センターデフを持つ4WDシステムを持つアウディのみがquattroを名乗って良い。
というセンターデフ信者が居ますが、実際の所どうなのでしょうか。
歴代クワトロの話はこういった記事に頼り
”最近のハルデックスはセンターデフのある4WDよりも高性能なんだ”
という話も動画に頼りましょう。
ここからが本題です。
先日の記事にこんな事を書きました。
*Mk2は50:50を基本としつつ、理論上15:85~85:15の可変
*前後トルク配分は95:5〜50:50の間で制御していると言われている。
*またMk3ではブレーキLSDを組み合わせ、4輪の回転数をコントロールしている
*わかりやすく書けば、GrBマシンを現代風に乗りやすくした形になっているイメージ
で、最近のハルデックスって駆動配分(トルクディストリビューション)についての話が無いんですよね。という所が今回の話の山場になります。
実際のハルデックスによる駆動配分はこの動画で確認することが可能です。
元々、僕はハルデックスにはある種のドリフトモード(リアのみを駆動することが出来る)が存在するという認識を持っていたのですが、実は完全な間違いなんですね。
”前後トルク配分は0:100~100:0の可変が可能”というのは、前輪が完全にグリップを失った場合、トランスミッション出力の100%相当分のトルクをリアに配分することが出来る圧着力のあるクラッチが装備されているだけであって、それは一時的にFRになるわけでは無い。というのが味噌なわけです。そもそもフロントドライブシャフトがギアボックスから直接出ている以上、フロント駆動力を完全に切り離すことは物理的に不可能です。
ハルデックスシステムをわかりやすく説明するのであれば、FF状態と50:50の直結4WD状態を全自動で行ったり来たりすることが出来るシステムであり、FF状態を基本とするのか、50:50を基本とするのかは年式、世代、設計によって様々なパターンがあるようです。
Mk2TTRSは第4世代ハルデックスを搭載しており、95:5をベースとして50:50までの間で駆動力を可変出来るという数字が公開されています。とはいえ、ハルデックスシステムを搭載した車はブレーキ時に必ずFF(100:0)になる為、100:0~95:5~50:50というイメージを持っていると良さそうです。
上に貼り付けた動画を見る限り、(VWですが)かなり長い時間直結状態になっているようにも見えます。また、AudiDriveSelectのIndividualではquattroの設定項目があり、Comfort/Auto/Dynamicという3種類の設定が確認できます。Comfortでは確かにFF的作動制限の少なさを感じますし、Dynamicでは昔乗っていたGC8のようなリアからの押し出し感を感じます。うーんわからん。ただ、1つだけ明確にわかるのが、TTRSってブレーキ踏んだ瞬間のリアが浮いてタコ踊りしそうになる雰囲気があるんですよね。完全にFFだわ。という所はブレーキでリアを振り出せる反面、センターデフのある4WDの最大の強みであるブレーキング時の安定性は全くありません。完全に僕の勘なのですが、アウディはこの特性に問題意識を持っているようで、ブレーキを踏むと同時にフロントダンパーが硬くなる感触があり、なるだけ姿勢をフラットに保つことでリアの接地を確保しようとしています。ただ、この問題は200オーバーの速度から一気に80前後まで減速するような状況で発生するだけなので、通常は問題無いと思われます。ブレーキをリリースした瞬間にリア駆動が回復するので、ターンインと共に地面に張り付く安定性が手に入ると考えると、ある意味唯一楽しめるピーキーなポイントなのかもしれません。これに関しては普通に乗っている状態では全く問題になるようなものでは無いので、一般的な運用方法だと無視出来る些細な特性だと思います。
また、ハルデックスはもっと微妙なコントロールをしているのかな?と思っていたのですが、峠で振り回した感じだと全くそういったコントロールはしていなさそうです。トルクベクタリングによる緻密なコントロールを嫌ってハルデックスを搭載しているTTRSを選んだ所もあるので、アクセル踏んだら直結+ブレーキ踏んだらFF(燃費狙いのComfortではクルージング時に95:5前後の"ほぼ"FF)という個人的に最も振り回せる、好みの動きをしてくれる車であることを実感しました。
VWのFFとスバル直結4WDを乗り継ぎ、最近のトルクベクタリングのリッジレーサー感のあるコーナリングフィーリングを嫌う僕としては、古のGrBカーの息吹をエンジン的にも駆動方式的にも感じることが出来、本当に良い車だということを毎日実感しています。
WebCG:Audi TT RSクーペ(8S前期)
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