池尻稲荷神社の御朱印
「いけじり いなり じんじゃ」主祭神:倉稲魂命(東京都世田谷区池尻2-34-15)
日付を入れていただた「四 三 二十」の文字以外は、朱印まで全てプリントでした。
当分の間は書置きになるそうです。
▼御朱印は社務所でいただきました。社務所の上階は13階建のマンションです。
神社敷地内に建つマンションですので神社所有のマンションなのでしょう。
都心部ならではの神社の光景です。
▼「伏見稲荷大社」と大書きされた看板が掲げられています。
「稲荷講」の文字も見えますが、物理的な形としてはなく形態としての「講」は今ひとつ理解しにくいものを持っています。
大雑把に言えば、古くからある伏見稲荷を信仰する集団・行事・会合なのでしょう。
御朱印は丁寧に対応していただけました。
▼当社は国道246「玉川通り」沿いに鎮座。「池尻大橋駅」から300mほどです。
神社名は通称で「池尻」という地名を冠しています。
この地域は現在は暗渠化されている小さな川が「目黒川」に合流する地に近く、かつては沼地帯の中に池もあったそうで、そんな池の水が川に流れ込む端っこにあたる事から「池尻」の名称が残っているそうです。
要するに文字通り「いけのしり」だったわけです。
▼車で「玉川通り」を渋谷方面からやってくると、三軒茶屋の交差点まで混雑し、渋滞気味になる途中で沢山の奉納提灯が必ず目に入ってきます。
▼鳥居が正面にしているのは「玉川通り」と、通りの上を覆い尽くす「首都高3号線」。
堂々とした鳥居ですが、高速の圧迫感と246号の喧騒に落ち着か無くさせられます。
しかし鳥居をくぐり石段を上がれば、いくらか静かになり落ち着きを取り戻せます。
▼石段上から「一ノ鳥居」を振り返るとこんな様子になってしまいます。
▼記念碑は「鎮座三百年」の文字が刻まれていますが、由緒によると360年前の明暦年間に地域の「産土神」として創建されています。
▼すぐ脇には神輿庫でしょうか、朱色ではなくピンクに近い色が異彩を放っています。
▼「ニ之鳥居」を過ぎると立派な屋根を構える「手水舎」。
▼手水舎の水は「薬水の井戸」から汲み上げられているとか。
由緒によれば、かつては
神の道を信じ勤め、その病気の平癒を心に三度祈念し、神の道の薬として飲みほせば薬力明神の力により病気立ち所に快癒す
と信じられていた霊水だったそうですが、現在は
罪穢れを清める祓いであり、神に供えたものをいただいて霊威(れいい)にあやかる信仰と解すべきです
だそうです。
周囲に飲用水が少なかった時代、旅人や農民の要望に応え、現在も涸れることなく湧き出ているそうです。
▼その手水舎の前に鎮座する「水神社」。
「水の神様=蛇」が祀られています。
その昔はいかに水が重要であったか、豊富な水を願うことと、豊富な水に感謝する、決して当たり前ではない「水」への思いが各地の水神社となっているのでしょう。
水道に慣らされている現代人も水神社を目にして、水が自由に使えることが決して当たり前でないことを改めて認識すべきかもしれません。
▼社殿に向かう前に南側にある神社入口に向かってみます。
▼往時はこちらが表参道だったのでしょう。鳥居前は「大山道」でした。
▼「かごめかごめ」の像。
昭和初期から戦前までの子どもたちの遊びの様子が像になっています。
そもそも「かごめかごめ」の歌は誰もが知っているものの不思議な歌詞です。
かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀と滑った 後ろの正面だぁ〜れ?
不思議さの解明はまたの機会にしましょう。
▼南側入口にも新しい社号標が建ちます。
▼こちら旧大山道の南側の入口からは車で境内に入れ、数台分のスペースがあります。
▼南側の参道を進んで左手に見えるのが「清姫稲荷神社」。
内容的には、愛した僧侶安珍に裏切られた清姫が蛇に変化して、道成寺の鐘の中に追い詰めた安珍を鐘ごと焼き殺してしまうという恐ろしいもので、
ストーリーとしては面白いので江戸期から芝居などになり、昭和でも映画にされ、他にもアニメや読み物などのモチーフにもなっています。
しかし神社自体は不詳で、説話の登場人物「清姫」が祀られる訳はなく、御神体は智恵の象徴である「白蛇」と予想されています。
「芸事や学業成就の神」だそうです。
水神社にも小振りな「マスク狐」が一対置かれていましたが、こちらにはもう少し大きめの「マスク狐」がステキな目つきで迎えてくれます。
▼額は単に「稲荷大明神」となっています。
扉の奥から「安珍はどこ〜〜〜!?」と清姫の悲痛な叫びが敏感な人には耳にできるかもしれません。
繰り返しますが「清姫」が祀られている訳ではないそうです。
▼順序が逆で境内社から記事を進めてきましたが、やっと「池尻稲荷神社」です。
大戦の空襲で神社の建物は失われていますので、社殿は昭和の再建からその後に改修が加えられ、現在に至っています。
▼当社の正式名称「稲荷神社」です。
恋愛感情の裏切りに対する女の情念の凄さを表した物語でもありますが、
現代では、その情念というより執念の表現は女より男の方が荒んでいるのでしょう。
女性たちの方が余程「アキラメ」と「転換」が早いのです。
男たちだけが「清姫はどこだ〜!」とシツコク探し続けているかもしれません。