にうってつけだったのかもしれない。
創英ポップ体1の直筆生原稿をみせてもらう
これは興奮せざるをえない。
すべて手がきでデザインした
ということは、水本さんは7000ちかい文字を、すべてひとりで、しかも手がきでデザインしあげたのだ。
さらにおどろくべきは、これらの仕事は今から25年ほどまえのことなので、水本さんはすでに60歳を超えていたはずである。60代の仕事と考えるとすなおにすごい。
のちに第三水準、第四水準の漢字が追加されたときは、フォントデザイナーが、データ上でフォントを組み合わせて文字を追加したという。
Officeが入っているパソコンを買えば、そのまま使えるというのはアドバンテージがおおきい。しかも、第四水準のむつかしい漢字までそろっている。ほかの似たようなポップ体でそこまで漢字がそろっているのはなかなかないという。
以上のことがらから想像するに、まちでHG創英角ポップ体をおおくみかけはじめたのは、1999年以降からだったかもしれない。
全体のバランスをかんがえて作る
ほかにもこんな文字もあった。
おそらくつぶれてみづらいからだろうが、こういった、こまかな違いやくふうをさがしていると、フォントを鑑賞するのがだんだんおもしろくなってくる。書を鑑賞する楽しさはこういうところにあるのだろうか? わからないけれど。
まちにあふれるHG創英角ポップ体をみてもらう
そこで、デイリーポータルZライターの伊藤さんの協力をあおぎ、まちでみかけたHG創英角ポップ体を、梅原さんたちにみていただいた。
まずはこちら。
たしかに下の「地球の丸く見える展望レストラン」の部分は、よく見ると雰囲気がちがう。HG創英角ポップ体よりもはっちゃけている。上の犬吠埼マリンパークもよく似ている別のポップ体の書体らしい。
「オカンアート」としてのHG創英角ポップ体
お母さんがつくった花がらの電話カバーや、毛糸のぬいぐるみなどをオカンアートと呼ぶむきがある。
その仕事量やデザインの質の高さからいうと、HG創英角ポップ体は、とてもオカンアートとならべることはできないものの、その親しみやすさや愛され方については、オカンアートひけをとらないのではないか。
お知らせ
6月30日に、笠倉出版社から、私がいままでデイリーポータルZにかき散らした記事をまとめた本が出ます。
たぶん出ます。
紀伊國屋書店にブックカバーを譲渡したはなしや、石川県の栓抜きをつくったはなし、国語辞典の記述だけでコロッケをつくったはなしなど、かなり脈略のないラインナップですが、そういうことがかいてある本だということを踏まえて、みなさん月一回のサイゼリヤディナーを我慢して、この本を買ってください。
よろしくお願いいたします。
『「ファミマ入店音」の正式なタイトルは「大盛況」に決まりました』
出版社:笠倉出版社
発売日:2016年6月30日
価格:1296円(税込)
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