北九州市と福岡市は、ともに福岡県にある政令指定都市で、福岡市は九州1位の、北九州市は九州2位の人口を有しています。
まさに、九州の要ともいえる両市で働きたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このページでは、北九州市や福岡市の採用試験情報を紹介します。
目次
北九州市の概要
北九州市は福岡県北東部にあり、北九州工業地帯の中核都市として栄えてきました。
1963年に門司市・小倉氏・若松市・八幡市・戸畑市が対等合併することで現在の北九州市が誕生。
以来、九州地方の玄関口として発展してきました。
北九州市は門司区、若松区、戸畑区、小倉北区、小倉南区、八幡東区、八幡西区の7区で構成され、それぞれに区役所が置かれています。
また、北九州市は政令指定都市であり、県が有する権限の多くを委譲されているため、一般の市よりも仕事量が多いという特徴があります。
北九州市が求める人物像は、次の3つです。
- 熱く燃える「志」
- 勇気と挑戦精神
- 豊かなコミュニケーション
情熱をもって市民のために働く気持ちや新しいことにチャレンジする精神、周囲とコミュニケーションをとりながらミッションを遂行する力などが求められています。
配属先、勤務先について
研修終了後、北九州市役所を構成する21の室・局に配置されます。
配属は、職員の能力や経験、本人の意思を考慮しておこなわれます。
おおむね3年のサイクルで人事異動が行われ、入職10年の間に本庁や区役所で様々な業務に従事することで基本的能力を育成します。
待遇、初任給
一般事務員・一般技術員(上級)の初任給は約192,000円です。
令和3年4月のもので、扶養手当、住居手当、通勤手当等が条件によって支給されます。
また、期末・勤勉手当が夏(6月)と冬(12月)に支給されます。
福岡市の概要
福岡市は、九州北部に位置し、福岡県の県庁所在地となっています。
福岡市は古くから外国と交流していた博多の港と、江戸時代に福岡藩が居城を置いた福岡城の城下町の両方が一体化した街で、西日本でも屈指の大都市となりました。
福岡市は、東区、博多区、中央区、南区、西区、城南区、早良区の7区で構成され、それぞれに区役所が置かれています。
北九州市と同様、政令制定都市であるため、一般的な市よりも仕事量が多いという特徴を持ちます。
福岡市が求める人物像は次の3つです。
- 市民に信頼されるサービスの提供者
- 市民と共働する行政のプロフェッショナル
- チャレンジ精神あふれる自立型職員
公務員として責任感を持ち、市民とともに市の課題解決に取り組み、自分の使命を主体的に設定し、新しいことにチャレンジするような力が求められています。
配属先、勤務先について
新規採用された職員は、研修終了後に市民と接する部署などに配属されます。
その後、3~5年程度をめどに各局・区のどれかに転属する人事異動が行われます。
待遇、初任給
上級採用者の初任給は令和3年1月1日段階で197,230円で地域手当を含みます。
このほかに、扶養手当、通勤手当、住居手当などの諸手当や期末・勤勉手当が支給されます。
期末勤勉手当は年2回(6月と12月)に支給されます。
北九州市で働くには
北九州市の大卒程度の採用試験は、上級等採用試験(6月実施)と上級採用試験(4月先行実施枠)の2種類があります。
また、採用職種は一般事務員、一般技術員、消防士、獣医師、保健師、学芸員など多種多様です。
本稿では、行政事務に携わる職員採用試験のうち、もっとも採用人数が多い定期採用の一般事務員(行政1A)※について解説します。
※一般行政事務員の試験には、一次試験が6月に実施される行政ⅠA【専門試験】と行政ⅠB【論文試験】、4月先行実施枠の行政ⅠC【プレゼン】があります。
行政に携わる一般事務員は、北九州市全般に関わる事業の企画や予算の編成業務、市の活動をアピールする広報、国際交流に関する業務や、市民と最も密接にかかわる各区役所での税・保健・年金・福祉・地域づくりに関する業務などを担当します。
行政ⅠA【専門試験】2021年試験内容
| 区分 | 試験形式 | 試験時間・ 問題数 | 試験内容 | 
| 第1次 筆記試験 | 教養試験 択一式 | 150分 50題全問必答 | 公務員として必要な一般的知識(社会、人文、自然の知識) 一般的知能(文章理解(現代文3、英文5、古文1)、判断推理9、数的推理6、資料解釈1)時事問題 | 
| 専門試験 択一式 | 専門試験 択一式 | 120分 40題 全問必答 | 政治学、行政学、憲法、行政法、民法、刑法、労働法、経済学、財政学、社会政策、国際 関係、経営学等 | 
| 第1次 口述試験 | 個別面接 | 個別面接 | |
| 第2次 筆記試験 | 論述試験 | 1題 | 与えられた課題に解答 | 
| 第2次 口述試験 | 個別面接 | 個別面接 | 
北九州市の行政ⅠA【専門試験】は、全国型(教養試験:50題必答の択一問題、専門試験:40題必答の択一問題)を採用しています。
全国型の合格ラインは6割程度とされています。
出題数が多い数的処理や英文は落とせませんので最優先で学習に取り組みましょう。
北九州市の受験資格とスケジュール(2021年)
北九州市上級等採用試験の受験資格は、採用時年齢が満22歳から満30歳までの人で、学歴等の制限はありません。
以下に、2021年の受験スケジュールをまとめました。
| 試験名 | 試験日 | 合格発表 | 
| 第1次筆記試験 | 6月20日 | 7月7日 | 
| 第1次口述試験 | 7月17日または7月18日 | 7月27日 | 
| 第2筆記試験 | 8月1日 | 8月下旬 | 
| 第2次口述試験 | 8月16日または8月20日 | 
2021年度採用試験結果
| 試験 区分 | 採用 予定数 | 第1次筆記試験 | 第1次口述試験 | 第2次試験 | 倍率A/B | ||||
| 応募者数 | 受験者数(A) | 第1次口述試験対象者数 | 受験者数 | 合格者数 | 受験者数 | 最終合格者数(B) | |||
| 行政ⅠA | 26 | 282 | 174 | 128 | 118 | 37 | 34 | 28 | 6.2 | 
採用予定者数が26名であるのに対し、応募者が282名いたことから、志願倍率は10倍を超えていたことがわかります。
その後、1次筆記試験で半数以上が口述試験の対象者から漏れ、第1次口述試験で、およそ3分の1に絞られています。
1次試験受験者数(A)を最終合格者数(B)で割った倍率は6.2倍で、狭き門といえます。
第一次筆記試験受験者の7割以上が合格しているのに対して、第一次口述試験の受験者の3割程度しか合格していません。
公務員試験も就職試験である以上、面接重視・人物本位であることがわかります。
面接対策を怠らないようにしましょう。
試験の配点
| 試験区分 | 第1次試験 | 第2次試験 | |||
| 行政1A | 教養試験 | 専門試験 | 口述試験 | 論述試験 | 口述試験 | 
| 40点 | 60点 | 100点 | 50点 | 100点 | |
第1次試験で口述試験に進むためには、教養試験と専門試験の成績が一定基準に達している必要があります。
第1次試験の合格者は教養試験と口述試験の両方の結果をまとめた総合成績によって決定しますが、口述試験の成績が一定基準に満たない場合、不合格となります。
福岡市で働くには
福岡市の大卒程度の採用試験は、試験時期には一般枠(6月実施)と特別枠(4月実施)が、採用時期には定期採用と早期採用の募集区分があります。
また、採用職種は上級行政事務、上級行政事務・福祉、上級行政事務・心理、上級行政技術(土木、建築、電気等)、消防吏員A、獣医師、保健師などさまざまな職種で職員を募集しています。
本稿では、これらの中でもっとも採用数が多い上級行政事務(一般)※について解説します。
※上級行政事務の試験には、上級行政事務(一般)、上級行政事務(行政(特別枠))早期採用、上級行政事務(行政(特別枠))定期採用があります。
行政事務職は、市民生活の各分野を幅広く支える役割を果たします。
水道局や交通局、教育委員会などの事務も担いつつ、高齢者施策や自然環境の保全、国際交流の推進など多種多様な業務に従事します。
上級行政事務(一般) 2021年試験内容
| 区分 | 試験形式 | 試験時間・問題数 | 試験内容 | 
| 第1次試験 | 教養試験 | 150分 50題 全問必答 | 一般的知識(社会・人文・自然)及び知能(文章理解(英文を含む。)、判断推理、数的推理、資料解 釈) | 
| 専門試験 | 120分 40題 全問必答 | 政治学、行政学、憲法、行政法、民法、刑法、労働法、経済学、財政学、社会政策、国際関係、 経営学 | |
| 口頭試問 | 態度、服装、印象を始め対人関係について、コミュニケーション力、情緒安定性、協調性・関係構築力、責任感・積極性の観点から評定します。 | ||
| 第2次試験 | 論文 | 75分 1,000字程度 | 理解力・問題意識、独自性(自分の考え・意見)、論理性・構成力、表現力の観点から評定します。 | 
| 口頭試問 | 態度、服装、印象を始め対人関係について、コミュニケーション力、情緒安定性、協調性・関係構 築力、責任感・積極性の観点から評定します。 | 
福岡市の上級等採用試験も、北九州市と同じく全国型(教養試験:50題必答の択一問題、専門試験:40題必答の択一問題)を採用しています。
全国型の合格ラインは6割程度とされていますので、出題数が多い数的処理や英文などを優先的に学習しましょう。
福岡市の受験資格とスケジュール(2021年)
福岡市上級等採用試験の受験資格は、採用時年齢が満22歳から満29歳までの人で、学歴等の制限はありません。
以下に、2021年の受験スケジュールをまとめました。
| 試験名 | 試験科目 | 試験日 | 合格発表日 | 
| 第1次試験 | 筆記試験 | 6月20日 | 6月24日 | 
| 口述試験 | 7月3日~7月11日までのうち1日 | 7月11日 | |
| 第2次試験 | 論文試験 | 6月20日 | 8月下旬 | 
| 口述試験 | 7月中 | 
2021年度採用試験結果
| 試験区分 | 採用予定者数 | 申込者数 | 第1次試験 | 第2次試験 | 競争倍率(A/B) | ||
| 受験者数(A) | 合格者数 | 受験者数(口頭試問) | 合格者数(B) | ||||
| 行政(一般) | 46 | 839 | 495 | 90 | 79 | 53 | 9.3 | 
採用予定者数が46名であるのに対し、申込者数が839名なので、志願倍率は18倍以上に達していたことがわかります。
その後、第1次試験で90名まで絞り込まれ、第2次試験の口頭試問でさらに26名が不合格となり、最終的に合格者数は53名、競争倍率は9.3倍の試験となりました。
試験の配点
| 試験区分 | 第1次試験 | 第2次試験 | |||
| 教養試験 | 専門試験 | 口頭試問 | 論文 | 口頭試問 | |
| 行政(一般) | 100点 | 100点 | 180点 | 40点 | 200点 | 
第1次試験の口頭試問に進めるのは、教養試験及び専門試験の合格者のみです。
また、第1次試験と同じ日に実施される論文試験を受験しなかった場合、第1次試験は不合格となってしまうので注意しましょう。
論文は第1次試験の合格者のみ採点対象となります。
北九州市・ 福岡市 働くならどっち?
子育てに意欲的な街で働きたいなら北九州市
北九州市は政令指定都市の中でも子育てしやすい街とされています。
11年連続で待機児童ゼロであることや、国の基準以上となる1歳児5人に保育士1人を割り当てられていること、さらに、25時間365日対応の小児救急医療体制が整えられていることなどが理由として挙げられます。
その結果、政令指定都市のなかではかなり高い合計特殊出生率1.52(全国平均は1.36)となりました。
こうした子育てしやすい環境は、北九州市が子育てに対し意欲的に取り組んだことでうまれました。
人口が90万を越えるような大都市でも、自治体の努力によっては子育て環境を改善できることを北九州市は証明しました。
前例にとらわれず、子育てに関わる仕事をしたいと考えている人にとって、北九州市はとても働き甲斐のある自治体ではないでしょうか。
チャレンジ精神旺盛で刺激を受けて成長したいなら福岡市
福岡市は、福岡県の県庁所在地であると同時に九州経済の一大中心地で、政令指定都市の中で人口増加率・人口増加数ともにナンバー1です。
それと同時に、若者(10代・20代)の人口比率も政令指定都市でナンバー1です。
福岡市は、このポテンシャルを活かし、国内外から企業を積極的に誘致しています。
そのために福岡市が行っているのが「天神ビックバン」のプロジェクトです。
民間の活力を活かしながら、市が積極的に天神の再開発を実施。企業誘致と新たな雇用の創出を目指しています。
こうした、目新しいプロジェクトを推進できるのは発展中の若々しい都市ならではのことです。
市役所の中でも企業の創業や海外展開をサポートする人材が生き生きと働いています。
チャレンジ精神旺盛で、様々な刺激を受けながら成長したいと思っている人なら、福岡市がおすすめです。