既成教会、団体から被害報告が相次ぐ
名古屋市内に拠点を構えるタラッパンの福音宣教教会。6階建てのビルに日本神学校(学校法人レムナント学園)も入っている。
すべては悪魔のせい・・・。福音宣教教会、日本イエス教長老会、レムナント、RUTC運動は柳光洙のタラッパン運動
すべての問題を悪魔(サタン)の仕業だとし集会で悪魔払いをする。既成教会に入り込み信者を引き抜いていく。十字架による救いではなくサタンからの解放が救いという特異な教理に立つ韓国発祥の宗教団体が国内で暗躍している。その名もタラッパン運動。最高指導者は韓国人の柳光洙(リュ・ガンス)だ。
牧師・指導者の柳光洙氏(公式サイトより)
柳光洙(リュ・ガンス)グループの「タラッパン運動」は韓国の主要教団から、「異端」「似非(カルト)」と規定されている。耳にすることが多い「タラッパン」だが、実は教団や団体の名称ではない。最高指導者である柳氏の伝道運動をさす。
これらの教会は名古屋を拠点に全国14カ所で福音宣教教会の教団名で活動している。韓国出身の御国イザヤ氏(みくに)が代表を務めている。彼らは自分たちをタラッパンと呼ばない。近年ではレムナント、レムナント運動と称し活動しているようだ。また福音宣教教会の他に日本イエス教長老会という教団名でタラッパンが全国展開していることもわかっている。
柳光洙のタラッパン運動に関係する福音宣教教会。国内では中心的な教会だ。タラッパンは黒板に教理を書きながら礼拝をする特徴がある。(福音宣教教会HPより)
福音宣教教会の公式サイトに紹介される主管牧師・御国イザヤ氏。赤の囲みには教祖の柳光洙の名前がある。タラッパンを示すレムナントの文字も(福音宣教教会HPより 赤い囲みは本紙加工)
異端解除されたと主張するタラッパン。根拠ない説明に注意が必要
韓国主要教団は柳光洙(タラッパン運動)を異端、カルトと規定しているが「我々は韓国で異端解除されたので問題はない」と主張することがある。特にキリスト教集会、大会などに入り込む際、必死になって正統派をPRしている。実際にこのような説明を聞かされ彼らに協力した牧師は少なくないようだ。なぜ、彼らは解除されたと断言するのか。その裏事情から迫ってみたい。
まず、明確にすべき点は柳光洙(タラッパン運動)は今もって韓国主要教団から異端(カルト)と規定されていることだ。解除された事実はどこにもない。しかし、「韓国基督教総連合会」(韓基総:CCK)が柳光洙氏を異端解除したことにより、彼らはこの団体のブランド名を利用して正統派を強調するようになった。ただ、CCKによる解除は韓国のキリスト教界では何の効力もなく、正統性を示すことはできない。その理由について本紙は11月19日号「異端・カルトのだまし文句に惑わされないために(CCKについて徹底解説)」で特集を組んだ。CCKは2000年頃から会長選にまつわる汚職と会長(当時)による異端解除が相次ぎ、分裂騒動まで起こした。現在のCCKは異端側には隠れ蓑になる利用価値の高い団体であることは確かだが内部は崩壊し、ほとんどの主要教団、団体は離脱している。残っているのはかつてのブランド名だけなのだ。
「・・・各教団で長い時間をかけて研究と検証を行った異端規定(総会決議)により認定された『異端(カルト)』団体に対し、突如、異端を解除する手続きを取り始めました。異端解除とは、主要教団から異端決議された異端が自分たちの正統性を主張するために最も力を注いでいる活動です。CCKの役員を買収し、異端規定から解除させ、自分たちの立場を正統に装うために浄化できる最高の場となってしまいました。過去には自称再臨主だと宣言した某牧師が会長選に立候補したこともありました。」(異端カルト110番 2019年11月8日号)
このようにCCKは、会長選における汚職からはじまり、危険な異端(カルト)に役員らが買収され、韓国を代表するはずのキリスト教連合団体としての地位を失った。国内のタラッパンはこのCCKによる解除を根拠に正当性を主張するが、このような理由から意味をなさないことが分かる。CCKによる「異端解除」は、多くの韓国系異端が正統性をPRするために使う手口だが、韓国のキリスト事情を知らない日本人は言われたことをそのまま鵜呑みにしてしまう。だが韓国では、主要教団による総会決議の結果によって異端であるか否かが判断される。
タラッパンについては韓国で以前ほどの勢力はないと言われているものの、ソウルには大韓イエス教長老会インマヌエル・ソウル教会の名で柳光洙氏の本部教会が活動している。いわゆるメガチャーチ(大規模教会)だ。日本語礼拝もあり「多くの日本人が通っている」という。「終わった異端」との評価もあるなかで、柳光洙氏は内部向けの講義で「タラッパンは二千年ぶりに福音を回復させた」と異端的発言を行なっていることも確認されており、表向きの対応と内部では異なる姿を示していることもわかる。
タラッパンの日本版教団「福音宣教教会」名古屋を拠点に広がりをみせる。(福音宣教教会HPより)
タラッパンは既成教会に計画的に入り込み、打ち解けた頃に狙いを定めた信者を彼らの集会に誘い出す手口で「引き抜き」を行なうケースが度々報告されている。「十字架の救いではなく、悪魔(サタン)からの解放を救いとしたタラッパンの教えで聖書全体を理路整然と再解釈する。」(出典:カルトって知っていますか?=カルト問題キリスト教連絡会)。罪を強調し病気、問題はすべてサタンの働きから来ると教える。サタンのせいで病気になったとし、医療を拒否して祈りでサタンを追い払うなど極端な教理も特徴だ。また、既成教会を「伝道のパワーが足らない」などと批判。トラブルを抱える教会や規模の小さな教会を狙うことが多い。内部の教えはやはり異質だ。教えは強引で排他的である。物事の判断はサタンをどう見るかで決まる。精神疾患をもつ人を差別するような教えもある。本紙はタラッパンが信者教育に使う内部テキストを入手した。全国各地でタラッパンからの被害報告が上がる一報で、どのような点で問題があるのかわかりにくいため現場で混乱が広がっている模様だ。今後詳しく報じていきたい。
福音宣教教会だけがタラッパンではない。最近は日本イエス教長老会という教団名でタラッパンが教会を広げている。レムナントの文字も。(東京池袋インマヌエル教会公式サイトより)
本紙が調査した結果、タラッパンは最低2つの教団名を掲げ活動している。先程述べたとおり『福音宣教教会』『日本イエス教長老会』だ。彼らは自分たちの教会で行なわれるレムナント集会(勉強会、祈祷会と紹介している)に既成教会の信者を密かに招いている。団体としては学校法人レムナント学園(日本神学校)がある。宣教師訓練センター所長で牧師の奥山実氏が名誉学校長を務めているが、タラッパンが異端規定されていることを知らないようだ。都内ではAZABU・GOSPEL・CHURCH(麻布ゴスペルチャーチ)はタラッパンの教会だ。教団名を掲げていないが公式サイトにはレムナント、RUTC運動(アール・ユー・ティー・シー)の文字がみえる。これは「レムナント・ユニティ・トレーニング・センター」の略で柳光洙の教会、拠点を意味する。他にもOMC(ワンネス・ミッション・クラブ)という信徒訓練もある。これを建設するために多くの献金を集めていたという。タラッパンは多岐にわたり専用サイトを活用し、独自の放送局も持っている。
「見てくれのよい異端」とされ表向きにはわかりにくいため、今後も被害が拡大していく可能性がある。次号はタラッパン被害を受けた現場の声を特集し、その実態を明らかにしたい。
タラッパンであることを示す証拠。「DARAK.NET」タラッパン専用の運営サイトが紹介されている。日本聖書協会のリンクもある。
編集部よりお知らせ:国内のキリスト教出版社「レムナント出版」はタラッパン運動と一切関係がありません。タラッパンは既成教会とよく似た名称で活動しています。十分な注意が必要です。