今回は清洲桜醸造のウイスキー「愛知クラフトウイスキー キヨス2016」を飲みます。

清酒酵母で醸造したもろみを使用

_DSC4366_01清洲桜醸造は愛知県清須市にある酒造メーカーで、日本酒として「清洲城信長 鬼ころし」や「祥鳳」、本格焼酎として「天下泰平」、「ええなも」を製造、販売しています。
地元愛知県周辺ではテレビCMも放送されていて有名なメーカーになっています。

そんな同社が2016年に「クラフトキヨス」のブランドを立ち上げ、ウイスキー、ジン、ウオッカの製造に着手し、2021年に5年熟成のブレンデッドウイスキーを限定販売しました。

最大の特徴は、麦汁をもろみへと発酵させる際に、日本酒用の酵母を使っていることです。これにより、ウイスキー用の酵母とは異なる香りが出ることを目論んでいるようです。

ただし、蒸溜釜についてはウイスキー用のポットスチルを使っている文言がないため、おそらくは本格焼酎向けの単式蒸留釜を使っているかと思われます。

また、熟成に使う樽についても新樽、バーボン樽、シェリー樽の記載が無いため、この辺りは飲んで推測するしかなさそうです。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはナシや日本酒を思わせる香りが感じられます。
液色は少々薄めの琥珀色です。

ストレート

カラメルのような甘い香りが先立ち、ナシ、エステリーさ、ゴム、ブドウの香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みが強めで、後から苦みが広がり、奥から酸味も感じられます。

ロック

アルコールとライムの香りが先立ち、その後バニラ、バナナの香りが続きます。

味わいは、アルコールからの辛みが残り、ビターな味が先に訪れ、後から軽い甘味が追いかける印象です。

ハイボール

先にゴム、リンゴ、バナナの香りがやってきて、奥からバニラの甘い香りが続きます。

味わいは軽い酸味が感じられた後、甘味が全体を覆います。

薄っぺらさが気になる

ブレンデッドウイスキーであるものの、使用している樽の種類が1,2種類くらいで、蒸溜釜も単一のものを使っているようで、シングルカスクのような癖の強い印象を受けました。
また、比較的温暖な場所での5年熟成とみても熟成感が少なく、アルコールのとげとげしさが目立ちました。

肝心な日本酒酵母を使った点においても、グラスからの香りでかろうじて特徴を得たものの、アドバンテージを得られる印象はありませんでした。
数種類のウイスキー用ポットスチルや、バーボン樽やシェリー樽など複数の樽での熟成を行うなど、もっと原酒のバリエーションを増やさないと、大手メーカー先発の中小メーカーに対抗するのは難しいでしょう。

救いようがある点であれば、ハイボールにすることでアルコールの刺激が少なくなり、甘味が前に出て飲みやすい点にあるでしょうか。

500mL、アルコール度数は45度、価格は3500円ほどです。

<個人的評価>

  • 香り C: 日本酒を思わせるフルーティさ、ナシ、ゴム、ブドウ、バニラ。
  • 味わい C: アルコール由来の辛みが目立つ。苦みの後酸味。加水で甘味が出る。
  • 総評 C: 5年熟成としては物足りなさが感じてしまう。原酒の種類が足りてない。