1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「近畿か東海か」微妙な立場、三重ご当地鉄道事情 近鉄が圧倒的だが、駅ではJRと改札口共有も

東洋経済オンライン / 2022年2月11日 6時30分

伊勢志摩観光に活躍する近鉄特急「しまかぜ」(撮影:鼠入昌史)

三重県が近畿地方なのか東海地方なのかというテーマは、しばしば話題になる。結論から言えばどちらも正解らしいのだが、近畿だろうが東海だろうが同じニッポンだから、あまりたいした問題ではない。たいした問題ではないからこそ、ああだこうだと話題にするのにはちょうどいいのだろう。

そしてこんなことが話題になるくらいだから、三重県の立ち位置が微妙であることは事実だろう。それは、鉄道という一面からみてもよくわかるのだ。

■並行する近鉄とJR

三重県の鉄道ネットワークを見ると、そのほとんどが伊勢湾沿いの平野に集中している。三重県の内陸部には鈴鹿山脈をはじめ険しい山が横たわっていて、市街地が平地に集中しているので当然のことなのだが、とにかく三重県の鉄道は伊勢湾沿いをゆく。この地で活躍するのは“近畿”日本鉄道(近鉄)とJR“東海”の路線だ。

東京方面からの三重県の鉄道の入り口は、愛知県のターミナル・名古屋駅である。名古屋駅を起点として、JR関西本線、そして近鉄名古屋線が仲良く並んで木曽川・長良川・揖斐川の木曽三川を渡って三重県にやってくる。

そしてこの関西本線と近鉄名古屋線という2路線は、しばらくの間並ぶように走って三重県最大の都市・四日市を目指す。工業都市としてよく知られる四日市まで関西本線の快速ならば30分ちょっと、近鉄の特急だと30分弱。大して変わらないのだが、四日市における駅の場所がまったく違っている。

四日市の市街地により近いのは近鉄だ。近鉄百貨店が併設された立派な駅ビルで、駅の周囲には四日市の繁華街が広がっている。まさに四日市という都市は近鉄四日市駅を中心に展開されているようなものだ。

対して、JRの四日市駅はそれより遠く東に離れたところにあって、いささかうらぶれている。両者は“中央通り”という大通りによって結ばれているのだが、近鉄とJRの四日市、比べてみればそのにぎわいの差は歴然である。

ただし、だからといってJRの四日市が格下というわけではあるまい。JR四日市駅からは伊勢湾沿いの工業地帯に向かって貨物の専用線が分岐しており、いまでも貨物駅が併設されているなど、工業都市・四日市を支えてきたターミナルという側面を持っているのだ。

つまり、人の近鉄、工業のJR(というか国鉄)という役割の棲み分けができているということなのだろう。そう考えると、近鉄四日市駅のにぎわいとJR四日市駅のいくらか殺伐とした感じは、それぞれどちらもこの街の本質を表しているような気がしなくもない。

■大阪や伊勢を目指す

CCPA Notice
あなたにオススメ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

ミッション中・・・

10秒滞在

記事を最後まで読む