このページは、けものフレンズ界隈で起きた騒動を知らない人に向けて、騒動を通史的に解説しています。
「ざっくり」とした解説ですので、詳しく知りたい方は個別記事を参照してください。
けものフレンズ騒動とは?
『けものフレンズ』にまつわる炎上騒動に至るまでのできごと、その炎上の大まかな経緯を記す。
けものフレンズプロジェクトの発足
『けものフレンズ』とは、「アニマルガール」と呼ばれる萌え擬人化された動物たちが集まる架空の動物園「ジャパリパーク」を舞台とした、メディアミックスプロジェクトである。
吉崎観音によるキャラクターや世界観を使用した新規IP(知的財産権)の創出を目的とし、KADOKAWAの梶井斉が中心となって2014年頃に発足。「原作はゲームでもアニメでもなく『動物』である」という吉崎の考えのもと、各メディアが作品の基本設定を独自に解釈して展開する、複合的なプロジェクトとなる。この方針から、ファンサイドの二次創作や、オリジナルフレンズといった三次創作も認められている。
2015年3月にはネクソンよりゲームアプリ『けものフレンズ』(以下、ネクソン版)がサービスを開始した。ネクソン版はサービス開始1周年となる2016年3月16日に完全無料化を発表、同年3月31日より課金システムを廃止した完全無料制へと移行し、2016年12月14日にサービスを終了した。長期間の運営はできなかったものの当時のプレイヤー(園長)からは愛されており、攻略Wikiの開設のほか、有志によるアーカイブ動画が保存されていた。
また2015年5月には『月刊少年エース』にてフライが作画を担当する漫画『けものフレンズ -ようこそジャパリパークへ!-』(以下、フライ版)が連載を開始し、2017年1月まで連載が続いた。
2017年に放映されたテレビアニメがインターネット上で話題になるまでは、『けものフレンズ』の知名度は決して高いと言えるものではなかった。
テレビアニメ放送によるけものフレンズブーム
2017年1月11日、テレビアニメ『けものフレンズ』(以下、アニメ1期)が放送を開始した。
フル3DCGアニメではあるものの、その映像は他作品と比較してクオリティが高いものではなく、第1話ではその内容から脱落する視聴者が続出した。当初の評価は「クソアニメ」「何も考えずに見られるネタアニメ」という惨憺たるものであったが、作品内に貼られた伏線や独特な雰囲気に惹かれる者もわずかながら存在した。
その後、ふたば☆ちゃんねるなどで「すっごーい!」「たーのしー!」などの劇中の台詞が流行し、これがTwitterで「脳が溶けるアニメ」として急激に注目されることとなった。また、作品内の伏線や世界設定に興味を惹かれて視聴にのめり込む者も増加し、「けものフレンズ考察班」と称して日夜論考を繰り広げるようになった。作品内でネクソン版との繋がりも示唆されたことで、ネクソン版の世界からアニメ1期までの間に何が起こったかを考察する動きも活発となった。第11話の急展開は「けもフレショック」と呼ばれ、第12話の大円団的ストーリーも相まって、インターネット上では大いに注目が集まることとなった。インターネット上では「覇権アニメ」と評価され、多くのファンを獲得したことで、『けものフレンズ』は一躍人気コンテンツとなった。
アニメ1期が注目されたことにより、多くの商品展開が行われて、イベントや他企業とのコラボレーションも行われるようになった。特に『けものフレンズ BD付きオフィシャルガイドブック』やイベントチケットはかなりの売れ行きを見せ、転売騒動が起きるほどであった。初期のグッズ販売会ではほとんどが売り切れ、「桶しか売っていない」などとして話題となった。こうした中で動物園巡りをするファンも増え、「みんなフレンズ」という連帯意識からオフ会などのファンイベントを盛んに行うようになった。同人誌即売会などのオンリーイベントも開催され、多くのファンアートや二次創作、「オリジナルフレンズ」の考案が行われた、ニコニコ動画では「うどんを打つアライさんシリーズ」や「ジャガーマンシリーズ」などのMAD動画文化が勃興した。
また、念願であった動物園とのコラボレーションも実施された。サーバルなどの一般にはマイナーであった動物の知名度が上がり、自然界での危機的状況や保全活動についても徐々に知られるようになった。
一見大成功したかに見えた『けものフレンズ』であったが、急激なブームは多方面で多くの歪みをもたらしていた。
2017年4月には性的な二次創作を公式に禁止するよう呼びかける署名活動が発足し、それに対抗するように「けものフレンズの成人向け二次創作を公式に禁止するよう呼びかける署名活動」に反対する署名活動が発足するなど、表現規制問題に『けものフレンズ』も巻き込まれることとなった。一方で、二次創作のイメージの氾濫によるキャラクターイメージの歪みや、アライグマのアニマルガールを虐待・迫害・殺害する二次創作「アライさん虐待」などの過激な二次創作も生まれていた。
「けものフレンズ構文」とも呼ばれるネットミームが荒らしの常套手段として頻繁に使用されるようになり、「覇権アニメ」「神アニメ」の御旗を掲げて、他コンテンツやそのファンに対してマウントを取るファンが増加した。こうしたことで、過激で無遠慮な言動を取るファンをけもフレ信者」「たつき信者」「ケモガイジ」と呼んで忌み嫌う者も現れることとなった。また、アニメ1期が『けものフレンズ』の原点であるとする考えが多数派になったことで、ネクソン版やフライ版などの以前のコンテンツの存在が軽んじられ、キャラクターイメージがアニメ1期中心に塗り替えられていくことに反発するファンも存在するなど、ファンコミュニティはけっして平和と呼べる状況ではなかった。
ファンの自意識の増大に伴い、『けものフレンズ』を貶す者に激しいバッシングを加えることも当時から行われていた。声優ユニット「どうぶつビスケッツ×PPP」がテレビ番組『ミュージックステーション』に登場した際には、その共演者が声優ユニットを軽んじているとして誹謗の槍玉に挙げられたほか、声優陣を自身のラジオ番組で話を盛って揶揄した古舘伊知郎が炎上するなどの騒動も発生した。
こうした「どったんばったんおおさわぎ!」なブームの中、アニメ1期の監督を務めていたたつきは急激に注目を浴びることとなった。
ネクソン版などの展開が終了してからアニメ1期が放送されたことについて、アニメ1期ファンの中では「けものフレンズが『爆死コンテンツ』であり、テレビアニメを作ることになったたつきはその敗戦処理の役目を背負っていた」と捉える者も存在した。アニメ1期のアニメーションプロデューサー・福原慶匡がネットニュースなどのインタビューでたつきの功績を盛大にアピールしていたことも重なり、アニメ1期のヒットはたつき個人の手腕によるものとする風潮が強まっていく。これにより、たつきはけものフレンズコンテンツを立て直した功労者としてインターネット上で強く崇拝されるようになった。
たつきが脚光を浴びていた傍ら、たつきと同人サークルirodoriを結成し、前職を辞めてまでたつきと共にアニメ1期の制作に携わった伊佐佳久(平安)と白水優子(ゆっこ)の功績はあまり注目されることはなかった。
2017年4月5日にたつきが個人アカウントで公開した動画『けものフレンズ 12.1話「ばすてき」』は、事前にKFPに許可を得て制作したものではなく、たつきが同人誌頒布会「COMITIA」および「コミックマーケット」で頒布した同人誌『きょうびのいろどり』および『こないだの仕事 設定』中において、にテレビアニメの公式素材が流用されたのではないかとする疑惑が浮上した。
また、2017年5月26日には脚本・シリーズ構成を務めていた田辺茂範がクレジットから外れることが決まり、後に「何らかの権利的問題が発生したのではないかとして」として、後の炎上でも争点となった。
炎上やトラブルはありつつも、『けものフレンズ』コンテンツやたつきの人気は加熱していき、今後も大きな発展を遂げていくと多くの者が信じていたところに、今日においても大きな影響を及ぼす事案が発生することとなる。
けものフレンズ騒動の発端
けものフレンズ騒動とは、『けものフレンズ』(テレビアニメ)の監督であったたつきが2017年9月25日にけものフレンズのアニメ制作から外れる旨をツイートすることで起こった事案である。この事案は、たつきショック、たつき監督降板事件などで呼称されている。
たつきによるツイートの内容が伝聞調の不確かなものであった為に、それを見た一部ファンがツイート内で言及された「ざっくりカドカワ方面」へ不満を表明し炎上した。
「たつきが制作したけものフレンズを再び見たい」と願ったアニメ1期及びたつきのファン、過去の怨みを発散しようとするKADOKAWAアンチ、炎上騒動に加担したいネットイナゴらが入り混ざり、群れの力で行動を開始。
ざっくりカドカワ方面とするものにセルリアンの役割を被せ、関係各社やコラボ企業へのお問い合わせと称した電凸、たつきの降板を撤回するよう懇願する署名活動を行った。
これらの活動はニコニコ動画やふたば☆ちゃんねるが主な拠点となった。
たつきがツイートを投稿して二日後の2017年9月27日に製作委員会であるけものフレンズプロジェクト、略してKFPがたつきと契約していた元請制作会社である株式会社ヤオヨロズとの間で契約が成立しなかったためであるという内容の声明を発表した。だが、一部のファンはこれを信じることなく怪文書であるとし、たつきが降板する原因を究明することを名目として現在に至るまで関係各社や関係者への誹謗中傷を続けている。
騒動が勃発して1週間も経たないうちに、けものフレンズコンテンツのコンセプトデザイン担当である吉崎観音がたつきに嫉妬して降板させたという情報が報道される。 2017年9月26日のYahoo!ニュースでのまつもとあつしの署名による報道と、2017年9月28日の総合ニュースポータルサービス「デイリーニュースオンライン」での報道が該当する。これらの報道をかつて吉崎と関わる仕事をした佐藤順一、春日森春木といったアニメ業界の人物が否定する。しかし、KFPの声明を怪文書として信用せずに原因究明を行なっていた一部ファンはこれを信用し、たつきが25日にツイートをして以降の吉崎がTwitterを更新しなくなったことで吉崎が黒幕であると考察。吉崎観音黒幕説を打ち立てる。
デイリーニュースオンラインの執筆陣に名を連ねる山本一郎が「吉崎観音が原因である」と発言しており、彼もまた実質的な吉崎観音嫉妬説の提唱者とされている。
2017年10月3日にはKADOKAWAの井上伸一郎がKFPとヤオヨロズの調停に入っていることを明かす。その中で、「KFPとヤオヨロズの意見に大きな溝があること」「特に『監督降板』の経緯、版権使用についても認識相違があること」を確認する。それから約2ヶ月半後の2017年12月27日にヤオヨロズの福原慶匡がヤオヨロズ及びたつきがけものフレンズのアニメ制作を外れることが覆らなかったことを公に明かす。井上の介入によってたつきの降板が撤回される希望を見出す者もいたが、結果としてたつきがけものフレンズコンテンツに再度関わることは叶わなかった。
こうして、2017年9月25日に起きた事案によって起きた騒動によって、KADOKAWAを中心としたKFPの参加企業やその関係者たちが功労者であるたつきを降板させたとしてインターネット上で批判の対象にされることとなった。一方で、たつきや福原といったヤオヨロズ側の立場の人物は全面的に被害者であるとされ、彼らへの責任追求が行われることはなく、たつきの行動を批判する者は少数派であった。
吉崎観音嫉妬説の提唱者とされる山本一郎の他、2ちゃんねる創設者として知られるひろゆき、ヤオヨロズの続投の嘆願署名を発起した経済アナリストの青木文鷹、アニメ監督の山本寛、井上の調停に関するリークを行った角川春樹事務所に所属する編集者の中津宗一郎といった著名人がKFPを批判する立場に回った。
また、同年10月にはけものフレンズとコラボイベントを行った東武動物公園で飼育されていたフンボルトペンギンのグレープが死去。グレープの死去をたつき監督降板と結びつける者まで現れる。
週刊文春による報道、過去にたつきが制作したアニメに楽曲を提供したボカロPの江戸川愛工によるたつきとのトラブルの告発、かつてヤオヨロズに在籍していた石ダテコー太郎の意味深なツイートの投稿があったものの、ネット上の世論はたつきとヤオヨロズを味方する方へと傾いた。
当Wikiではたつき・ヤオヨロズを擁護しKFPを批判するスタンスはKFPアンチ、その逆のスタンスをKFP擁護派と呼称し分類している。この2つの対立構造はたつき監督降板事件をきっかけに生まれ、けものフレンズのファンコミュニティを大きく二分化させてしまった。
また、アニメ1期の放映時に開設されたまとめブログけものフレンズちゃんねるがたつきの降板に伴ってアンチKFP思想に染まったサイトに変貌し、KFPアンチの活動拠点として大きな役割を担うこととなる。以後のけものフレンズ界隈においても、様々な問題や騒動を生み出すきっかけとなっている。
KFPとヤオヨロズの対立構造に加え、たつきの降板への不満を募らせ燻らせた者たちの存在は後年にも大きな影響を及ぼすこととなる。
たつき監督降板事件以降の騒動の延焼
KFPアンチのやなと(日鉄会長やなーと)がKADOKAWAの関連サイトにサーバー攻撃を行うようダークネス玉葱君に依頼した事件が起きた2017年から2018年にかけての年末年始、たつきはTwitter上で動きを見せる。
2017年年末には吉崎観音のTwitterアカウントをブロックし、相互フォローを解除。2018年年始には自身のTwitterアカウントのアイコンを『けものフレンズ』のかばんから『傾福さん』のキャラクターへと変更した。具体的な言及は行わなかったものの、これらの動きがたつきファンやKFPアンチの活動の原動力の一つとなった。
たつきは2019年の新作アニメ公開へ向けて、もくもくと準備を進めていく。
けものフレンズコンテンツはたつき監督降板事件以降も引き続き様々なイベント企画やメディア展開を行う。
2017年10月には「Oh!祭だよ!けものフレンズが~で~ん 幕張メッセでどったんばったん大騒ぎぃ!」というイベントが開催。
しかし、このイベントの目玉であった動物展示が動物虐待であると苦情が寄せられる。このイベントはけものフレンズファンの間でも問題視され、今日のけものフレンズ界隈においてもコンテンツ展開の汚点とされている。
2018年1月26日に『けものフレンズぱびりおん』が、同年2月22日には『けものフレンズぱずるごっこ』が配信。しかし、ぱずるごっこは配信前にアニメ設定やアニメ絵の流用があることと問い合わせがあったとして、これにヤオヨロズは一切関与していないと福原慶匡が言及。アニメ1期やその素材の著作権利がたつき・ヤオヨロズのものであるとしてKFPへ批判が寄せられることとなった。その一方でぱびりおんは、KFPアンチ勢力に大きな影響力を与えているまとめサイト・けものフレンズちゃんねるの管理人がぱびりおんのWikiを創設していたこともあり、大きな批判に晒されることはなかった。
6月20日に行われたカドカワの株主総会では株主からたつき監督降板事件に関する質問が出る。
これ以降、テレビ東京やKADOKAWAの株主総会で騒動にまつわる質問を行おうとする株主の存在が定期的に確認されている。
2018年7月にアニメ1期が青雲賞メディア部門を受賞、吉崎観音の味方の立場にまわった春日森春木が監督を務めるショートアニメ『ようこそジャパリパーク』が8月12日に配信され、騒動が発生してから1年が経とうとした矢先に騒動が再燃する出来事が起こる。
2018年8月19日、沈黙を貫いていた吉崎観音のTwitterアカウントが女性コスプレイヤーのぽんこつ娘(さーばる)へ「b」とだけ書いたリプライを投稿。
現在は削除されているが、これをKFPアンチは男性器の勃起に見立て吉崎への誹謗中傷に利用するようになっていった。また、ぽんこつ娘もKFPアンチの陰謀論に巻き込まれ、精神的なダメージを受けることとなる。
2018年9月2日、声優ユニットオーディションで使われる台本が個人ブログ「目指そう!声優」を運営するあかり先生が自作した台本を剽窃したものであることが発覚した(新ユニットオーディション台本剽窃事件)。この件はネットニュースで大きく取り上げられ、翌日の9月3日にオーディション運営の責任を担当するAge Global Networks株式会社(以下AGNと表記)が台本の無断使用を認め謝罪。しかし、あかり先生が直接謝罪がなかったと発言したことでAGNへの批判は収まらず、9月16日にはAGNの加藤英治がTwitter上であかり先生へ直接謝罪を行った。
2018年9月14日、あかり先生制作の台本の無断使用を知ったたつきが脚本費全話と脚本印税が自身に支払われていないと発言。たつきがアニメ1期の脚本費と脚本印税が支払われていないと告発する事案が発生する。
これに当時テレビ東京に在籍していた細谷伸之は、製作委員会として発注なのでヤオヨロズから先のお金の流れはなんとも言えないと説明。石ダテコー太郎も脚本料や脚本印税の支払い手順について説明、細谷の発言と同様の内容であることから業界一般の風習に合致していることの裏付けとなった。
細谷と石ダテによる説明が行われるとたつきは脚本費に関する言及を打ち切ったため、この騒動の顛末は現在も明らかになっていない。この騒動のたつきの行動によりたつきへ疑念や批判を向ける者が増加し、たつきアンチとされる存在が活発化。たつき・ヤオヨロズが被害者であるとされていたネット上の世論にわずかながら影響を与える。
KFPアンチはこの騒動を「KFPの大失態」「テレビ東京の最大の不祥事」と認識し、現在も一部で追及が行われている。
これらの事件を経て、KFPアンチの活動が再燃し活発化。KFPへの批判がさらに集中する事態となった。
この状況のなかで、KFPは『2』へ歩みを進めようとしていた。
テレビアニメ『けものフレンズ2』放送による炎上
2018年10月29日、テレビアニメ『けものフレンズ2』(以下、『2』と表記)が2019年1月にスタートすることが決定する。
たつきに代わり、監督は木村隆一が担当。アニメ制作をトマソンが担当することが発表された。
木村は監督に就任することが決まった当初はKFPアンチ・KFP擁護派双方から心配されていたのだが、インターネットで公開されたインタビューにおいて、飲みの席で細谷伸之に頼まれて引き受けたこと、「監督は誰でもいい」という発言が否定的なニュアンスで解釈され拡散されたことで、KFPアンチの反感を買われてしまう。
制作会社となったトマソンは、KFPアンチや『2』に否定的な層から多種多様に及んだ迷惑行為を受ける。これに『2』のプロデューサーでありトマソン所属の沼田心之介は注意喚起を行うも、「クソアニメへの言い訳」として聞き入れてもらえず、沼田本人も誹謗中傷の対象となった。
木村や沼田以外にも、シリーズ構成を担当するますもとたくや、2018年にKFPアンチと一悶着があった細谷伸之、たつき降板の黒幕とされた吉崎観音と、『2』に関わることになった人物は放送前にも関わらず誹謗中傷のターゲットとなった。
さらに、たつきが所属していた同人サークル「irodori」が制作した自主制作アニメ『ケムリクサ』がヤオヨロズの元で商業アニメとしてリメイクされ、『2』と同じ2019年1月から放送されることが決定した。さらに、「『2』がケムリクサの放送クールにぶつけてきた」という根拠のない因縁ドラマを作り上げられてしまい、『2』に向けられるヘイトはより高まっていく。
これにより、たつきを降板させたKFPが作った『けものフレンズ2』とそのリベンジとなるたつき・ヤオヨロズが作る『ケムリクサ』の対立構造が出来上がり、この対立構造がKFPアンチやたつきの降板にまつわる騒動を知るネットユーザーから注目を受ける。
2019年、1月9日に『ケムリクサ』が、1月15日には『けものフレンズ2』の放映がスタートする。
『2』は第1話の放送からインターネット上で酷評を受ける。始めは穏健に評価を下そうとする者もいたものの、アニメ1期にはなかったギスギスが満ちている、たつきやアニメ1期とそのファンへの悪意に満ちているとして、放送が重なるにつれてKFPアンチと『2』アンチの活動は加熱していった。
一方、『ケムリクサ』はネット上では視聴したアニメファンから高く評価を受ける。『ケムリクサ』を視聴した様々な著名人からも評価を受け、これら著名人の反応はたつきファンやKFPアンチの間で『2』の低評価と対称的に『ケムリクサ』が高く評価された実例として大きく扱われることとなった。
『2』は放送を重ねるにつれ、インターネット上でのバッシングが激しくなっていった。
第9話「おうちにおかえり」の放送後、イエイヌ(雑種)の作中での扱いが視聴者の間で賛否両論を招き、ニコニコ生放送での配信終了後のアンケートでは「とても良かった」が3.0%、「良くなかった」が91.1%を記録。アニメの配信では『遊☆戯☆王ARC-V』に迫るワースト記録だったことで、アンチ勢力の士気はより強まっていく。
そして、最終話のニコニコ生放送のアンケートで、「とてもよかった」は2.6%、「よくなかった」は95.3%を記録。これにより『2』はニコニコ生放送のアニメカテゴリでワースト記録を塗り替えることとなり、『2』は批判しても良い、非常に評判の悪い作品として扱われることとなってしまった。ネットイナゴの大多数も『2』を批判する立場にまわったことでインターネット世論はKFPアンチが勢力的に強くなり、『2』を評価すると非難・迫害を受ける風潮を作り上げるにまで至った。
『2』放送によって、たつき監督降板事件が勃発した2017年以上に活発化したKFPアンチ。たつき監督降板事件以降はKFPアンチの拠点となったまとめブログ・けものフレンズちゃんねるが音頭をとる形で、過激な活動を展開していく。ニコニコ動画で『2』やその関係者へのヘイト動画を複数投稿した呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪(呪詛兄貴)、政治界隈で大きなトラブルを起こした過去をもつククリーナ、『2』と『ケムリクサ』の対立煽りを行い東北ずん子の生みの親を自称する榊正宗、けものフレンズちゃんねるにヘッダー画像を提供した塚沢、アニメ1期と比較し『2』を批判したツイートが拡散されネット上の『2』叩きを加速させたネメコルことアニメーターの石田俊平、『2』やその主人公のキュルルを過度に貶める4コマ漫画を投稿したバッタ、プロパガンダ広告と称し『2』の悪評を広める画像を作成したゑのき、愉快犯的な言動を繰り返したモチガイ、「村長」の異名で知られるガープ、TwitterでKFPアンチとして精力的に活動した雪国うまる、ジュラブリック、黒井秀一、旧鈴木心太郎、その他多くの人物が『2』へのアンチ活動や関係者への誹謗中傷を行う。
これらのアンチ活動に対抗する人物も現れる。にっけ、真鍋棒、Ironyart、あんこう、アウグストといった人物が『2』に擁護的な批評の発表、KFPアンチが主張する批判意見への反論を行った。しかし、『2』への評価・擁護を行った彼らは「真のフレンズ」略して真フレと呼ばれ、KFPに味方する存在としてネットリンチや誹謗中傷の対象にされていった。
また、東京ズーネットもTwitterでネット上のネガティブな意見に触れ、過去のたつきの発言を引用したツイートを投稿したことで、KFPアンチから激しいバッシングを受けることとなった。
かつてアニメ1期に参加したキャスト・声優陣の一部も過激な『2』バッシングの対象となっていた。マーゲイ役の声優・山下まみは細谷と共にネット配信番組でMCを勤めていたことで、KFPアンチからテレビ東京や細谷を相手に枕営業を行なっているとして中傷を受ける。『2』放映中の2月12日に放送された「有田哲平の夢なら醒めないで 人気声優の悩みSP」で尾崎由香の発言が炎上。けものフレンズちゃんねるも他のまとめブログ同様に尾崎の発言を非難する立場にまわった。
『けものフレンズ2』放送終了後も広がるアンチ活動
『2』放送によってKFPやその関係者の誹謗中傷はさらに悪化。
『ケムリクサ』がネット上で高評価を受けたことで勢い付いた過激派のたつきファン、『2』がネット上で絶対的な低評価を受けたことで漁夫の利を得たKFPアンチらは、ネット上でさらなるけものフレンズコンテンツへのバッシングと同時にたつきの称賛を展開。KFPや真フレ認定を受けたKFP擁護派への弾劾を行った。たつき、福原慶匡と彼らが手がけたコンテンツへの批判的な言動を行う者へのバッシングも行われていく。
また、漫画家の近藤笑真、動画配信者の加藤純一やミノルを始め、『2』の炎上騒動に加担する者やたつきへ批判的な発言を行ったネット上の様々な人物が過激なたつきファンやKFPアンチのバッシング対象にされてしまう。
特に漫画家兼同人作家の足立淳は、当時売り切れになっていたはずの『ケムリクサ』の映像ソフトがヤオヨロズの親会社・ジャストプロの名義でAmazonマーケットプレイスに大量出品がされたことをネタにした漫画を描こうとしたことをきっかけに、たつきファン及びKFPアンチから様々な誹謗中傷を受ける立場となってしまった。
やらおんなどのまとめブログ、漫画・アニメの情報を取り扱うYouTubeチャンネルの大多数が『2』を批判する立場にまわり、情報を拡散する。
たつき監督降板事件に言及したひろゆきや山本寛も『2』への批判的な発言を行う。
この頃、KFPアンチはたつきアンチとして過激な発言を繰り返していた氷村ふぁねるに大きく翻弄される。
ふぁねるはTwitterで細谷と会話を行っていたとして、KFPアンチの間で細谷と同一人物であると考えられていた人物であった。
放送時に『2』と『ケムリクサ』の対立煽りを行った榊正宗は、氷村ふぁねるを細谷伸之と同一人物と考え、情報開示を行うと宣言。開示費用のクラウドファウンディングまで募って行うが、長引いたあげくに失敗に終わってしまった。
細谷はふぁねるとの同一人物疑惑をかけられる他、イベントの最中に2ちゃんねるに書き込みを行ったワープマンとしての疑惑も向けられていたため、『2』放送終了後もKFPアンチから粘着的に誹謗中傷を受け続けていた。
2019年4月、 Twitter上で細谷がKFPアンチと口論を繰り返したことがきっかけなのか、テレビ東京が謝罪文を公開する事態となった。また、公開を控えていた『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲EVOLUTION』の予告編から細谷のクレジット表記が消えたことが話題となる。これを皮切りに行われた検証で、テレビ東京が関与するアニメ作品から細谷の名前が無くなったことが判明。後に細谷がアニメ事業の部署から異動していることが発覚し、細谷のTwitterアカウントも更新が止まる。
また、沼田心之介も、未成年の声優を深夜に連れ回して飲酒させた首謀者と決めつけられ風評被害を拡散されてしまうなど、KFPアンチらに誹謗中傷を受け続ける。
けものフレンズプロジェクトは『2』の放送終了後もイベントを展開するが、過激なアンチ活動の影響を免れることはできなかった。
「けものフレンズ屋形船」ではイベントに参加した沼田の発言がシャア専用ブログによる情報拡散によって曲解され、けものフレンズ2000年問題が発生。屋形船のイベントもKFPアンチから批判の対象とされる。
東京池袋バルコにおいて開催された「けものフレンズWORLD」ではたつき信者が書いたと思われる張り紙が貼られ、イラストなどの持ち込みの禁止や警備の強化が行われることとなった。
「とちてれ★アニメフェスタ2019」では、展示されていたタイムスケジュールのパネルの文字が隠されている写真がネット上で出回る。隠されている文字が「2」ではないかという憶測から、KFPアンチの間で『2』では客が呼べないから隠したとされ、『2』の蔑称として「□」が用いられるようになった。
2019年6月26日、ねこたススムがけものフレンズの小説のイラストを製作する依頼を請けたにも関わらず、KADOKAWAからもらう作業料が未払いだとしてTwitter上で告発する。
この小説はカドカワBOOKSから販売される予定だったが、何らかの事情により発売中止となったものであった。
カドカワBOOKSの編集者はねこたと接触を図るも、これになぜか恐れを感じたねこたは面談を拒否。
KFPアンチの間ではさらなるKADOKAWAの不祥事として批判材料に用いられるも、ねこたの問題のある人間性や騒動での行動、ラフの作業料はしっかり支払われていたことが明らかになるにつれ、ねこたは過激なKFPアンチ以外からまともに相手をされなくなった。
KFPとたつき・ヤオヨロズの対立構造の終焉
インターネット上におけるKFPとたつき・ヤオヨロズの対立構造はいつまでも続くと信じられてきたが、炎上に参加していたネットイナゴや対立煽りが他所に移動したこと、KFPアンチやけもフレ2アンチの過激な言動を多くの人が敬遠し始めたこと、『2』の炎上後も『けものフレンズ』コンテンツは順調に展開されたことで、徐々に落ち着きを取り戻し始めた。
そして2019年7月に発生した京都アニメーション放火事件において、KFPアンチのワイトキングが陰謀論を展開し、騒動を知らない人にもけものフレンズコンテンツやその関係者を叩き続けるKFPアンチの異常性が周知されたことを皮切りに、徐々に勢力を弱めていく。
ニコニコ大百科での仕様の変更、炎上の流行の変化、岸本福太が起こした石川由依殺害予告事件、SNSでの誹謗中傷が次々と訴訟で処分を受けるニュースの報道等によってKFPを批判をするネットイナゴが少なくなり、状況が変化しはじめた。
2020年3月のヤオヨロズの解散により、コンテンツとしての対立構造は消滅した。現時点でのKFPアンチは自身に反論してくる者、気に入らない一個人に標的を変え、ツイッター等での中傷をメインに行動をするように変化した。
2021年、榊正宗がKFPの関係者へ聞き込みを行い、吉崎観音嫉妬説を否定した。この情報を福原が認めたこともあり、吉崎観音嫉妬説が根拠のないデマであるという認識へ変わっていく。
騒動の発端となったたつきは情報発信をほとんど行わなくなり、2020年4月からはアプリサービスもるにあを手がけるものの、その更新を停止した。一方で、唐突にイラストを投稿する、『へんたつ』で劇場作品の公開を仄めかすなど不定期にTwitterを更新しており、ヤオヨロズ解散後のたつきの動向について、界隈では憶測が飛び交っている。そして現在の自身のことやけものフレンズ騒動の詳細を明確に語らないため、騒動自体が沈静化しない一因となっている。
コンテンツと騒動の分離
2019年に始まった『けものフレンズ3』、2021年に開始したけもVプロジェクト、双方が軌道に乗りそれぞれが主力コンテンツとして活躍することになる。
長年冷遇されていたネクソン版からのファン、いわゆる園長勢は当時の設定を知る古参として重宝され、再び主力として返り咲くことが出来た。
アンチ的な発言を厳しく取り締まるコミュニティが登場し、けもフレファンは騒動とは無縁で語り合うことが出来るようになった。かつて荒らされていたSNSもけものフレンズコンテンツのアンチが排除される方向になり、幾分かの平穏を取り戻すことが出来た。
不特定多数が書き込むSNSの拠点を次々と失ったKFPアンチはツイッターを主戦場とし、自身と同じ感性を持つ人間同士でKFPやコンテンツに対する中傷活動を行うようにシフトした。
一方で、それらの人間を観察し行動を逐一揶揄する層も出現する。最大の拠点は5ちゃんねるの「けもフレ信者アンチスレ」となる。現在のけものフレンズ界隈の対立構造はこれらを指すようになり、公式コンテンツを楽しむ層からは見えない場所に位置するようになった。このため、けものフレンズファンはKFPアンチに接触しない限り、過去の騒動から続く対立を気にせずコンテンツを楽しめるようになった。
しかしながら、それは現在のコンテンツを楽しむ場合に限り、ニコニコ動画等で過去のコンテンツを楽しむ場合は爪痕が残っているのは否定できない。
たつき及び福原のヤオヨロズ解散後の行動
ヤオヨロズ解散後は福原は以前から設立していた8millionを本格的に活動させてエンタメを総合的に取り扱う会社の社長として行動を開始した。しかし事業内容にアニメ制作はない。福原はケムリクサ放送後半年ぐらいからたつき関連の話題をすることはなくなっており、2021年12月にやしろあずき共著で「クリエイターとクライアントは何故不毛な争いを繰り広げてしまうのか?」を発刊し、名指しはしていないものの、けものフレンズにおけるたつきを連想するような記述が見受けられ、この件で福原はたつきの味方であるという考えは消滅するに至った。
一方、たつきは2020年初めにアニプレのCM枠で「へんたつ」を流した。その後はラジコンで遠隔操作する「もるにあ」を発表したものの、8ヶ月で動きが終了した。アニメとは全く関係ないこのもるにあは、ファン、アンチ双方が混乱に陥った。
2021年は数か月にイラストを一枚上げたりする程度で何をやっているのかわからない状況であった。しかしながら2021年12月31日に、へんたつ特別版で2023年に劇場で新作作品を公開すると発表し、ファンを喜ばせた。
しかしながら数年に渡り、「これから何かする」という状態はライト層が離れることになり、けものフレンズアニメは2022年時点で5年前、2でも3年前とすでに「昔のアニメ」となりイナゴや新規層は話題にすることは少なくなった。
終わりに
KFPアンチは「真フレが暴れ回っている」、KFP擁護派は「たつき信者、珍獣が暴れ回っている」と主張し、双方が歩み寄って相互理解を深めることはなく、年月が経つにつれてさらに溝が深まっている。
けものフレンズ界隈wikiは2017年9月25日の最初の発端から現在に至るまで、様々な造語、出来事、個人間の争いをまとめて解説するために生まれ、現在進行形で編集されるwikiとして誕生した。