2022.05.05
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岩下志麻が明かす…今も語り継がれる名作映画『桜の樹の下で』の“ラブシーン”はこうして生まれた

週刊現代 プロフィール

 当時は岩下さんの魅力をいかに画面に定着させるか、それだけを考えて夢中で撮影しました。今思えば、何とか狙いは達成できたかと思います。

岩下 『桜の樹』は、私の女優人生でも異色の作品と言っていいかもしれません。それは、「女そのもの」を描いているからです。『極妻』など、私が演じる多くのキャラクターは「夫や組織があっての自分」なんです。一方の菊乃は、一人の女として愛に生き、命を燃やし尽くした。

菊乃を演じることはひとつの挑戦でしたが、試写を見た渡辺先生から「菊乃の演技が素晴らしかった」と褒めていただいたことは大きな喜びでした。先生との思い出と共に、私にとって特別な作品なんです。

 
いわした・しま/'41年、東京都生まれ。'58年に女優デビュー。'60年に松竹に入社して以降スター女優に。代表作に『極道の妻たち』。'12年に旭日小綬章を受章
はやし・じゅんいちろう/'48年、愛媛県生まれ。撮影監督。『嵐が丘』『桜の樹の下で』などを手がけた。'13年、『あなたへ』で日本アカデミー賞の優秀撮影賞受賞
ひぐち・なおふみ/'62年、佐賀県生まれ。映画評論家、映画監督。著書に『大島渚全映画秘蔵資料集成』『秋吉久美子 調書』など。映画に『葬式の名人』など

『週刊現代』2022年4月30日・5月7日号より

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