ロシア軍「凶悪ドローン」には大量の日本製品が使われていた

日本はプーチンの補給基地か?
部谷 直亮 プロフィール

「ドローン後進国」日本の罪

Orlanシリーズをはじめとするロシア軍のドローンは、日本製の部品や精密機械を寄せ集めて作られていることが明らかになった。しかし、こうした民生品を完璧に規制し、流用を防ぐのは事実上、不可能だ。

そしてこうした事実は、日本製精密機械の品質の高さと同時に、日本の安全保障産業に関する産業政策の不在を示してもいる。本来であれば安全保障に絡む日本の先端技術は、自衛隊の国産ドローンに活用されるべきであり、もしくは米国や豪州などの同盟・パートナー国に正規のルートで輸出されるべきだった。

 

日本は現状、まともな軍用ドローンを国産できていない。他国は日本製品を使って様々なドローン兵器を量産し、非人道的な行為に使ってさえいるが、こうした安全保障産業――新技術を抱える新興企業、危機管理関連企業、伝統的な防衛産業、これらの企業を支援するサービスの提供を行う企業等を含めた総合的な企業群――への振興策は政府内で行方不明になっている。あまつさえ、産業用ドローンにまでホビードローンと同様の厳しい規制を設け、ドローン産業振興の大きな足かせとなっている。

また防衛省・自衛隊は優秀な製品を国産ドローンに活用せずに来た。信頼できる同盟・パートナー国の防衛産業への部品の輸出促進政策も、他国に比べれば弱かった。それは今、自衛隊が見向きもしなかった優秀な部品をロシア軍が使っていることで証明されている。

防衛省・自衛隊は、国内の民間企業から国産ドローン構想が提案されていたにもかかわらずそれを却下し続け、しかもドローンの運用構想すら決められなかった。その挙句、最後は必要に迫られて海外の既製品のドローンを泥縄で導入し、購入した機体に合わせて後から運用構想を考えるハメになっている。しかも中型以上の固定翼機の場合、維持整備のために海外の工場に送らねばならず、ドローンの強みをフイにしている。

関連記事