広島で新たな精米技術による日本酒が誕生しました。その名も『真吟酒「始 -HAJIME-」』です。若手蔵元3人が醸す三酒三様の味わいに迫ります。
お披露目の会場となった店には、全国各地の名酒がずらりと並びます。そんな中、この日の主役は、吟醸酒発祥の地・広島から新たに生まれた『真吟酒「始 -HAJIME-」』です。
この酒造りに挑戦したのは、若き蔵元3人です。
藤井酒造 6代目蔵元 藤井義大さん
「サタケさんが新たに開発された『真吟精米』という全く新しい精米技術を融合させて、広島の三蔵が醸す個性的なお酒『始』を企画しました。」
日本酒は、その土地の気候や風土に影響され、蔵独自の味わいが生まれるとされています。
今回、広島市安佐北区に蔵を構える旭鳳酒造、竹原市の藤井酒造、そして神石高原町の三輪酒造の三つの蔵が、旭鳳、龍勢、神雷というそれぞれの銘柄の酒を、真吟精米という最先端の技術で磨かれた米を原料に、広島の酵母・こうじ菌を用いて仕込みました。
取り組んだ蔵の1つで、「龍勢」で親しまれる藤井酒造を訪ねました。
藤井酒造 6代目蔵元 藤井義大さん
「もう、お米を開けた瞬間から通常の米と比べて、やはり薄いんですね。すごく軽いイメージ。通常よりも水分が飛ばないように、いろいろ工夫をして造っていきました。」
三つの蔵で醸した酒の味は…。
藤井義大さん
「想像以上に違ったので、すごくびっくりしました。」
真吟精米とは、どんな技術なのか? 東広島市にあるサタケを訪ねました。
サタケ 先行技術本部 川上晃司副本部長
「より効率的に削れますので、精米歩合を下げなくても、きれいなお酒ができあがります。」
雑味のもととなるタンパク質などを効率よく磨いてできたのが、今回の真吟米だといいます。
真吟米を生みだした精米機を特別に見せてもらいました。こちらの部屋には、まだ世に出ていない開発中の機器が並んでいます。
川上晃司副本部長
「こちらが新型の精米機です。」
米の磨き方で日本酒の味が変わる―。実は、114年前の明治41年、サタケが開発した精米機が、吟醸酒誕生の原動力になりました。
時を経て再び、サタケの精米技術が、日本酒の可能性を広げようとしています。
川上晃司副本部長
「ムダに削る必要もないですし、なおかつ酒質も向上していきますので。もっともっと多くの蔵に挑戦していただきたいと思っています。」
『真吟酒「始 -HAJIME-」』の反応は…。お披露目の会場となった店の店長は、きき酒師でもあります。
こびと 小畠誠史店長・きき酒師
『神雷』
「やっぱりすごく力強いんですけど、すっと切れていくような味わい。」
『龍勢』
「本当に上品な感じです。すーっと本当にクリアな味わいが広がった後にすっと切れるような。」
『旭鳳』
「すごく酸味もしっかりあって、ふわっと同じ酵母を使っているけど、やっぱり香りがしっかり出ているかなというお酒でした。」
神雷、龍勢、旭鳳という順番で飲むのが、それぞれの酒の個性をとらえやすいということです。
会場では、酒談義が弾みます。
参加者たち
「全く違いますよね?」「違いますね。」
「同じものを使って微妙に違うというのはすごいですね。」
「それが日本酒のらしさで、広島の自然環境から、ぼくらがいただいている酒だと思う。」
「ほとんど造り方が一緒ですよね。米も磨き方も。なのに、ここまでの違いが出てくるのがすごいことだなと。」
「おもしろい取り組みだなと思って。味音痴だけど楽しめています。」
真吟精米という技術を提供したサタケは…。
サタケ 広報部 大橋奈央さん
「少しずつでも一般の方々にも『真吟』というものを知っていただけて、すごくうれしく思います。」
三輪酒造 15代目蔵元杜氏 三輪裕治さん
「『真吟』というすばらしい技術を広島のサタケさんが開発したのは、本当に運命のめぐりあわせというか。今後、ぼくらもどんどん使って生かしていきたい。」
広島から生まれた技術と、3つの蔵の個性をかけ合わせたコラボレーション。「三酒三様」の味わいが、広島の豊かな風土を伝えていきます。
コメント (0)