ロシア軍「凶悪ドローン」には大量の日本製品が使われていた

日本はプーチンの補給基地か?
部谷 直亮 プロフィール

自衛隊がドローンを「信頼できないおもちゃ」と決めつけて、ロクに活用せずにきたからこそ、こうした製品が海外の軍事組織に利用される可能性に気が付かなかったのではないか。サイバー防衛も同様だが、実際に試行錯誤を繰り返さねば技術に対する目利きは養われない。

確かにドローンの神髄は制御システムであり、その点で日本は世界から大きく遅れを取っている。しかしそうであるからこそ、軍用を含めたドローンの開発・産業戦略を策定し、自国の技術的強みを生かし、弱みを解決していく政策を打っていかねばならない。米国は17年前、トルコは11年前に、すでにドローンの開発及び産業戦略を策定している。

 

安保産業政策と輸出管理の見直しが必要だ

本来、日本製部品はロシアのウクライナ攻撃用ドローンではなく、自衛隊の国産ドローン、それに日米・日豪・日泰・日台・日インドネシア等の共同開発ドローンに使われるべきだったのだ。少なくともロシア軍や中国軍などによって活用されるよりは、自衛隊や日本の同盟・パートナー国によって装備化されるほうがいい。その方が民間人の犠牲者もはるかに減るし、何よりも日本の国益になる。

今回、斎藤製作所は長年育成したロシア市場から早期に撤退することで、自社製品がこれ以上軍事転用されることを防いだ。中島飛行機の系譜をもつ同社の誇りが報われなければならない。本来、同社のエンジンはウクライナ市民への砲撃を誘導するドローンではなく、日本や同盟国・パートナー国を守るためのドローンに使われ、それによって同社もふさわしい利潤を得るべきだった。このままでは正直者が馬鹿をみることになる。

防衛省・自衛隊が国内の産業基盤を活用することは、技術流出のリスクを減らすとともに、自衛隊の戦力を強化し、国内の産業を強化することにもなる。規制強化ではなく、まずは産業政策が必要だ。

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