『プロセカ』の月間アクティブユーザーは200万人超え!e-Sports展開も本腰を入れた展開に?3DCGの表現レベルの向上など、プロデューサー陣に“攻めの開発姿勢”を訊いた

『プロセカ』の月間アクティブユーザーは200万人超え!e-Sports展開も本腰を入れた展開に?3DCGの表現レベルの向上など、プロデューサー陣に“攻めの開発姿勢”を訊いた

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観客と生のやり取りが可能な「コネクトライブ」の公演を実現!

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──今回の『プロセカ』1周年のタイミングで、ユーザーさんをさらに驚かせる企画の発表が、いくつも用意されているとのことですが。

近藤氏:
 まず、バーチャルライブのリアルタイム版「コネクトライブ」を新たに開始します。これはモーションキャプチャーをリアルタイムで収録して、それをお客さんの前に届けるという、本物のライブですね。

──ええっ!? 現状のバーチャルライブのようにあらかじめキャラの動きや演出が作り込まれたものではなくて、リアルタイムで展開されるのですか!? それは進化のレベルが一気に跳ね上がりましたね。

近藤氏:
 コネクトライブは、なにより「ライブ」であるという大前提があって。だから公演時間も40分から1時間ぐらいのリアルなライブと変わらないものになりますし、楽曲もフルに演奏します。そうした公演が今後、ユニットごとに開催される予定です。もちろんリアルタイムなので、お客さんの反応にも直接リアクションできますよ。

──1年前にバーチャルライブを初めて体験した時に「ゲームの中でライブの臨場感を楽しめる」と感じたのですが、それがリアルタイムになると、本当のライブ会場を体験するのと、ほとんど変わらなくなってくるじゃないですか。

近藤氏:
 じつは1周年記念のサプライズは、もうひとつあって。「ドラマツルギー」などで知られるEveさんが、「群青讃歌」という1周年記念の楽曲を書いてくれて。

小菅氏:
 「群青讃歌」の3DMVは、『プロセカ』の3DMVで初めて6人のキャラクターが同時に画面に登場していますので。そちらもぜひ注目してもらえればと思います。

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──さすがに1周年ならではのサプライズが揃っていますね。『プロセカ』のユーザーさんが見たかった展開が、今回で一通り出そろったんじゃないか、という感覚がありますが?

近藤氏:
 いやいや。これ以外にも今回は発表できないいろんな企画を進めていますよ。その中にはそれこそ3周年、4周年の時に発表できればというような大きな企画もありますので、楽しみにしていてください。

3年目、4年目に向けて、3DCGの表現をレベルアップさせていきたい

──1周年記念のサプライズが出そろったところで、2年目の『プロセカ』について伺いたいのですが。これからの『プロセカ』はどうなっていくのでしょうか?

近藤氏:
 大きく変えるみたいなことは、今のところ想像していなくて。この1年間でもけっこういろいろ変えたんですけど、2年目も同じぐらいのスピード感でアップデートしていけたらと思っています。

小菅氏:
 今は2年目よりも3年目、4年目のことを考えていることが多いかもしれないですね。2年目を盛り上げるというのはもちろんなんですけど、もっと長く遊んでもらえるコンテンツにするべく、どういうふうにしていくかを考えないといけないので。

──なるほど。1周年のこのタイミングで、次の2年目ではなくもっと先のことを考えていると言ってもらえるのは、自分もユーザーのひとりとして安心できますね。

小菅氏:
 そこはこちらも覚悟を決めていますので。

──逆に、今このタイミングで「ここは絶対に変えたくない」というところはありますか?

小菅氏:
 今このタイミングだけでなくずっと気をつけているのは、「安易な販売施策」はやらないということですね。手を変え品を変え何でも買ってもらおうというのではなくて、このキャラクターをほしいと思ってもらえる人にちゃんと届けるという。それは気をつけています。

──そこは以前伺ったように、『プロセカ』のユーザーは10代や20代前半が多いという、年齢層がやや低めなところを意識されているのですか?

小菅氏:
 そこももちろん意識しているんですけど、なによりも先に近藤さんが言った「信頼のおける運営」ということが、年齢層を問わず絶対に大事なので。ユーザーさんと我々の間に距離ができてしまうと、良くないですから。

近藤氏:
 あとは変えたくないところとして、ストーリーの攻め具合というか。『プロセカ』って、一般的なキャラクターゲームのストーリーではあまり触れられないところにも触れてきましたし、だから良かったというところもあって。それは引き続き、守りに入らないようにしていきたいですね。ユーザーさんが非常に多くなってきて、かなりいろいろな反応をいただいているんですけど、僕らは僕らでちゃんと描かなきゃいけないものを描き続けるようにしていきます。

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──そこがキャラクターゲームとしての『プロセカ』の核になる部分ですか?

近藤氏:
 核ですね。僕も今でもそこにコストを割いて、ちゃんと見ていますので。

──3DCGに関しても、2年目に向けてさらなる進化を続けているところだと思いますが?

小菅氏:
 近藤さんから非常に厳しい声で「もっと上げろ!」と言われまして(笑)。

近藤氏:
 そんな言い方はしてないですって(笑)。

小菅氏:
 なので今、セガもColorful Paletteさんも協力会社さんも入って、総力を挙げて取り組んでいます。進化とか肉付けとかいうレベルじゃなくて、もっと根本の部分からちゃんとやろうと。

──そうなんですか!?

小菅氏:
 今、世の中のゲームって、スマホでも3DCGの表現がスゴイじゃないですか。でも『プロセカ』の場合は3DCGの上に、さらにリズムゲームが乗っかっているので。そこの違いがどうしてもあるんですよね。RAGEみたいな大会でスコアを競っているのに、リズムゲームで遅延を発生させるわけにはいかないので。

 そういった制約がある中で、どうレベルアップするのかを今、いろいろと検証しているところなので。ちょっと時間はかかってしまうと思いますが、3DCGのレベルはこの先、間違いなく上がると思います。

近藤氏:
 ただそうなると、スマホの性能に応じたクオリティのセッティングは、今後必要になってくるとは思いますね。リリースした時のスマホの機種をずっとキープしたまま高いクオリティを目指すとなると、どうしても技術的な限界が来てしまうので。もちろん、今よりもクオリティが悪くなることは絶対にないんですけど、今後はスマホの機種によって「低・中・高・最高」みたいな設定が必要になると思います。

小菅氏:
 楽曲に合わせた表現力をもっと上げたいという想いは以前からありましたし、そもそもキャラクターをもっと可愛く見せるための表現があるよねと。そこはさっき近藤さんが言ったように、攻めの開発姿勢を貫いています。

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──そちらもある意味、2年目だけではなくて3年目、4年目に向けた土台づくりという面もあるわけですか?

小菅氏:
 そうですね、それももちろんありますね。
 これからも安心して、楽しくプロセカを遊んでいただくための土台作りです。

全世界の人々に、『プロセカ』のカルチャーを届けたい

──1周年に先駆けて、9月1日には海外向けの展開として中国語繁体字版と、グローバル版となる英語版の『HATSUNE MIKU: COLORFUL STAGE!』のリリースが発表されました。こちらに関してはいかがでしょうか?

小菅氏:
 海外版はけっこう駆け足で進めてきて、なんとか2021年中にはリリースできることになりました。グローバル版は英語での展開となるんですけど、外注に任せるだけの翻訳ではなくて、ちゃんとネイティブの方が入って翻訳していますし、Colorful Paletteさんにもメチャメチャ監修してもらっていますので。かなり本格的に海外で遊んでもらえるゲームになると思っています。

 グローバル版は北米や欧州をはじめとして、世界130ぐらいの国や地域で遊べるんですよ。言語は英語しかないんですが、サービスのドアは世界中に開けている状態です。このゲームは全世界のいろんなところにお客さんがいらっしゃると思うので、ぜひ楽しみにしてもらえればと。

近藤氏:
 遅くなってスイマセン。

──海外の「歌ってみた」動画とかを見ていると、ボカロ曲はアニソンとJ-POPの良いトコ取りみたいな感じになっていて、ファンの幅がものすごく広いんですよね。なので、海外の方のこのゲームへの期待値も、かなり高いんじゃないかと思います。

近藤氏:
 ミクさん自体も海外でかなり人気があるので、他のリズムゲームに比べると手に取ってもらいやすいのかなとは思っています。

小菅氏:
 10年ぐらい前とは、ジャパンカルチャーの浸透率自体がかなり違ってきていますよね。そういう意味での期待値は高いかなと思っています。それもあって、アメリカだけでしか遊べないとか、アジアだけでしか遊べないというのは、ちょっと違うのかなと。展開するならやはり世界中で、ということで。

──それでは最後に、2年目の『プロセカ』を楽しみにしているみなさんに向けて、改めてのアピールをお願いします。

小菅氏:
 2年目は『プロセカ』をさらに広げていく年だと考えています。日本のお客様はもちろんですが、海外のお客様にしっかりとしたゲームを届けたいということで、現在準備を進めています。リズムゲームを一般的にやる文化って、世界的に見るとそんなにないのかもしれないですけど、初音ミクさんがちゃんといて、キャラクター達の魅力を感じられるゲームだと思っているので、海外のお客様にぜひ遊んでもらいたいです。そして、日本のお客様にはプロセカでたくさんの思い出が作れるよう様々なイベントを用意していきますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。

近藤氏:
 僕らとしては、本当に10年以上続けていく気持ちでやっているので。ですから数年後に実現予定のことも今から仕込み始めていますし。そういう意味では2年目はあくまで過程ですので。

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 変えるべきところはどんどん変えていきますし、追加していくこともどんどん追加していきますけれど、ずっと遊んで応援してくれているロイヤルユーザーのみなさんをいちばん大事にした運営を、今後も引き続きやっていきたいと思っています。2年目もみなさんと一緒に走っていきますので、引き続き応援をよろしくお願いします!

──ありがとうございました。(了)


 ここ1、2年のJ-POPチャートや音楽番組を見ていると、ボカロPや歌い手出身のアーティストが当たり前のように活躍し、その楽曲もいわゆるボカロ曲と非常に近いテイストを感じるモノが多いことを実感する。ボカロカルチャーがメジャーの壁を越えて、日常に存在している今の流れと足並みを揃えるように、『プロジェクトセカイ』は我々のスマホへとやってきた

 1年前のサービス開始当初は、各ユニットのキャラクターたちとミクたちバーチャル・シンガーが共存して一緒に歌っているセカイはある種の幻想的なものだと受けとめていたが、こうしてみるとボカロ的な楽曲に囲まれた、今の我々の日常とさほど変わらないものだと実感する。だからこそ『プロセカ』は、ミクたちやボカロ曲と我々とをつなぐコミュティのプラットフォームとして機能しているのだろう。

 2年目を迎えた『プロセカ』には、そこに「コネクトライブ」という新たな仕組みが加わることになる。ライブとしての臨場感をさらに増したこのライブが我々の日常にやってくるようになると、コミュニティとしての『プロセカ』にいったいどのような化学変化が起こるのだろうか。

 2年目の『プロセカ』がゲームとしてどう展開するかだけでなく、ボカロシーンや我々の日常にどのような影響をもたらすことになるのか、引き続き注目していきたい。

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ライター
過去には『電撃王』『電撃姫』で、クリエイターインタビューや業界分析記事などを担当。現在は『電撃オンライン』『サンデーGX』などでゲーム記事を執筆中。また、アニメに関する著作も。
Twitter:@ito_seinosuke
編集
新聞配達中にトラックに跳ね飛ばされたことがきっかけで編集者になる。過去に「ロックマンエグゼ 15周年特別スタッフ座談会」「マフィア梶田がフリーライターになるまでの軌跡」などを担当し、2017年4月より電ファミニコゲーマー編集部のメンバーに。ゲームと同じぐらいアニメや漫画も好き。
Twitter:@ed_koudai

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