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女性は女性に対して、より厳しく意地悪な態度をとる。そんなエピソードが世の中には溢れているが、「女の敵は女」であることを証明する根拠はない。では、人格に男女の違いなど存在しないにもかかわらず、なぜ職場でそのような事象が見られるのか。その本質的な原因は男女差別にあると、筆者らは指摘する。


 メディア各社が女性同士のいじめを頻繁に取り上げ、悪意あるを広め、二枚舌を使い、働く女性の地位を弱めようとしている。問題は、そうした記事がまったくの事実無根であることだ。

 私たちが、共著It's Not You, It's the Workplace(悪いのはあなたではなく職場)(未訳)のために行った調査では、男性よりも女性のほうが同性に対して意地悪で、敵対心が強く、裏切りやすいことを示す経験的証拠は、いっさい見つからなかった。現に最近、最も注目に値する心理学的研究によれば、「人格、認識力、リーダーシップ能力に、性差はまったくといってよいほどない」

 女性が生得的に同性を敵視するという経験的証拠がないにもかかわらず、なぜそう見られてしまうのだろうか。

 その答えは、職場で女性同士がぎくしゃくした関係に陥る場合がある状況を、そもそも間違って解釈していることにあると、私たちは考えている。それは、女性特有の心理によるものではなく、職場での差別が原因なのだ。