「機械は、バルブの出る寸前まで原液のシロップや炭酸水などがタワーの中に入っていて、まさしくバルブの場所で混ざり合って出るようにつくられています。透明の液体は、水か、炭酸水ですね」
もともとできあがったものを貯蔵しておくよりも、作りたての味わいを楽しめるということ?
「いえ、それより『場所』の問題が大きいです。飲料としてできあがったものを出すと、かなりの場所をとってしまうからです」
つまり、運搬・保存の効率面から「濃縮還元」したシロップを使っているわけで、たとえば、ドリンクバーで「濃縮還元100%のジュース」のボタンを押し、水が出てきたからといって、ウソでもなんでもなく、濃縮したジュースと水とあわせて「100%」になっているということのよう。
ところで、炭酸は水で薄められていないの?
「いえ、コーラなどの炭酸は、コーラの原液のシロップと、炭酸水でできています。炭酸水は、水道水をフィルターに通して、二酸化炭素の内圧のかかったタンクに注ぎ、貯蔵しておくので、機材のほうにはシロップだけを在庫しておけば良いというわけです」
ちなみに、日本でのソフトドリンクディスペンサーは、4~6種類のフレーバー数が主流で、この場合、中にあるのは「4~6種類のシロップ」と水、炭酸水だけ。
本来は「エンターテインメント」として生まれたシステムが、日本では特に「省スペースで何種もの味が楽しめる便利な存在」として活躍しているわけです。
(田幸和歌子)