次点で落選
公示前からそんな事があったとはいえ、その後私の選挙戦は、自民党時代からの支持者・ボランティアと、数は少ないながら新たに得たスタッフに支えられて、それ相応に順調に進みました。12月16日の投開票日昼頃には、私の陣営のもとには「恐らく比例復活で当選」との報がマスコミから伝えられました。
私は特段、飾りもない選挙事務所で吉報を待とうと考えていましたが、マスコミから「万歳をするのに必要」と言われて即席のひな壇を作り、万歳撮影の際の位置まで、マスコミ各社と打ち合わせました。当然、マスコミ予想の通り当選できるものだと考えていました。
午後8時を迎え、私と支持者は期待を持ち開票速報を見ていました。しかし、北信越ブロックの維新の獲得議席は3議席。私は惜敗率44.38%で維新4位、次点で落選という残念な物でした。
「え? そんなこと言ったの?」
選挙から1ヵ月ほどたった12月末、「選挙の総括」という事で、落選した候補者が大阪の維新本部に呼ばれました。実質的な代表でありながら、太陽の党との合流で代表代行となっていた橋下氏が総括を述べた後、質疑となり、落選した候補者の多くが、手を挙げて質問し、意見を述べました。維新の選挙サポートのなさを指摘するものも多かったのですが、そういった意見でも全体としてのトーンは今後に生かし、さらに前向きに努力するというものでした。
そんな中、私はどうしても釈然としない思いで、手を上げ、発言の機会を得ました。
私は目の前の橋下氏を見据えて尋ねました。
「このような機会を与えて頂き、大変ありがとうございます。今ほど、多くの皆様らか非常に有益な指摘や、前向きな決意が表明されました。私も今回は落選してしまいましたが、挫けることなく頑張りたいと思います。ただそれに当たって、一つ申し上げたいことがあります。
私は面接のとき、『小選挙区候補者は同列一位ですか』と面接官に聞き、『同列一位だ』と明言されました。私だけではありません。何人かに聞いたところ、複数の候補者が、同じように確認し、同じ回答を得ています。ところが、蓋を開けたら、全てのブロックで、単独比例1位、2位の候補が擁立されました。
私は、維新は、閉塞した自民党政治を打破し、『合理的な正しい政治』を実現する政党だと思っています。その政党が、内部のことであってもこういう不合理な事をしてはいけないと思います。なぜこのようなことになったのかその理由を伺うとともに、次回以降は、比例順位についての党の方針も、きちんと説明していただきたいと思います」
橋下氏は、私の質問が終わるか終わらないかのうちに、いつもの大きな早口で答えました。
「え? そんな事を言ったの? それ誰? 分からない? ああ、でもそういったなら、それは僕のミスです。すみません。しかし候補者の擁立は、高度な政治判断で党執行部が行います。皆さんは自分の力で選挙をするんじゃない、党の力で選挙をするんだから、それは当然です。ただ、今回の事は説明が悪かった。次回からそれは改めます」
私は、太陽の党との合流を聞いた時から、心の中に澱のように積み重なっていた橋下氏と日本維新の党への失望と違和感が、はっきりと目に見える形を成していくのを感じながら、
「分かりました。ご回答ありがとうございます」
と答えて質問を終えました。
(近日公開の第二回につづく)