「知床遊覧船」社長、乗客家族にずさんな説明…配布文書には選任していない「補助者」の名前も
2022年05月06日 10時55分 読売新聞
2022年05月06日 10時55分 読売新聞
2022年05月06日 05時00分 読売新聞
桂田社長が乗客の家族らに配布した文書。「運航管理補助者」として豊田船長ら2人の名前が記載されていた=画像は一部修整しています
北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」(乗客乗員26人)が沈没した事故で、運航会社「知床遊覧船」が届け出ていた安全管理規程は、乗客の家族に配布した説明文書とは異なっていた。実際は運航管理補助者を定めておらず、桂田精一社長(58)が事故後に開いた記者会見の説明とも食い違っている。国土交通省は特別監査で同社の運営実態を調べている。
「北海道運輸局に提出済み当社の届け出内容を確認したところ――」
桂田社長が乗客の家族向けの説明会で配布した「説明内容の訂正とお詫(わ)びについて」と題する文書は、それまでに説明した内容を改めて確認し、訂正するような体裁で記されている。
4月27日の記者会見での「運航管理者は船長」とする説明については、自身が運航管理者だったと認め、「自覚が足りませんでした」と謝罪した。
一方、運航管理補助者については「(事故)当日は、営業所内に運航管理補助者として登録している社員はいなかった」とし、一時的な不在のように記述。文書の一つとして配布した「非常連絡表」にも、運航管理補助者として豊田徳幸船長(54)と、別の一人の名前を記載していた。
しかし、国交省関係者によると、国に届け出された安全管理規程では、運航管理補助者の欄は空欄で、そもそも選任していなかった。
同社の安全管理規程は昨年7月30日に改定されており、国交省関係者は「家族に配布した文書は、古い資料や作りかけのものなどとみられるが、明確には分からない。故意に偽る理由は考えにくいが、それにしても不可解すぎる対応だ」と、ずさんな対応にあきれた。
桂田社長は、法令の理解不足とみられる説明を繰り返してきた。
4月27日の記者会見では、出航中止基準の波の高さや風速、船と事務所との連絡方法について、「安全管理規程には具体的には書いていない」などと説明したが、これは法令上、記載すべき事項に含まれており、実際には明記されていた。
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