無人島 ~俺の10枚~ 【DATS:伊原卓哉 編】

2017年07月16日 (日) 18:00

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今年(2017年)のフジロックにて、間違いなく話題となるバンドの一つが、初日の RED MARQUEE 1番手として登場する DATS だろう。今年3月にリリースし大きな注目を集めた限定シングル『Mobile』では、マスタリング・エンジニアを務めた砂原良徳をはじめ、高橋幸宏、LEO今井という METAFIVE の面々が揃って絶賛するほどの才能だ。同曲を含むアルバム『Application』は先月6月に発売されたばかり。彼らが提示する独自のエレクトリック・サウンドはマーキーのフロアを揺らしてくれるだろう。さらに、メンバーの杉本亘、大井一彌は、yahyel のメンバーとしても活動しており、同日の深夜帯、同じ RED MARQUEE -PLANET GROOVE- に出演。GAN-BAN SQUARE にて行われる、GAN-BAN NIGHT には Monjoe & Miru from yahyel Feat. 荘子it としてクレジットされている。ワクワクするではないか。

そんな次世代シーンを作り上げていくだろう担い手 DATS のメンバーがローチケHMVニュースの「無人島 ~俺の10枚~」に登場してくれた。連載形式で毎週1名のメンバーが10枚の作品を紹介してくれる。さて、彼らが選ぶ作品とは?

無人島 ~俺の10枚~ 【DATS:伊原卓哉 編】
音楽好きには、超定番の企画“無人島 ~俺の10枚~”。なんとも潔いタイトルで、内容もそのまんま、無人島に持って行きたいCDを10枚チョイスしてもらい、それぞれの作品に込められた思い入れを思いっきり語ってもらう。ミュージシャンとしてルーツとなるもの、人生を変えた一枚、甘い記憶がよみがえる一枚、チョイスの理由にはそれぞれのアーティストごとに千差万別。今回のお客様は、DATS 伊原卓哉(ベース)が登場。

KYTE 『KYTE』
主人公の彼の名前は、アクツと言う。都会での仕事に疲れ果てて、海へ飛び出したのものの、よくある波に飲まれて気を失い気付けば、無人島の浜辺で目を覚ました。これはそんな無人島で生活をするアクツのお話です。

アクツの1日はとても早い。日の出と共に彼は目を覚ます。太陽が登りゆくのを目にしアクツは毎日、一体何を考えているのだろうか。そしてそんな時にアクツがいつも聴くのは kyte の『kyte』だ。「sunlight」という曲は生命と自然の始まりの共鳴を感じさせてくれるアクツのお気に入りの曲だ。都会の喧騒とは違い無人島には人工的な音は流れていない。ゆえに kyte の音色はどこまでも響き渡るのであった。
透き通った空気の中でいつも深呼吸を深くし、今日1日の計画を練りながらゆっくりと時間を過ごす。そして考える。さて今日一日をどうするのか。


ERIC CLAPTON 『Clapton Chronicles』
朝飯を食べなければアクツの1日は始まらない。当たり前だが無人島に機械はない。アクツの1日の仕事のほとんどが力仕事である。朝はしっかりと食べ一日動く体を朝に作り上げなければいけない。しかしアクツはクールでジェントルマンだ。都会にいたときもそうだが、どれだけ忙しくてもアクツは焦る事はない。気をしっかりと落ち着かせ静かに、そして獰猛にたくさんの量の朝ご飯を食す彼は、子どもの模範的な存在かもしれない。そしてそんなとき彼が聴くのは ERIC CLAPTON の『Clapton Chronicles』である。「change the world」を聴きながらアクツは毎日の、今日1日のあるいは今後の人生の事を考えているのだろう。


Sigur Ros 『Tak』
無人島は何もない。食べるものも飲むものも自分で準備しなければいけないし、自給自足をするのは当然の事だ。そこで彼は稲を作ることにした。偶然にも無人島に少量の稲穂が咲いていたので、そこから栽培することが出来た。

都会で暮らしていると、食料があるのは当たり前で、ついつい食物に対しての尊敬が薄れてしまう。しかしいざ自分で栽培をしてみると、都会にいた時に普段自分が当たり前のように食べていたものが当たり前ではなかったのだとアクツは気付く。そんなアクツが田を植えたり、収穫をするときは決まって Sigur Ros の『Tak...』を聴いている。全ての生命への感謝、そして全ての命への愛を感じるこのアルバムはアクツにとって欠かせない。日々自分が生かされている事に気付く毎日は、何でもあった都会で暮らしていた時よりも、何もない無人島での暮らしの方がアクツにとって刺激的であった。


Bon Iver 『Bon Iver』
田植えや収穫を一通り終え、アクツが次にいつもするのは釣りである。田植えなどとは打って変わって釣りはとても静寂な時間が過ぎていく。アクツが毎日の生活でも特に好きな時間だ。自分のこれまでの人生を考え、そしてこれからどうしていくのか考えているときに魚はかかる。静寂を切り裂く瞬間である。ゆったりとした時間の中にも激しさが時おり入る Bon Iver の『Bon Iver』をアクツはいつも聴くのである。
アクツは生命への感謝という言葉を浮かべながら、魚を釣り上げるのであった。


Bob Marley & The Wailers 『Legend』
無人島には光を遮るものは何もない。ビルもないしショッピングモールもない。日光にあたり過ぎると体力を激しく消耗してしまうことをアクツはよく知っている。日中は絶え間なく動き続けるので、体はもちろん疲れている。夕暮れ時はアクツの無人島での生活の中でもとても幸せな瞬間である。先ほども言ったが無人島には大きな建物がない。つまり海さえも遮るものは一つして存在しないのだ。そんな最高のロケーションで夕暮れを見ながら、アクツは海辺で物思いに耽ることを日課にしていた。そんなとき彼が聴くのはもちろん Bob Marley & The Wailers の『Legend』だ。レゲエは海ととても合う。心地よいビートの中に自分が入り込むことをアクツは気に入っていた。余談だがアクツは夕暮れ時を見ながらボブマーリーを聴く時に、ビールがあればなと思っている。もちろんだがビールの作り方などアクツが知る由もないので、ココナッツを冷やしたジュースで我慢をしているのは少々残酷な話だ。


Guns N' Roses 『Appetite for Distruction』
さて夕暮れ時を見ながら一休みしたら、ここから一番ハードな時間がやって来る。島全体が眠りにつこうとする直前。狩だ。狩をしているときのアクツは都会でのアクツを彷彿させる。アクツは都会で暮らしていた時、鬼の営業マンとして有名であった。彼が入っていた会社は特に実力主義、成果主義が強かったため過酷な環境に身を置かれていたことは言うまでもない。営業はまさしく狩だ。社会というフィールドに落ちている顧客どれだけ捕まえることが出来るかだけである。ゆえに都会でのアクツの営業は狩に非常に生かされていた。そんな彼が狩の時に脳内で流しているのは(狩の最中に音を鳴らすことは出来ないため)Guns N' Roses の『Appetite for Distruction』である。冒頭一発の「welcome to jugle」は彼の狩の時のテンションを毎度、鼓舞させている。


Jordan Rakei 『Cloak』
1日の全ての仕事を終え、アクツはようやく夜ご飯の支度をする。一日中歩き回っていたり、仕事をしたりで体が疲れ果てているのは言うまでもない。収穫した野菜や狩で取れた肉などを惜しみもなく使い、調理しエネルギーをアクツは摂取する。忙しく動いた分、とにかくアクツは途方も無い量を一瞬で平らげてしまう。Jordan Rakei の『Cloak』を聴いてアクツはいつも思い出す。都会の忙しく過ごしていた日々を。都会にいた時も、もちろん休む暇もなく働いて働いていたが、今の忙しとはベクトルが違う。
無人島の生活はある意味でいうと、都会と比べてよりハードワークである。しかし辛さと同時に人間としての本来の営みをアクツは心地よくも感じていた。


TOKi MONSTA 『Half Shadows』
宴といっても踊るアクツは一人だ。
悲しいことだがここは無人島。アクツ以外の人間は誰一人としていない。しかしアクツは踊る。ダンスといったら、プロの方へ失礼かもしれないレベルだが、アクツはダンスをする。自分の命を繋ぎとめてくれる全てに感謝するためだ。空気、水や穀物、動物達の肉、そして神への尊敬。暗闇の中で浜辺の中央に火を炊き、手を動かし、首を回し、足で感じたままのステップを始める。そこでいつも聴く音楽は TOKi MONSTA の『Half Shadows』。エレクトロと民族楽器の融合とも言えるこのアルバムはアクツの体を宴へといつも誘う。彼が一番好きな曲は「Go with it」であるが、その「Go with it」の意味も「 ~と同行する」とあるだけあって、アクツは音楽と共に宴をするのであった。


Asgeir 『In the silence』
宴も終わり島全体がしっとりと静かな時間帯になってしまった。この島を囲むのは海と綺麗な星空だけ。特別な時間が流れている。そして彼がこの時間に星を見るスポットは決まってここ。島で一番高い丘だ。Asgeir の『In the silence』はとてもこの場所にマッチする。Asgeir の優しい声やアコギの心地よい音色は、アクツを自然へ包み込む。今日あった一日のことをリフレッシュされ、明日への新しい気持ちを与えてくれる。さてこれからアクツはどこへ行くのであろう。都会に戻るのか、無人島に残るのか。それは誰にもわからないが、これから彼が音楽と共に生きて行くのは言うまでもない。


James Blake 『James Blake』
アクツの一番嫌いな日は雨の日だ。幸い住んでいる無人島には雨の日はほとんど無い。
もちろん作物の栄養、飲み水の確保など様々な理由で必要なことはあるが、やはりアクツからすると退屈な時間であるようだ。こういう日は無理をしない。働きもしないし、外へとあまり出ない。こういう日は自分の日頃のマイナスの気持ちを勝手に洗い流しくれるのに尽きるのだ。そんな日は James Blake の『James Blake』を聴いて眠りにつくのに限る。明るい気持ちに無理に持って行くのでもなく、暗い気持ちをアクツは楽しむ。



各メンバーが選んだ10枚はこちら

無人島 ~俺の10枚~ 【DATS 連載編】

今年(2017年)のフジロックにて、間違いなく話題となるバンドの一つが、初日の RED MARQUEE 1番手として登場する DATS だろう。彼らが提示する独自のエレクトリック・サウンドはマーキーのフロアを揺らしてくれるはずだ。

HMV&BOOKS online-邦楽・K-POP|2017年07月14日 (金) 18:00

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アルバム詳細


DATS
アルバム『Application』
2017年6月7日(水)発売

ご購入はこちら

Application

CD

Application

DATS

価格(税込) : ¥2,530

会員価格(税込) : ¥2,328

まとめ買い価格(税込) : ¥2,075

発売日: 2017年06月07日



ライブ情報


7月24日(月) LIQUIDROOM 13th ANNIVERSARY(The fin. / DYGL / DATS)
7月28日(金) FUJI ROCK FESTIVAL'17(新潟県・苗場スキー場)
8月06日(日) DATS × 向井太一 at Billboard Live, Tokyo
8月11日(金) DATS × 向井太一 at Billboard Live,Osaka
8月12日(金) 寝待月のショー(滋賀県・大津市桐生キャンプ場)
8月25日(金) SWEET LOVE SOWER(山梨県・山中湖交流プラザ きらら)
8月26日(土) RUSH BALL(大阪府・泉大津フェニックス)
8月27日(日) shima fes SETOUCHI 2017(香川県・小豆島 ふるさと村)
9月09日(土) BAYCAMP(神奈川県・川崎市東扇島東公園・特設会場)



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