映像を確認したところ、この一眼レフカメラはCanon EOS Rebel T6iと思われる。新品の実勢価格は約25万円、メルカリなどでは中古品が数万円で販売されていた。実際、キヤノン社に確認したところ、同社広報部は「当社製カメラであるとの保証はできませんが、写真を見る限りではキヤノンロゴが確認できますので、特殊な細工などがされていない限り、当社製のカメラと推察します」と認めた。
こうした実情を受けて、「キヤノンヨーロッパは3月初旬からロシアへの製品出荷を全面的に停止しており、この措置は現在も継続しています」(広報部)という。しかしこうしたカメラの第三国経由の移転を食い止めるのは不可能だろう。
無差別攻撃のための「目」に
映像を分析したところ、一眼レフカメラの下部に取り付けられた二つのカメラは、おそらく赤外線カメラと通常のビデオカメラであると思われる。役割分担としてはキヤノンのカメラで地上を広角で撮影し、全般状況を把握。その後、具体的な目標を下のカメラで撮影し、攻撃の誘導などを行なっていると思われる。
例えば先にも挙げたツイートの動画が分かりやすいが、広角はキヤノン――通信回線の問題から画質を落としていると思われる――、ズームは下部のカメラで役割分担していると推測される。
日本製カメラは品質が高く、高度な科学実験の観測などでも引っ張りだこの存在だ。中古も含めて安価に入手できる以上、ロシア軍が活用するのは当然だろう。特にキヤノン製はオートフォーカス機能に優れ、偵察用にはうってつけだ。過去には韓国に飛来した北朝鮮の偵察ドローンからも発見されている。