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人気の韓国発マスク「KF94」 英語と数字はなんの意味?

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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのマスク着用が日常になっている中、形状や着け心地にこだわる人も増えている。ネット通販などで人気なのが「KF94」の表記がある不織布マスクだ。韓国発で、「息苦しくない」「化粧が落ちにくい」などとうたわれているが、どんなマスクなのか。

 マスクの効果に詳しい聖路加国際大学の大西一成准教授(環境疫学)によると、KF94とは「Korea(コリア) Filter(フィルター)」のKFと、粒子の通過を94%防ぐことを意味する韓国における防じんマスク規格。医療現場で使われるマスクに多い米国の規格「N95」のいわば韓国バージョンだ。中国の規格として、KN95というのもある。

 国内で流通しているKF94は、口の正面側が曲面、鼻に当たる部分がとがった構造、下あごを覆うカーブ形状といった3パーツのようなデザインの製品が多い。日韓の芸能人らが着用している写真がSNSを通じて広がったとみられる。顔を広く覆い、口元が不織布に直接触れないため、小顔に見える効果や呼吸のしやすさなどから人気が高まっている。

 ただ、大西さんは「あくまでフィルターの性能の規格であって、形状を指しているわけではない」と話す。実際、大手素材メーカーが販売しているKF94マスクはカップ型で、N95とそう変わらない形状となっている。

 KF94認証マスクは、韓国食品医薬品安全処から医薬部外品として認証を受ける必要があり、主に韓国で製造されているものの韓国以外の国でも製造される場合がある。

 ところが、ネット通販で検索すると、認証についての記載がない製品もずらりと並ぶ。もしや、偽物だらけなのだろうか。

 検証のため、実際にマスクを購入し、大西さんの協力を得て調べてみた。

 購入したのは、韓国の食品や化粧品を扱う店にあり、ハングルでKF94認証の表記があった個装のマスクと、大手100円ショップに陳列されていた、包装にKF94と書かれているが認証の記載がなく、個装でもないマスク。デザインはいずれも3パーツ風だ。

 今回調べたのは、マスクと顔のすき間や、マスクのフィルター自体の繊維の間から、空気中を浮遊する微小粒子がどれだけマスクの内側に入り込んでいるかを示す「漏れ率」。0%に近いほど隙間が少なく、その人の顔にフィットし粒子の侵入が少ない。測定は一般の協力者にマスクを着けてもらい、専用の機器で調べた。

 今回、マスクを着けてもらった人での正しい着用法で試した結果では、KF94の認証の記載があるマスクは約23%、ない方のマスクは約12%となった。適切に測定できていることを示すために調べたN95マスクでは約3%だった。

 今回調べた製品では、認証が不明のマスクの方が漏れ率が小さかった。

 認証の記載がないマスクの販売元によると、マスクは韓国の検査機関に依頼し、フィルター性能を確認済みだとしている。韓国内でも、医療用品ではなく生活用品として市販されるマスクでは、認証を受けずに、同等の性能があることをKF94とうたう製品もあるという。KF94は、3パーツ風の不織布マスクの売り文句となっているのが実情のようだ。

 ただ、大西さんが独自に調べた中には、漏れ率の大きい製品もあったという。大西さんは「顔の形は人によって違うので、マスクの形だけで選ぶのではなく、フィルター性能と自分の顔にフィットするかという2点を考える必要がある」と話す。野中良祐

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 韓国大使館によると、日本国内では「KF94」と表記されていても、実際には認証を受けていないマスクも市販されています。記事でKF94認証マスクは韓国製造で包装は個装と紹介した部分を修正しました。

 記事は、国内で市販されているマスクを購入して漏れ率などを独自に調べたものです。記事中の「認証」表記のあるマスクについて、実際に韓国の食品医薬品安全処が認証したものかどうかは不明です。