ドラゴンズの行く末 2.中日グループの財政について
この記事では球団の財政の話をしていく。まずは中日新聞社の2021年3月期決算を見ていこう。
100億近い減収にも関わらず、営業利益は増益である。思わず「おかしなことやっとる」と思い競合他社と比較してみたりもしたが、競合他社(下記表参照)も似たようなことをしている。むしろ他社よりも減収の率は低いので黒字決算も理解できんこともない。また、例え粉で飾っていたとしても、それが明らかになるのは中日新聞が倒れる前後だと考え、ここ数年は詮索しないようにしているので、この数値で話を進めたいと思う。あれだけ毎年のように費用を削って10年で300億削ったのに、昨年度はどこで100億削ってるのかとは思うが。
ただ、増益になってることについてはそうせざるを得ない事情があると考える。というのも表を見れば分かるが中日新聞社はコロナ関係なく大幅な減収が続いている状況で、できれば来年以降にも削る余地を取っておきたいはずだ。
今回特に見てもらいたいのは、特別利益とその結果の当期純利益である。
まず当期純利益は約30億円で、これで球団の赤字30億強のほとんどをカバーしている計算となる。
また、昨年はほとんど計上してなかった特別利益を今年は20億円強計上している。特別利益とは「企業の経常的な事業活動とは直接かかわりのない、特別な要因でその期にだけ発生した臨時的な利益のこと」であり、記事では年金制度の変更を挙げている。また、中日新聞金城工場跡地にVドラッグが建設されるらしく、中部薬品に土地を売却している可能性もある。(借地かもしれないが)
何が言いたいかというと、おそらく中日新聞本社が球団の赤字(もといグループの赤字)を埋めるために動いた可能性が高いのだ。来年以降に削る余地を残さず、更に年金制度を変えてまで、目先の利益を確保しに行った。昨年末に本社に借金して大野の残留資金を確保したと聞いたときはどこにそんな金があるのかと思ったものだが、本社は貸すための資金をあらゆる手を打ち無理矢理作っていた。
ただ、実際には球団の赤字は30億超であり、計算上は数億足りていない。ナゴヤドームも昨年は野球以外の収入が全く見込めないことを考えると、赤字であることはほぼ間違いないし、そもそも黒字であってもその黒字を本社や球団の補填に使えるような株式保有率ではない。中部日本ビルディングも元々数億単位の黒字しかないところにテナントの撤退などで減収になっている可能性が高く、そこに中日ビル建設費用がのしかかる。以上を踏まえるとグループとして赤字の可能性は高いとみる。
また、中日新聞本社がわざわざ現金を捻出しているあたり、内部留保の額に反して経営に余裕は全くないと思われる。薄々分かってはいたが…。
昨年度は年金制度の変更などで本社が捻出した資金で赤字を補填してもらい(グループとして決算は知らんが)球団経営の危機を乗り切った。しかし、年金制度の変更は乱発するわけにいかず、いわば奥の手を使い急場を凌いだに過ぎない。
そして、昨年と同程度の赤字が見込まれる今年の経営危機については本社サイドは凌ぎきれない計算をしているようだ。その根拠となりそうな、とある記者の記事があるのだが、それについては次回に続く。
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