血液検査を行う際、どのように病名をつけるのか?習ったことが無い。
検査を行なう際、どのような病名が必要なのか?しっかりと習ったことがありません。保険診療の手引き、診療報酬点数表などを見ても、肝機能、腎機能など、当たり前に行う検査ほど、点数は記載されていますが、何ヶ月毎の検査が可能なのか?詳細は省略されています。
1)保険診療の査定にローカルルールが横行していること。
2)具体的に記載してしまうと、例えば、「腎機能は、必要に限り、毎月算定可能」などと記載しようものなら、全国で腎機能を測定する先生が急増する可能性を恐れていること
上記が詳細を記載しない理由だと推測しています。
逆に、高点数な検査、管理料に関しては、「月1回算定できる」、「入院中に限り、1回のみ算定できる」、と上限を記載しています。
医療、介護費用を抑制するため、曖昧になっている点は、経験則、通例から学ぶしかありませんが、その情報が少ないので困ります。
日々の診療では、問診、視診を含めた診療行為は勿論ですが、血液、検尿検査や、心電図、胸部レントゲン検査などの諸検査は、患者さんの健康状態、病状を把握する上で非常に有用です。
更に、これらの検査は、クリニック、病院の大きな収入源です。血液、尿、検便検査、24時間ホルター型心電図、睡眠時無呼吸検査などを外注されている先生は、是非、外注コストを見直していただきたく存じます。せっかく頑張って検査しても、利益が殆ど出ていないどころか、検査をすればするほど損をしている「逆ザヤ発生」の可能性すらあります。ご注意ください。
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病名、気をつける検査内容の具体例。
血液検査で、AST/ALT、Gamma-GTP、BUN/Crea、電解質などの肝機能、腎機能を調べる際、肝機能障害(疑い)、腎機能障害(疑い)と病名をつける先生がおられます。
上記項目は、3ヶ月〜6ヶ月毎、定期的に検査を行う場合、肝機能障害、腎機能障害などの病名をつける必要はありません。診療報酬明細書(レセプト)を見ていますと、整形外科、皮膚科などの先生に多い傾向があるようです。
・単純に病名が多くなるので、目につきます。
・フェノフィブラート(高脂血症の治療薬)は、肝障害には禁忌薬です。検査のためにつけた肝機能障害という病名で、遡ってフェノフィブラートが保健適応外とみなされて数ヶ月に渡って削られたクリニックもあります。結構、多い事例ですので、是非ともご注意ください。
コレステロール、中性脂肪、HbA1c、尿酸などを測定する際には、「高脂血症」、「糖尿病」、「高尿酸血症な」どの病名が必要です。コレステロール、尿酸は、病名をつけていなかった際、保険で削られました。HbA1cは、「糖尿病」もしくは「糖尿病疑い」の病名が無いと、まず、削られます。
ローカルルールがあり、断言はできませんが、HbA1cに関しては、毎月、測定しても保険は通ります。ただ、コレステロール、中性脂肪、尿酸、AST/ALT、Gamma-GTP、BUN/Crea、電解質などに関しては、毎月、測定していると、削られますし、「連絡ハガキ」で通告を喰らいます。連絡ハガキは、国民健康保険組合の審査会から送られてきます。
「連絡ハガキ」:貴院の診療報酬請求を6ヶ月間、見ていますが、病名が無いのに、脂質、尿酸、腎機能などを頻繁に測定されています。他院と比較して明らかに検査数が多いので、ご注意ください。
炎症反応(CRP)、甲状腺機能(TSH)、フェリチンなどを測定しまくっていると、結構、陰険な連絡ハガキが来ます。
「連絡ハガキ」:貴院の診療報酬請求をチェックすると、血液検査全例でCRP、TSHが測定、算定されています。1268回の血液検査の全てにCRPが含まれています。セット検査での検査は控えてください。
いちいち、測定回数を数えて通告してくる陰湿さ。他にすることがないのか?不思議に感じます。ご高齢の患者さんは、症状がなくても、CRP上昇で癌、肺炎、膠原病などが見つかることがあるし、「別に良いじゃないか?高い検査ではないし」って考えています。ダメなものはダメなので、減点されますけど。
ただ、以前も記載いたしましたが、国民健康保険組合、社会保険組合の診療報酬の審査は、厚生局と連携していますので、ご注意ください。「連絡ハガキ」が来た場合には、指摘された事項を改善して、しばらくおとなしくしておいた方が良いです。
経験した連絡ハガキを記載いたします。お気をつけください。(ブラック、結構、連絡ハガキを食らっています。情けないですが事実です。)
・急性膵炎疑いの病名で、アミラーゼ、リパーゼ、CRPを頻繁に測定している。(若い時、膵炎が気になって測定しまくっていました。)
・慢性心不全の疑いの病名で、NT-proBNPを測定していますが、心電図、胸部レントゲン検査を行いと、NT-proBNPの測定は認められません。(最近、慢性心不全の患者さんでNT-proBNPを削られまくっています。)
・採血の度に白血球分画を調べていますが、本当に必要でしょうか?セット検査であれば、避けてください。(ついつい、癖で分画まで調べてしまいます。ご高齢の慢性骨髄性白血病を多数、経験しているため、習慣になっていました。)
・SPO2が頻回に測定されて請求されていますが、酸素の投与予定か、酸素投与中の場合に限って算定できます。(コロナウィルスが流行っても、高度呼吸不全であっても、酸素を投与予定か、投与する患者さんしか保険が通らないって知りませんでした。)
・緊急往診を連日、行っていますが、本当に必要でしょうか?必要な場合には、理由を記載してください。(寝たきり状態で、不安症の患者さんがパニックになって、月に10回近く、呼ばれて往診したのですが、さすがに往診し過ぎました。)
もし、毎月、検査が必要であれば、理由を記載すれば大丈夫です。腎機能に関しては、慢性腎臓病ステージ4であれば、毎月、測定しても保険は通るはずです。
その際には、病名:末期腎不全とつけ、病状詳記で、「BUN/Crea:〇〇/□□と末期腎不全。透析導入寸前であり、△△病院より依頼され、腎機能の経過を見ている」と記載しておけば、保険で削られることはないです。ブラック、末期腎不全の患者さんを常に5名〜10名、外来診療していますが、腎機能の検査を毎月して、保険が通らなかったことはありません。ただ、毎月、病状詳記をレセプトに記載しています。(ローカルルールがあり、厳しい地域では削られることがあるかもしれません。ご注意ください。)
国民健康保険組合から「連絡ハガキ」を喰らった先生が、この「連絡ハガキ」の内容を公開してくれると助かるのですが、検査の方法、内容に関することなので、なかなか公開してくれません。
・そんなに検査しているのか?当たり前だろ、そんなことも知らないのか?と馬鹿にされたくない。
・毎月、採血して恥ずかしく無いのか?と思われなくない。
・あの先生は、「連絡ハガキ」が来たらしい、と噂にされたくない。
・「連絡ハガキ」であっても情報なので、人に教えたく無い。
以上の理由から、「連絡ハガキ」の内容を教えてくださる先生は皆無です。ブラック、クリニック経営20年目、医者25年目ですけど、別に恥ずかしがることではないと考えています。だって、「連絡ハガキ」が来たことは事実だし、教えたからといって損することはありませんから。
「連絡ハガキ」で警告を食らっても、現在まで個別指導を食らったことはありません。たまたまかもしれませんが、1)患者さん一人当たりの診療報酬平均点数を割り出して、都道府県の平均点数と比較しておくこと、2)内部告発や患者さんから通報されるような医療を行わないこと。この2点に気をつけていれば、そうそう個別指導に呼ばれることはないですし、呼ばれても高額な返還要請はありません。
クリニックを開業されている先生、これから開業される先生にとって、情報は多いに越したことはありません。これからも持っている情報を可能な限り記載して参りたいと存じます。
日本医師会、厚生労働省から圧力がかかった場合には、即座に具体的な圧力の内容、事実を記載致します。(もしくは、圧力に屈してブログを閉鎖するかもしれません。その時は負け犬と呼んでください。)
厚生局の基本スタンスは、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/個別指導での厚生局基本スタンスを確認%E3%80%80病名、/