「熱線と爆風だけで数百万人単位の死者が出るのは確実。熱傷などの被害も含めれば、首都圏の死傷者は1000万人を超えるでしょう」(別の防衛省関係者)
当然ながら、「死の手」に狙われるのは東京近郊だけではない。首都機能を担えるような大都市は区別なく核を落とされる。大阪や名古屋、札幌、福岡は壊滅的な被害を受けるだろう。この4都市に核が落ちれば、東京と同じように1000万人以上の被害者が出ると予想される。
沖縄には在日米軍約2万5000人が駐屯し、太平洋には冷戦時代からのロシアの宿敵・第7艦隊がいる。「死の手」のAIが西側を殲滅すると決定したら、第7艦隊と共に沖縄も消滅対象となる。米空軍の攻撃力が集中している嘉手納飛行場や、弾薬庫がある辺野古の真上で核が炸裂する。
他にも長崎の佐世保基地や青森の三沢基地、山口の岩国航空基地なども爆心地になるだろう。
33基の原発も危険
そして、日本各地にある原子力発電所も危ない。
北は北海道の泊原発から南は鹿児島の川内原発まで、国内には33基の商業用原子力発電所がある。このすべてに核報復システムが照準を定めたら、日本のほぼ全域に核が落ちることになる。
サルマト級の核ミサイルがこうした原発めがけて襲来した場合の被害予想範囲を示したのが、前ページの首都圏地図の左にある図だ。
3月2日、ロシア外務省は、ラブロフ外相が中東メディアに「第三次世界大戦が起こるとすれば、壊滅的な核戦争になるだろう」と答えた内容を紹介した。
翌日、プーチン大統領と電話会談したフランスのマクロン大統領は「今後、最悪の状況が訪れる」との見方を示した。破局的な事態に陥る可能性は高まっている。
『週刊現代』2022年3月12・19日号より