フロム・ソフトウェア初のオープンワールドゲーム『ELDEN RING』は、オープンワールドというジャンルが持つ訴求力と、フロム・ソフトウェアが贈る完全新作という相乗効果の結果、一大ブームを巻き起こし発売以降何度もTwitterのトレンド入りを果たしている。ソウルシリーズの中でも「ダークソウル3」を最高傑作としている筆者も休日は1日10時間以上遊び続けるほどハマり、いちユーザーとして人気ぶりを目の当たりにしている。
しかし、話題性から興味を持つものの高難易度という評判が1人歩きしがちなフロムゲー故に中々手を出しづらく躊躇している人も多いようだ。実は本作、難易度を緩和する救済手段がとても豊富なことはあまり知られていない。というより、話題に浮上しづらい。ダークソウルシリーズの系譜を色濃く継いだ本作は、他のRPGのようにレベリングや強い装備次第でボスの難易度を下げる側面を持つほかに、半ばチート級な協力マルチプレイで味方に頼る術もあることはご存知だろうか?
というわけで、とっても易しい一面もある『ELDEN RING』もといフロム(の死に)ゲーの実態を明かし、手を出そうか迷っているあなたの背中を後押しさせてほしい。
1.ボス戦の難易度はレベル上げや装備次第で下がっていく
RPGの序盤で“いい装備もなく、キャラも育っていない”内にレベル50相当のボスに挑んだらどうなると思いますか? そうですね、苦戦を強いられますし絶対にクリア不可な調整もあるでしょう。
フロムゲーにおいて序盤のボスに苦戦し阿鼻叫喚を生んでいる主な原因は他のRPGと同様に、“いい装備もなく、キャラも育っていない”内に挑んでいるから。たった数発でゲームオーバーになって、ほぼノーミスクリアじゃないと突破できないような状況下にいるケースが多々見られる。(レベルでぬるくなる仕様上ギリギリな体験ができるのは序盤に限るため、楽な方法も重々承知した上で、一瞬の判断ミスが命取りになる戦いをあえて愉しんでいる人も多い。筆者もそちら側に片足を突っ込んでいる。)
今作の最序盤に遭遇する「ツリーガード」や「マルギット」の配置場所はフロムからの「この世界は広い。もっと寄り道をし幾つかのダンジョンやボスをクリアしてまた来たころにはきっといい勝負ができる」というメッセージだと取れる。
こちらが一回で与えられるダメージは微々たるもので、2、3発で倒されてしまうようなボスと出会った場合は、ほかのRPGのようにレベル上げや装備の充実を図れば解決だ。 もちろんボスの攻撃パターンを見極め、モーションを把握し、回避あるいはガードし、敵のスキを突くプレイヤースキルは必須になる。
ただ、キャラクターを育てることで“あと1回攻撃を受けても耐えきれる体力になった”。これだけでも大きなアドバンテージを得られる。継戦能力が伸びるだけでも敵にとっては脅威でしかない。
例えミスが多い場合でも、これらの要素がボスの撃破を後押ししチャンスを生んでくれる。
・体力を上げて、1発でも多く耐えれるようタフにする
・スタミナを上げて、回避/攻撃回数を増やす
・FPを上げて、より多く魔法や戦技を放つ
・優れた武器や魔法によって火力を向上させる
最序盤の内は、マップ右側に点在するダンジョンやボスを踏破していくと順当にレベルが上がり武器や防具が揃っていくので、強敵への腕試しが済んだら探索に力を入れて強化を図ろう。また、後述する項目でもっと楽に攻略する手段も用意されている。
2.NPCと共闘できるシチュエーションが少なくない
ボス戦の様子で、何やら茶色い姿の人物と戦っている映像を見たことないだろうか? 彼らはオフラインで遊んでいても、協力に応じてくれるゲーム内お助けキャラだ。メインストーリーで訪れる場所か否かに関わらず、ボス手前で協力を要請できる状況は少なくない。
後述するマルチプレイほどではないが、単純に敵の注意が自分以外に向くという利点のおかげで難易度をガクッと下げられる。また、協力NPC自体も決して弱くなくボスの体力をガリガリ削ってくれる頼もしい味方も多い。
さらに、今作で初登場した「遺灰」システムにより協力NPCに加え、霊体を1体召喚し戦えるとんでもなく大きいアドバンテージが実現。つまり3対1だ。これには流石に「マルギット」や「ゴドリック」でさえも冷や汗もの……。
今作でも、協力NPC・遺灰・レベリング・装備強化・バフアイテムなど、自分がクリアできる難易度までとことん利用できるものを活かした難易度調整ができる。フロムの死にゲーは裏を返せば、多くの人がクリアできるレベルデザインのもと設計された高難易度ゲームなのだ。
3.多用注意!協力マルチプレイで“ぬるゲー”に
他のプレイヤーと共闘もできるフロムゲーは、協力に要請してくれた相手にもよるが、ぬるゲーになるケースが多い。なぜなら、協力要請に応じた者は回復アイテムの使用回数が制限されるデメリットは生じるものの、装備やステータスはそのままだからだ。
発売してから時間が経つほど先駆者たちは強くなるため、ぬるゲーの一途をたどる傾向が強い。最終手段というのは大げさだが、どうしてもクリアできない際の選択肢として取っておくと、最後まで緊張感を維持したまま作品を楽しめるだろう。
4.ダンジョン攻略もメッセージを頼れば楽ちん
この世界は非同期型の緩い繋がりがあり、行き先々に先駆者によるヒントやコメントが残されている。評価システムが実装されていることにより、そのヒントが正しいかどうかがある程度裏付けされるので、メッセージを頼りに攻略するプレイヤーも少なくない。ただし、端的に言ってネタバレなので個人的に最初は読まずに行ける所まで行くことを推奨したい。
中には嘘を書いてプレイヤーを貶めるメッセージもあるが、それに引っかかるのもまたフロムゲーならではの体験だ……。「この先、嘘つきがいるぞ。」基本的には信用していいと思うが、信じた上でも慎重に周りをよく見て進むことに越したことはない。
閑話休題:フロム(の死に)ゲー美学
(勝手な解釈による)フロムゲーの美学として、最低限のチュートリアルを用意し、あとはプレイヤーに手探りで発見と学びの喜びを与える。というものを唱えたい。それ故に気づかなかったものや後悔することもあるが、筆者はこの体験の虜になっている。「デモンズ」から「SEKIRO」までのセオリーが身体に刻まれているため新しい学びは減っているが、情報を見ないよう徹底し、試行錯誤を重ね新たな知見を得て、我流の知識と腕で攻略していく感覚は得難いものだ。
人によってはいじわると思われるかもしれない美学だが、手厚いチュートリアルと説明があり、指示どおりにボタンを押す工程に付き合う作品が大多数を占める中、必要最低限な情報にとどめ早い段階から自由に遊ばせてくれる体験はいまや貴重なものになりつつあるかもしれない。と、「SEKIRO」以来3年振りにフロムゲーを触れていて感慨深くなった。
5.ストレスフリーなゲームプレイを実現した大幅なユーザービリティの向上
今作は、プレイヤーになるべくストレスを与えないようにする気配りが過去作にも増して多く見受けられる。霊馬は、オープンワールドのフィールドを快適に移動するために用意され、遺灰はフィールド探索でも協力NPCを活用できるようにし、チェックポイントの数は大幅に増え、チェックポイント同士の間隔も短くなった。ほかにも、チェックポイントでしか補充できなかった回復アイテムが道中で補充できるようになったり、クラフトの実装により容易に強力なバフアイテムや弓矢をその場で作れたり、マルチプレイで必要なアイテムの入手とアクセスのしやすさが向上していたり、アイテムショートカットが実装されたりと枚挙にいとまがない。また、敵を誘い出しマップの構造にハメて一方的に倒すといった手段がオープンワールド化によってさらに増長されている面もある。
難易度が高めな分、本気で心を折ってくるシチュエーションを用意しているからこそ、その他の部分では不満やストレスを感じさせないように気を配られていることが伺える。
6.しゃがみの実装でステルスプレイが容易に
今作にも「致命の一撃」と呼ばれる、特大ダメージを与える手段がある。これは敵の背後をとった際か、敵の攻撃をパリィし体勢を崩した際などに実行できるものだ。しゃがみの実装に伴い、敵の視界をかいくぐり背後に回れるような環境づくりが随所に見受けられ、後ろからこっそり致命の一撃を実行しやすい状況が多くなった。
また、シンプルに敵をやり過ごしたり、気づかれないよう移動して先に進むことが叶う場面も少なくないため、戦わずしてエリアやダンジョンの一部を容易に通過できる。
7.属性による相性有利・不利がある
多くのRPGと同様に本作にも、人型や動植物に有利な傾向が強い「炎」、魔法を扱う敵以外に有利な傾向が強い「魔力」、スケルトンなど死せる者に有利な「聖」といった属性による有利不利が存在する。武器に属性付与する手段は魔法や消費アイテムで行え最序盤は中々手に入りづらいものの、活用できる場面は多い。またシンプルに属性を備える魔法や戦技、弓矢や投擲アイテムも存在する。とりあえず一発当ててみないと判断できない部分はあるが、RPGによくある敵の弱点を把握し効果的なダメージを与える戦法は本作でも通用する。
また、蓄積すると大ダメージを与える「出血」といった状態異常を与えるデバフ攻撃も豊富にある。出血武器を持っている素性(ゲーム開始時に選択するクラス)がいるので、序盤はこちらのほうが有効活用しやすい。
8.「遺灰」により味方と共闘できる機会が大幅に増えた
「遺灰」という手持ちの霊体を召喚できる新システムにより、先に紹介した協力NPCとは別の枠でフィールドやダンジョン探索中でもサポートをしてくれる味方を呼べるようになった。すべてのエリアで召喚できる訳ではないが、敵が多数いるロケーションでは召喚可能なケースが少なくない。
霊体はバラつきがあるものの強力な個体も少なくなく、近接攻撃に特化したものから遠距離攻撃に特化した個体など様々。自身が遠距離攻撃主体なら前者をタンクのように起用し1人でいる時よりも一方的に安全圏から攻撃できるシチュエーションを作れる。逆に近接攻撃主体なら後者を起用し、霊体が安全に攻撃できるように敵のヘイトを買って出るなど、自分のプレイスタイルに合わせた活用が可能だ。これにより従来作よりも味方と共に戦える機会が大幅に増え、新たな救済措置の登場とも取れる。
フロムゲーとの付き合い方・鉄則
今作も数は少なくなったとはいえ、いわゆる「初見殺し」が多い作品だ。そんなフロムゲーとの付き合い方を添えて最後にしよう。
ボス:初戦で倒そうとは思わないこと、まずは行動パターンを見極めよう。2、3回攻撃を与えられれば上々。弱攻撃や強攻撃によるHPの減り具合を覚え、どれだけダメージが通ったかを把握しよう。何発耐えられるかも重要な指数だ。2~3発で死ぬのであれば挑むにはまだ早いと判断し、レベルや装備の見直しを図り、遺灰など活用できるものを利用しクリアできる難易度まで下げよう。(もちろん、その状態で挑み勝つことに意味を抱く場合は例外だ)
ダンジョン:複数対1の状況を作らないよう心がけ、敵は1人ずつ誘い出そう。基本的に1人ずつ誘い出せる配置が多い。また、全ての敵を倒す必要はない。ボスへのルートを把握したら全力ダッシュで無視していくのも有効。敵の足は思っているよりずっと遅い。左右だけではなく上下もよく観察しよう、ジャンプを駆使して到達できるルートがある。
レベルアップ:HP・スタミナ・FP、ゲージを上げる3項目以外に割り振るタイミングは、新たに入手したいまより強力な武器や魔法に必要な能力値を把握してからが良い。今作でも防具は紙きれ同然なので、1発でも多く敵の攻撃に耐えられるようにしたいなら生命力に振ろう。スタミナは攻撃・回避回数の増加に直結し、FPは魔法と戦技の使用可能回数に関わる。初心者へのおすすめは、体力>>スタミナ>>自由枠(伸ばしたい項目)の順に降る方針。FPは使いたい戦技が出てきてからでも遅くなく、魔法職の場合は体力の次にFPに振ろう。
探索:怪しいと思った壁はとりあえず殴ろう。隠し通話を発見できる。見つけたNPCには必ず話しかけておこう。一度にすべてのセリフは言わないので、同じセリフを繰り返すまで話しかけることが重要。NPCのセリフからイベントのヒントを得るほかないため、よく読むかスクリーンショットを取っておくと後に回しても安心して進められる。もう1つ見落としがちなものとして、入手したアイテムの説明にはしっかり使いみちが記されている。現状を打開するアイテムを持っているかもしれない。
マルチプレイ:ホストに協力するマルチプレイの際は、最後の一撃はホストに譲ろう。チャットは存在しないので、ポーズで挨拶をするのが基本となる。PvPで侵入された場合、もし相手が挨拶をしてきたらこちらも礼儀を見せよう。いざ尋常に勝負。
以上が、実は易しい『ELDENRING』の手引書となる。いかがだっただろうか? 本作が高難易度なだけでなく、工夫しだいで大抵の人がクリアできる仕様のRPGでもあると伝われば幸いだ。ステ振りの定石や序盤で見落としがちな要素まで「チュートリアルだけでは分からないTIPS20選」を載せた記事もあるので、本作を「やってみようと!」と決意が固まった方はそちらもチェックしてみてほしい。また、フロム・ソフトウェア公式のTipsも併せて読めばスタートダッシュに躓くことはないはずだ。