中華圏でビジネスを展開する日系企業の、デジタルマーケティングパートナー
2016年1月に設立された株式会社Beydersは、中国・香港・台湾といった中華圏でビジネスを展開する日系企業向けに、Web広告やSNSを中心としたデジタルマーケティングサービスを提供しているスタートアップベンチャーだ。
創業者である加野雄太氏と笹川剛志氏が中心となり事業を急拡大させている。
国内大手マーケティングリサーチ会社出身である代表取締役の加野雄太氏は、2012年に独立し、中国にて起業。中国でのビジネス拡大を目指す日系企業向けに、市場調査や情報収集サービスを提供し、時にはマーケティング上の課題を解決するWeb広告の提案など、施策の実施までをトータルでサポートしていた。
その後、加野氏は中国で得た貴重な経験とノウハウをもとに、さらなるグローバルな規模でのビジネスをスタートさせるべく、日本に帰国。中国だけでなく、台湾、香港、さらには成長著しい東南アジア各国への進出を目指す日系企業をサポートするために、同社を立ち上げたのだ。
「中国に進出している日本企業の全てが成功しているわけではありませんし、巨大な資金を武器にした中国のローカル企業が勢いを増していた状況もあって、中国国内で日系企業をクライアントとしたビジネスを展開しているだけでは、成長に限界があると考えていました。そこで改めて日本に拠点を置くことにより、引き続き日系企業をクライアントとしつつ、中国に加え、台湾や香港、東南アジア各国など、他の国への進出も含めたサービスを展開することで、ビジネスの成長スピードを上げることができるだろうと判断しました」。(加野氏)
同社は設立から1年後の2017年には、中国や台湾、香港出身のWebデザイナーや広告運用スタッフも加入。少数精鋭体制ながらも、初年度の約7倍の売上を達成した。今後はさらなる飛躍を目指すべく、社員の増員や新規事業にも積極的に動いていくそうだ。
また同社のクライアントは、化粧品メーカー、家電メーカー、日用品メーカー、自動車メーカー、アパレル企業など、名前を聞けば誰もが知っている日本国内の大手企業が中心である。
「当社のクライアントは、中国や台湾も含めてグローバルなフィールドで事業展開している企業です。要求されるレベルは非常に高いですが、海外でのシェアを伸ばすことが企業の未来につながるためお客様のモチベーションも高く、やりがいのある仕事ばかりです」。(笹川氏)
選ばれ続けるBeyders独自の強み
日本の総合広告代理店やインターネット広告代理店も、やはり海外に進出する日系企業に対してデジタルマーケティング支援を行っている。しかし、越境ECなども含めた中華圏での展開に関しては、日本国内に未だ勝ち組企業がない。特に中国に関しては、Weibo(微博)やBaidu(百度)といった他国とは異なるメディアが発展しており、マーケティングのハードルも高い。そのため、実際に中国でビジネスをしていた加野氏、笹川氏の豊富な知見は、同社のビジネスの大きな武器となっている。
「広告のサービス自体は多くの企業で標準化されつつありますが、プロモーションの手法が同じだったとしても、当社は訴求方法に関して他社と差別化を図ることが可能です。現地の状況を深く理解している私たちは、現地の方々のアイデンティティや文化的な背景を考慮した上で仮説を立て、提案することができます。これは当社が自信を持っている部分でもあります」。(加野氏)
その他にも、同社ならではの大きな強みがある。それはワンストップでサービスを提供できる社内体制だ。
「一般的な広告代理店は、ほかの企業に業務を委託するのですが、当社ではクライアントと直接やりとりをすることはもちろん、媒体の買付から制作・運用・改善提案までをワンストップでスピーディーに提供できる強みがあります。また、デザイナーや運用担当者は中国や香港、台湾出身者で固めているため、現地情報の吸収力はもちろん、現地向けのアウトプットができることも強みです」。(笹川氏)
優秀な人材を創出し続ける企業を目指して
同社のメイン事業はあくまでもデジタルマーケティングであり、今後も正確な調査技術と分析力、PR戦略立案力を武器にビジネスを成長させていく方針だが、新規事業の立ち上げ意欲も旺盛である。
「今後もさまざまなサービスを立ち上げていこうと考えており、プロジェクトを進行させています。一つの事業に頼る状態はリスクと考えている会社なので、毎年新しい事業を考えながら多くの柱(事業)を持てる企業にしたいです」。(笹川氏)
「創出企業になる」というビジョンを掲げている同社は、商品であれ、サービスであれ、人であれ、常に新しいものを生み出す行動に重きを置いている。そうでなければ人も組織も停滞してしまうと、加野氏は言う。中国国内でのビジネスに停滞感を感じ、台湾や東南アジアを見据えたビジネスを展開するために同社を設立。既存のデジタルマーケティング事業と並行して新規事業を立ち上げるなど、「創出」への思いはその行動にもしっかりと現れている。また、加野氏は企業のあり方や人材についても独自の見解を持っている。
「優れた人材を創出できる企業を目指しています。人もお金も流動性が大事。とどまれば、よどんでしまいます。人材の流れがある中で、一つのポイントやハブのような立ち位置の存在であることが理想です」。(加野氏)
当面は既存のデジタルマーケティングが主軸であることは間違いないが、事業を成長させることで資金が確保できれば、新しいスタッフに新規事業を任せたいという思いもあるようだ。
「入社直後は、泥臭い仕事もあるでしょう。しかし、自分の力でビジネスを加速させる実感が得られ、企業の次なるステージを作り出せる楽しさはあると思います。また、もし新規事業にチャレンジしたい方がいたとして、こちらからもお願いするということになれば、資金はしっかり出します。1000万、2000万という少額ではなく、本気の覚悟で出します。まとまった資金がなければ何も創出できませんからね」。(加野氏)
グローバルなビジネスに携わりつつ、組織と事業を自らの力で成長させる経験が積みたい方、将来的に新規事業にも携ってみたい方にとっては、見逃せない企業である。