同じ「辛口」でも全然違う? 「辛口」日本酒の飲み比べ(前編)〜林智裕の「ウチにおいでよ!」Vol.12

辛口の中でも「キレのいい」系のお酒のお話。

2019.05.11

ローカルフード 日本酒

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こんにちはっ! 令和元年、おめでとうございます♪

改元なんて子供のころ以来だけど、崩御ではなく今回みたいにお祭りムードの中で変わるのって、幸せそうに見える人がたくさんで、なんだかよぃよね?(*´▽`*)

さてさて、今月のテーマは「辛口」日本酒の飲み比べ。日本酒には「辛口」っていう呼び方されるお酒、多いよね。お店でラベルを見ても、あちこちで「辛口」。おっちゃん達と喋ると、「やっぱ酒は辛口に限るよな~」。

でも辛口ってそもそもナニ?? とか、思いません? 甘くなければ「辛口」? 香りが抑えめ? 後味スッキリ?

実はお酒を注文するときに「辛口で」というのは、結構お店屋さん泣かせだといわれるね。「辛口の日本酒」ってのも人によっていろいろ解釈があってね。ひとこと「辛口」と言われても案外難しい。。。

そこで一般的に指標とされがちなのは、「日本酒度」。プラスとマイナスがあって、マイナスになればなるほど「甘口」で、プラスだと「辛口」になりやすいとザックリ言われることが多いね。

この日本酒度というのは水を0として、それより重い(=お酒に含まれる糖分が多い)か軽いかを示したもの。糖分は重いので水より低く沈むのです。カクテルでプースカフェっていう、それぞれのお酒の重さの違いでカラフルな虹色カクテルを作るときにも、グレナデンシロップっていう甘い(=重い)シロップを一番先に、グラスの底に沈めるんだよ。

だから、日本酒度がマイナス(水より重い)になっているお酒は糖分が残っている分「甘い」のは確かなのだけど…その逆が「辛口」かどうかまでは、日本酒の「甘さ」は糖分だけが決めているわけでもないので、一概にも言えなかったり。

フルーティさとか、余韻の長さとかも全然違うし。アルコール度数とか温度、使っている酒米、アミノ酸度などの兼ね合いで、同じ日本酒度でもやっぱり味の印象は全然違うし。。。

…というかね。人によっては、「そもそも日本酒に辛口なんてものはない」という人もいたりして。(´・ω・`)

はい。実際、日本酒にそもそも辛み成分は入っていません。その意味では、「辛口なんてものはない」というのは正確で、実はとても誠実な態度でもあるのです。だから、「辛口の日本酒」という言い方がイヤな人も結構いるっぽい。。。

あー……でもね、一部の人たちからヒンシュクかっちゃうかもしれないけれど……。

ボク自身は、そこはあんまり厳格にやらず、「辛口」という言葉がその人の気持ちにしっくりくるならオッケー! 日本酒の魅力が身近に感じられるならむしろ大歓迎! なんて、ゆるーく思ってて。蔵元さんにも近い考えの人とか結構いるんじゃないかな? 「辛口」の表記で売ってるお酒、実際これだけたくさんあるわけだし。

たとえば「和風」なんて言葉も人によってイメージにものすごく開きがあるけど、みんなふんわりと使ってるしね。(なので、ボクもお酒の記事書くときに、必要だと思えば敢えてあっさり「辛口」って書いちゃったりもするよー)

お酒はそれぞれの人が楽しく幸せに飲むためのものなんだから、そのために役に立つならば、そういう文化があってもいいじゃない? なーんて。日本酒へのハードルをやたらと高くしてしまうよりも、もっと身近に、もっと愛されるようになってほしいかな。( *´艸`)

そのうえで、お店で注文するときには「香りが控えめでキレ味ガツンと強めの辛口」とか、「落ち着いていてじっくり味わうタイプの辛口」とか。もしくは、「今日のおつまみコレなんだけど、それに合わせられるようなのを」みたいに自分の気分や状況をちょっぴり一言添えてあげると、みんなもっとハッピーになれるかもしれないね。(*´▽`*)ノシ

それはともかくとして。でも、そうなると世の中にあんなに表記されてる「辛口」って、結局ナニ?

いちおう、ボク個人としては「飲み疲れしにくい、長時間飽きずに連続でずっと飲み続けられるお酒」だとザックリ考えてます。どちらかといえば華やかさよりも落ち着いた味わい重視の、いわゆるのんべえさんたち向けのお酒だね。そのうえで、「そういうお酒にあたるものも、蔵元や飲み手の好み、あるいは合わせる身近な食材によってバラツキが大きい」という感じかなー。

…ということで、前置きが長くなっちゃったけど。「辛口」と同じく呼ばれながらも、人によってのイメージや味が全然違うお酒が世の中にはたくさんあるわけですから。せっかくなのでいろんな「辛口」を、いろんな料理と合わせてみちゃうことにしました♪

─────────

まず最初は、日本酒と合わせる王道おつまみのお刺身から。この時期ならではの初鰹のお刺身に、カツオの食文化豊かな土佐の国・高知県から「桂月・超辛口」、山陰出雲の国・島根県から「李白・辛口特別純米酒 やまたのおろち」。

はい、それじゃまずは両方ともそれぞれ別のおちょこ🍶に注ぎまして…。

乾杯! (*´▽`*)ノ  祝・令和元年! 祝・初鰹!!

……

さあ、どうでしょ?

どちらも、精米歩合はそれぞれ60%と58%。いずれも「超辛口」と「辛口」。桂月の方は、酒米が「秋津穂」日本酒度も+11って書いてあるね。秋津穂なんて、最近ではとても珍しいお米。食用米でもあったのだけれど酒米としても美味しい品種で、今は高知県と奈良県で細々と作られているらしいよ。

ん?

美味しい? 良かった!!

一口含むと、キューーーー…っと、口に響くアルコールの刺激と爽快感。もう、たまらないね! (๑→‿ฺ←๑)

でも、あくまでもニオイは優しく控えめで、心地よい清水のよう。ああ、これこそ「辛口」だねぇ。

今回の「辛口」は2本とも、一口目のキレの強さが際立つ一品。今回のカツオのように、特に味やニオイが強めの刺身に合わせると、本領発揮!という感じだね。生臭さなどのクセの強い匂いをキレの強さでスッキリと食べやすくさせてくれて、後味まですっごく美味しい!

ちなみに今日食べてるカツオ。昔から日本全国で食べられていて、地域によってタタキが主流だったり薬味が生姜だったり、ニンニクだったりとか。さらに薬味も、刻んだり、スライスしたり、すりおろしたり。各地でいろんな食べ方がされているよね。

その中でもボクの地元の福島県いわき市近郊では、こうやっておろしニンニクを使って食べるんだ。それも、かなりの量を使って。むしろ「カツオの刺身はニンニクを味わうための皿」…ってくらいの気概でたっぷり使うと、頭がクラクラしてきて汗が噴き出してきて口の中がビリビリになるんだけど、不思議と病みつきになるんだよねぇ…。

今日は、ちょっと飾り付けの見栄えの都合で少な目にしてあるけど、まだまだたくさんすってあるから! おかわり沢山あるからね!(笑)

この「たっぷりのおろしニンニクを使ったカツオ」は、単純に美味しい…という以上に、「ヤバい」というか。

世の中よく「激辛マニア」みたいな人いるけどさ、ボクもちょっと気持ちがわかるというかね。激辛料理が病みつきになる理由って、なんでも口の中の辛さを脳が危険な熱さだと誤認・錯覚して、「命の危機」を乗り越えるために脳内麻薬を出すのだとかなんとか。そのせいで食べるのが気持ちよくなってクセになり、だんだん求める刺激も増えて、すっかり病みつきになる…なんて聞いたことあるけど、この「やりすぎ生ニンニクすりおろしカツオ」も似たようなものなのかも。これにハマる人、すっごく沢山いるし。(´・ω・`)

で、このカツオとニンニクで口の中がビリビリになって悶絶したところに、今回の「辛口」の日本酒を気付け薬代わりにキュキュ! っとやって一気に胃に流し込むように食べると、これがまたさらに最高! なんだよー?

この「桂月・超辛口」も「李白・やまたのおろち」も、それぞれ香りは全体的に抑えめなものの、それは「狙って」そのラインをキープしつつ、常に変化する口の中での味わいをしっかりサポートする感じ。それはまるで、井戸水が夏は冷たく冬温かく感じるかのように、一口目には爽快なキレの良さからはじまって、次におつまみの強い味わいから雑味を切り取って整え、最後は口の中を優しくいたわるように洗い流してくれるかのよう。

そのうえで、それぞれのお酒に味わいの違いも感じさせてくれる。桂月はキレの強さがありつつ後味がやんわり穏やかで、高知の酒「らしさ」みたいなのがあるね。さすが、カツオとの相性は抜群。李白の方は、それよりも少し旨味とコク、酸味が強め。キレが強いながらもこのコク味を感じさせるあたり、酒米は五百万石? に近い感じがあるかも。これは カツオももちろんだけど、アジやサバなんかにも合いそうで、のどぐろなんかにもバッチリだと思う。日本神話の「やまたのおろち」が酒の名前になってるのも面白い。どちらも本当に美味しいね。(*´▽`*)

あと、こうしたキレの強い「辛口」を語る上で欠かせないのはやっぱり、新潟県のお酒。ボクは新潟にも好きなお酒沢山あるけど、特に好みなのはこの佐渡島の「真野鶴」さんかな。

酒造りの流派である「杜氏」、その中でも日本三大杜氏の一つと言われる新潟の「越後杜氏」は、90年代の「淡麗辛口」ブームの火付け役。サラリとした飲み口、凛としたキレの良さ。新潟のお酒には、日本酒の人気を支えてきた魅力的で素晴らしいお酒の数々があるんだよ。( *´艸`)

ささ、このお酒も合わせてどーぞ。

─────────

とりあえず最初は「辛口」の中でも特にキレの強さが際立つお酒をいくつか試してみたけど、どうだった?

あ、そろそろちょっと小休止に和らぎ水も飲んでおいてね? まだまだ試すお酒あるから。

次は引き続き「辛口」と呼ばれているお酒でも、また全然違う味わいのお酒とそれに合うおつまみを用意してみちゃうね。楽しみにしてて?

(次回に続きます♪)

林 智裕 (Hayashi Tomohiro)

フリーランスライター。1979年生まれ。いわき市出身、福島市育ち。 現在 【Media Rocket】の他、福島の美酒と美肴のマリアージュを毎月お届けする【fukunomo(ふくのも)】、地域の魅力やグルメ情報を発信する【福島TRIP】など複数メディアにて連載中。 また、【SYNODOS (シノドス)】【ダイヤモンドオンライン】【Wedge】【現代ビジネス】などでは不定期でビジネス向けの記事を執筆。 書籍『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版)ではコラムの執筆を担当。

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