川勝知事がJR案批判 田代ダム取水抑制「乱暴なことをしている」【大井川とリニア】

2022.4.29

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海が26日の県有識者会議でトンネル湧水の県外流出量を大井川に戻す二つの方策案を示したことを受け、川勝平太知事は28日、記者団の取材に応じた。JRが新たに示した東京電力田代ダムの取水抑制案について、国や県、流域市町、発電事業者が交わした水利権の合意事項を説明し、「多くの利害関係者による紳士協定によそ者が勝手に入ってきて、『水をよこせ』と乱暴なことをしている」と批判した。
 また、トンネル貫通後に県外流出量の同量を戻す案も、国土交通省の専門家会議でJRが示した案と同じとして「既に流域が退けた案」との認識を示し、「全量戻しは破綻した」と述べた。
 田代ダムの水利権について川勝知事は、県や流域市町、東電などが「大井川水利流量調整協議会」を通じ河川流量と発電施設の維持を両立する水の量を取り決めてきたことを強調した。県有識者会議でJR側は取水抑制案について「東電側の理解は得ている」と説明したが、川勝知事は「関係者が血のにじむ努力をして出した(水利権の)約束が突然足蹴(あしげ)にされた感じ」と批判した。
 JRが示した南アルプスの地質調査資料を基に、リニアのルート設定の過程についても疑問を呈した。

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