10年度査察白書では脱税額が4年振りに増加
カテゴリ:12.国税庁関係 トピック
作成日:1999/06/18  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁がまとめた今年3月までの平成10年度の査察白書によると、同年度中に査察に着手した件数は220件(前年度232件)、処理した件数は234件(同225件)で、このうち検察庁に告発した件数は160件(同166件)だった。告発率は68.4%(同73.8%)となる。告発分の総脱税額は341億円(同326億円)だが、最近3年間は長引く不況の影響で脱税も“小つぶ化”傾向だったが、4年振りに増加した。告発事件のうち、脱税額が3億円以上のものは32件、5億円以上のものは15件で、それぞれ前年度より5件増加している。
 また、脱税コンサルタントが関与する事案が、ここ5年連続でふた桁台を記録していたが、10年度は9年度の32件から8件と激減した。そのほとんどが名古屋の公認会計士大竹常夫被告が関与した事案で、大竹被告自身も所得税脱税で起訴されており、その起訴額15億3100万円は個人では最高だった。法人では産業廃棄物処理業の(株)神環保の8億1700万円が最高。
 脱税の手口では、(1)製造業や建設業では架空原価の計上、(2)卸売業では売上除外あるいは架空原価の計上、(3)小売業や遊戯場では売上除外、(4)料理・旅館・飲食業や貸金業では売上除外、つまみ申告、(5)不動産業では架空経費が特に目立ったという。