知床の観光船遭難事故。行方不明になっている15人の懸命な捜索が連日続けられる中、新たに男性3人が海上で発見され死亡が確認されました。一方、きのうの社長の会見で明らかになったずさんな「安全管理規程」。同業者の間に波紋を広げています。
現場付近の海は28日も荒れていました。
観光船の遭難事故から6日目。難航する捜索に28日夜、新しい動きがありました。
第1管区海上保安本部によりますと、観光船KAZU Iが救助要請をした知床半島の西側ではなく、半島の東側の海上で午後4時過ぎに2人、午後5時半ごろ、さらに1人が発見されました。3人はいずれも男性で、意識がないということです。
28日正午すぎ、乗客の遺体安置所になっている施設を訪れたのは、事故を起こした知床遊覧船の桂田精一社長です。
施設の入り口に設置された献花台の前で深く一礼した後、手を合わせました。
桂田社長が献花台を訪れた理由について、斜里町の馬場町長は…
斜里町 馬場隆町長
「本当に申し訳ないことをしたという気持ちをもっているのかと強い憤りを、社長の姿勢を見ながら(家族が)疑問を感じたということで、ご遺体が安置されているところに行って手を合わせるのが本来ではないかと27日話が出た」
27日の会見の前に開かれた家族への説明会では、出航の判断や安全管理について厳しく問いただす声が上がり、28日再び説明会を開くことになりました。
知床遊覧船 桂田精一社長(27日の会見)
「大変申し訳ございませんでした」
観光船の運航業者は国土交通省に対し、出航の判断基準を定めた『安全管理規定』を届け出ることになっています。
27日の会見でこの規定について問われた桂田社長は…
知床遊覧船 桂田社長
「波が1m以上で欠航。風速8m以上で欠航。視界が300m以上ないと出航できない」
欠航の基準があるにもかかわらず、なぜ出航したのか。
その疑問に桂田社長が明かしたのは…
知床遊覧船 桂田社長
「さっき話した(波)1m、(風速)8m、(視界)300mというのは、安全管理規定には書いておりません。各社、小型船の中で暗黙の了解みたいなのがありまして」
業界の慣習で、具体的な数字を記入していなかったというのです。
この発言を受け、28日斉藤国交大臣は…
斉藤鉄夫国交大臣
「数字を明記した安全管理規定がある。その徹底について国土交通省も、常に指導をしている」